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嶺上杯体験記

 この大会は1997年5月25日に十条で開催された、慶応大学の吉屋大樹個人主催による大会です。

写真提供:青山瑞幾


 当日の私は、変にゆとりを持って十条駅へ着いた。開始時間まであと20分ほどあり、歩いて10分の距離と聞いていたから十分に間に合うことを想定していた。が、地図を忘れたことに気付くと、血の気がサァーっと引いていた。開始時間の12時を少し過ぎて、どうにか会場にたどり着く。1人で、地図無しでよく会場に行けたものだ。「62」と書かれたカードを受け取り、受け付けを済ませる。吉屋が前に言っていたとおり、アシスタントをしてくれるスタッフは全員女性。約1名を除けばうらやましい限りで、「81/2」のマルチェロ・マストロヤンニを彷彿とさせるものがあるが、この表現が分かる映画通が何人いるのか、とりあえずは読み手に期待したい。
 すべての座席には番号が振ってあり、62の席に座る。その隣には新井浩さんがおり、昨日の明治オープンの優勝者について聞くと、偶然というか何というか、その優勝者が新井さん本人であることを教えてもらう。
 さて、いよいよペーパークイズの開始。ペーパー問題は音楽&ビジュアルばかりと、VL問題のオンパレードだった。分かるものは即答できるが、分からないものはいくら考えても分からない。まず、「思い出す」という作業が不可能な問題ばかりであった。半分に届かなかったものの、まぁ予選落ちはないだろうと思っていた。が、このペーパーは予選とは何の関係もない前座ということが告げられる。


1R:2○2×(全員→32)

 何だそりゃ?というルール。12時開始って言われりゃ、朝の5時に来ようが12時ギリギリに来ようが、参加者は平等で扱うべきである。しかも、受付順ということは、一つの組に同じサークルのメンバーが入る可能性が高い、非常にやりづらい対戦となるため、いまいち納得行かないルールだった。しかし、逆に言えばこうした企画は普通の学生主催オープンではできない企画であるだけに、一度は試してみたかったのだろう。それに私としては、同じ組に新井さんと沼屋暁夫がいるので、この2人と2○2×する機会は滅多にないだろうから、ある意味ではこの企画に感謝もしたかった。
 振り分けにより、参加人数は1、2組目:5人、3〜11組目:6人。勝ち抜け人数は1組目:5人、2、3組目:4人、4〜6組目:3人、7〜11組目:2人。私がいる11組目は6人中2人抜けと、必然的に一番厳しい組となった。逆に1組目は5人中5人勝ち抜け、つまり最初に受け付けを済ませた5人は、たったそれだけで予選は勝ち抜けとなった。
 以降の組は、やはりと言うか同じサークルの星の潰し合いとなってしまうことが多く、中でも9組目は、6人中4人が慶応で、そのうち3人が敗退してしまった。どうせなら受付順ではなく、同じ勝ち抜け条件のグループに入った参加者をシャッフルし、個別に振り分ければ良かったのではと思わずにはいられない。ちなみに、この9組目で慶応の堀滋に続いて勝ち抜けた大神康弘さんは、アタック25の20周年グランドチャンピオン大会の熊本代表である。一体どうしてこの大会に参加したのか、今もって私はその理由を知らない。
 社会人としての激務を縫って参加した能勢一幸さんや舛舘康隆さんはこの予選で負けたことで、以降のラウンドはお客さんとなってしまった。あとで吉屋に聞いたところ、もうちょっと敗者復活を増やそうとしたらしいが、それができなくなったということで、結果的にこういうことになってしまったらしい。
 さて肝心のクイズ内容は、ベタと言われる基本問題や、モンキーズやQUAPSで出される正統派難問とは違うタイプの問題で、一般的知識ではあるが、クイズに即している問題が多い。初めて聞くフリも多かったので、問題制作に努力の跡が見られ、クイズそのものは悪くなかった。
 10組目はリバティの後輩2人がその組の勝者枠を独占。いよいよ最終組、私のいる組である。他のメンバーはリバティの後輩である青柳と木伏、ベテランの新井さん、菅原さん、一応学生の沼屋。青柳は安全パイ。木伏は最近実力急上昇中らしいが、2○2×に慣れていないだろう。となると恐いのは新井さん、菅原さん、沼屋の3人。しかし3人まとめてマークは不可能だから、自分のペースで行った方が一番だと判断した。早押し席に座ると、早くも黒巣から「おっ、沼屋と新井さんがいるということは、舟太はここで負ける」などとヤジが飛ぶ。今まで10組を見てきての問題対策としては、答えが聞いたこともない難しいものは無く、他の人に取られて「あぁ」となるケースが多かったようなので、他の人よりワンテンポ早く押すことを心がけた。1問目、何だか難しそうな前フリだが、答えは絶対に知っているものに落ち着くと読み、「パリの高級婦人衣装店」というキーワードで解答権を取り「オートクチュール」を正解し、幸先よく1○。続く2問目は、「玉音放送前のアナウンスを行った」といった、NHKのアナウンサーを答えさせる問題。前フリのエピソードは知らなかったが、「日本初のクイズ」が聞こえたところでまたも解答権を取り、「和田信賢」を難なく正解して2連取し堂々のトップ抜け。まさか新井さん達相手にここまで上手く行くとは思ってもいなかったし、早押しがここまでスコーンと的中すると、とても気分がいいものである。ちなみに私が抜けた後の修羅場は沼屋が勝ち抜け、昨日の明治オープン優勝者である新井浩さんはまさかの予選敗退となった。


参加者全リスト&2○2×勝ち抜け順

先着名前所属勝順
菊田完立正大
武田淳哉立正大
太田尚志筑波大
松本裕輔明治大
樋口知彦明治大
矢野淳一千葉大
若林一也城西大
外義昭東京情報大
木下良太慶応大OB
10村上浩一一橋大
11金沢高資一橋大10
12石川貞雄一橋大
13小林紀俊一橋大
14多田光伸慶応大13
15新垣雅也法政大12
16渡辺徹法政大11
17黒巣弘路法政大14
18岡村悟史関東学院OB16
19飯田征弘日大
20横山泰良またんごの森
21大村哲也またんごの森15
22中雅史制服向上委員会
23パンチョモミジQ楽部19
24早坂大関東学院
25鈴木公靖立正大
26上村友之立正大
27広川崇史立正大18
28春日誠治明治大17
29中野淳一城西大22
30浅香浩城西大
31工藤美知雄関東学院
32千田裕之慶応大20
33高鹿恵次郎慶応大21
34五条方昇慶応大
35谷口晶慶応大
36斉藤英司早稲田大
37丹生旭紀早稲田大
38待木祐紀早稲田大23
39能勢一幸埼玉県庁
40山本剛神奈川県教育委員会24
41長谷川勇司社会人
42松石徹慶応大25
43草分匡実社会人
44藤井和彦社会人26
45松尾浩慶応大
46舛舘康隆編集者
47市川尚志早稲田大
48大神康弘大人28
49堀滋慶応大27
50木村俊孝慶応大
51平田了慶応大
52日高大介慶応大
1053村上康浩慶応大
54山口裕司慶応大
55小倉紀雄長野大
56山下淳法政大30
57大岩絹英法政大
58古谷顕一郎法政大29
1159青柳雄造法政大
60木伏崇法政大
61新井浩KITANクラブ
62鈴木舟太31
63菅原誠治なんたま
64沼屋暁夫とりつ32


2R 1:クイズ・ザ・ベストテン(8→2)

挑戦者
A 菊田完
B 武田淳哉
C 松本裕輔
D 村上浩一
E 外義昭
F 新垣雅也
G 岡村悟史
H 広川崇史
 私の当初の予想は、本命は村上、対抗は岡村さん、それに外さんが続くというものだった。ただ、ルール上早押し正解よりもベストテンがカギであり、一発逆転が十分に可能なルールだけに、最後まで目が離せないことになるだろう。
 最初のベストテンは、人口が少ない都道府県。挑戦者はみな結構有力どころを当てるが、肝心の10位を的中できず。やはり吉屋も考えたもので、10位は簡単に分からない「ベストテン」を選んでいるようであった。こうなると2〜4セットは危ない橋は渡らず、できるだけ点を積み重ねることに終始した方が無難なようであった。
 4セットを終了した時点で、明治の新人・松本君と、村上の2人が若干のリードを保っている。しかし第5セットで10位を取れれば、この2人を逆転することは他の6人全員が可能である。運命を分けるベストテンは「今年の高額納税者(作家部門)」。赤川次郎がランク外に落ちた地雷や、内田康夫がついに1位となったことまでは私でも知っているが、10位を知っている人がいるのだろうか?そんなドキドキ状態で早押しクイズは行われ、みなそれらしい答えを言うが上位2人に届かない。だが、その2人の牙城を崩す者が現れた。岡村さんが、狙いを定めて「斎藤栄」と解答し、見事10位を的中。これによって一気にトップへ駆け上がり、押し出されるように村上が3位転落。もはや逆転可能な要素が無くなってしまい、そのまま勝負は決着。
 最大のポイントであるベストテンを味方に付けた岡村さんがトップ抜け。それに続いてまんべんなく点を重ねていた松本君が2位で勝ち抜け。3位で敗退となった村上は、結果論とはなるが、高得点を狙いすぎたことが仇となったようであった。


2R 2:タイムレース(8→2)

挑戦者
A 太田尚志
B 樋口知彦
C 若林一也
D 黒巣弘路
E パンチョ
F 千田裕之
G 山本剛
H 松石徹
 正統派のタイムレース。この体験記上ではルールをかなり略しているが、ルール表には「おサルさんいらっしゃーい」という雰囲気が漂っていた。
 さて、勝者予想。本命は当然、キングオブタイムレースのRyuさん。すでに最初の時点で、Ryuさんがシードで、7人中1人抜けと言っても良かった。対抗はやや混戦気味で、黒巣、パンチョさん、千田、松石と、誰がRyuさんに続くかという感じである。
 タイムレース序盤はほぼ均等に正解が振り分けられていたが、突如として訪れたRyuさんの大爆走で場は混乱。「美人を形容する/」「百合の花」などと、どうして正解を一瞬で引き出せるのか不思議なくらい、Ryuさんが見事な正解を重ねに重ねて、2分ちょっとでほぼ勝ち抜けを決めていた。2位争いは混沌としていたが、黒巣は誤答が目立ち始めほぼ脱落。パンチョさんと千田は場にかき回されたか、解答権が思うように取れいようだった。場が混乱しながらも、的確に自分のペースを守っていた松石が対抗馬の中でわずかにリード。
 Ryuさんがダントツの10点でトップ抜け。Ryuさんのペースにあえて付いて行かず、自分のペースで取った松石が2位に入った。こうして見ると、美味しいところはRyuさんにすべて持って行かれ、勝ちさえも逃した他の6人が気の毒でならない。


2R 3:大貧民クイズ(8→2)

 早押しに正解早押しに誤答
王様(7+貧民の数)点平民に転落
平民2点or1点&王様になる−1点&1×&貧民に転落
貧民1点or平民になる−2点&1×

挑戦者
A 木下良太
B 金沢高資
C 渡辺徹
D 多田光伸
E 春日誠治
F 中野淳一
G 藤井和彦
H 堀滋
 1996年のマンオブで大失敗企画となってしまった「王様クイズ」の改良版。マンオブの「王様クイズ」は、問題の難易度が高すぎたことで、逆に王位に就くメリットが低くなってしまい、結果的にほとんどただの早押しと変わらなくなってしまったという経緯があった。その時に挑戦者の1人であった吉屋も、この企画は改良すれば生かせると判断して、実際に新しい形でルールを作ったのだろう。今回のルールならば王様のメリットが明らかに高いし、王様にならなければ勝ち抜けは厳しいだけに、どれだけ王位でいられるかがポイントである。
 やはりこのラウンドは正統派のクイズだけに、オープン活躍組の木下、ラガー、春日、藤井さんの4人が有力である。
 まず、木下が王様に就く。木下はマンオブの時も最初の王様となっており、これで2回続けて初代王様となった。ただ、マンオブの時に初代王様となっても結局負けてしまったので、今回こそはという観もあっただろう。しかし木下は王様のおいしさを味わうことなく、あっさりラガーに王様の地位を奪われる。その後は木下、ラガー、春日の3人による王位争奪戦が続き、藤井さんはマイペースに平民で細々と2点を積み立てていた。そんなチマチマやっている藤井さんにラガーは激怒、王様の時に革命問題を正解して、状況的に春日か木下を貧民に落とすべきはずなのに、藤井さんを貧民に落として会場の笑いを取る。



王様の証である「コニーちゃんお面」をかぶるラガー(左から3人目)
笑っている藤井さん(右から2人目)は、この後の革命問題で貧民に落とされる。

 中盤はラガーと春日の2人が王様で正解することができ大量点を得、逆に木下は勢いが消え、思うように点が伸びない。藤井さんはと言えば、マイペースを通していて、あまり勝負には関心が無いようであった。他の4人は残念ながら上位4人について行けず、大局的にラガーと春日の2人で決まりつつあった。
 結局、安定して点を積み重ねたラガーがトップ抜け。それに続いて春日が2位で勝ち抜け。やはり王様となった後でも正解できなければ大量点は取れないが、常に転落の危機があるため、正に「ダモクレスの剣」を地で行く、凝っていながら見ていて疲れない面白い企画であった。


2R 4:スカッドクイズ(8→2)

       →
 A□□□B□□□C□□□D
 □           □
↑□           □↓
 □           □
 H□□□G□□□F□□□E
       ←

挑戦者
A 大村哲也
B 高鹿恵次郎
C 待木祐紀
D 大神康浩
E 古谷顕一郎
F 山下淳
G 鈴木舟太
H 沼屋暁夫
 ルール的に、すぐ後ろに来る人が重要である。だが私は2番目の選択のため、沼屋の前か後ろかしか選択できない。しょうがないので沼屋の後ろを選択。続くリバティの後輩2人は私を敬遠して、私の後ろに着く。顔見知りの5人はいずれも侮れない相手。だがそれ以上に警戒すべき相手はAとD。この2人は顔をどこかで見た気もするが、誰なのかが思い出せず、ラウンド中、別の意味で苦労する。2人がアタック25・20周年記念グランドチャンピオン大会の北海道代表と熊本代表だということに気付くのは、かなり後のことだった。



早押しに正解し、コマを進める待木(左から3人目)

 最終的に、私のすぐ後ろに着いたのは高鹿ことボブ。私の前にいるのは大神さんだが、前の人は余り意識しなかった。私が事前に立てた作戦はただ一つ、「ボブに追いつかれない」のみ。このルールは「勝ち抜け」がなく、逃げ続けられれば勝ちになるのである。だから「追いつかれない=負けない=勝ち」となる。単純明快な作戦である。だがこれだけでは作戦ではないので、ちゃんとボブとのリードを2マス分空けることを常に心がけた。なぜなら、7問ごとに1マス消えてしまうのだから、1マス空いているところでボブに正解されて間のマスが無くなり、7問ごとによって消えるマスは自分がいるマスなので失格になってしまうのである。
 スタート直後、スタッフがコマの並び順を逆にしてしまったことが分かり、時計回りの予定が急遽反時計回りになる。別にクイズそのものに影響はなかったので別にいいのだが。序盤に正解を重ねたは大村さんと沼屋。だが沼屋は結果的に大村さんに追われている形でかなり厳しい。その間に私は「その風貌は菊田一夫を/」と、一橋オープンタイムレース1問目で出題された「金田一耕助」や、本名と次の確定ポイントで「エディット・ピアフ」を正解する。しかし、前後の大神さんとボブが同じペースで正解するため、全体的に目立つことはなかった。
 中盤から、7問ごとのパネル削除によって、激烈に情勢は変化。沼屋が大村さんによって最初の失格者となった。その後はマスが少なくなってきたことで次々失格者が続出。7問ごとのマス減りによって、古谷が山下によって、また待木が大村さんによって同時に失格。常にセフティリードを保っていた私は、いつの間にか大神さんに追いつき、これで残る挑戦者は4人。配置は「大村→山下→ボブ→私」である。この段階になって、私はようやくAの人が北海道を代表するプレイヤー大村哲也さんであることに気付き、どうあがいても追いつけないことを悟り、他力本願でボブとのリードを保っていた。その後は私の思惑通り事は進み、大村さんは正解をし続け、山下、ボブにじわじわ追いつき、2人を失格にする。
 結果、実に4人を失格にするという怒濤の快進撃を見せた大村さんと、ホンのちょっとしか活躍していない私の2人が最後の3R進出者となった。


3R:アタック25((4→1)×2)

 抽選の結果、1、2組目の対戦がそれぞれ決まった。
1組目
赤 春日誠治
緑 大村哲也
白 岡村悟史
青 山本剛
 「アタック25」と同じ音楽が流れると共に、4人が順に呼ばれる。これで私は2組目ということがわかる。このラウンドは音楽にやたらと凝っており、おまけにパネルもよく作ったなというかなりの出来のもの。昔からそうだったが、吉屋の小道具作りには目を見張るものがある。ただ、さすがに最初の“あの”クイズは用意できず、普通の問題で代用。
 勝負は、最初から春日と大村さんの2人が抜け出し、岡村さんとRyuさんの2人がそれに続く。勝負は序盤から接戦となるも、カドを2つ押さえた春日が一歩リード。大村さんは正解数こそ多いが、後半に入ってようやく拠点が取れたため、苦しい展開を強いられた。
 そうこうしているうちに、いつの間にかアタックチャンス。吉屋が「それでは、アタック・チャンス!!」というかけ声を発した瞬間、それを狙っていた数名が「はい、ここでCM」と横ヤリを入れてしきり直し。逆転を狙うRyuさんと岡村さんが終盤になってようやく正解を重ねるが、すでに盤石の基盤を築いていた春日に及ばず、そのまま春日勝利となった。



1組目決着時のパネルと春日
2組目
赤 渡辺徹
緑 鈴木舟太
白 松石徹
青 松本裕輔
 序盤はラガーが基盤を築き、そこに松本君が入り込む状況。私はと言えば、その2人にパネルを献上しっぱなし。松石は正解すらできず苦しい。パネルが十字状になると、クイズの“手練”対決にありがちなスルー続出状態となってしまう。こういう場合は逆転を狙う立場のものが打開するしかないのだが、私は数回正解していたため、ここで無理しなくても逆転のチャンスはあるのであえて攻めず、しょうがなく松石が人身御供となった。カドを取るチャンスとなって、私はここぞとばかりに攻めて1つ目のカドを押さえる。もちろん会場中から「舟太えげつね〜」のブーイング。
 だがその後は天罰が下ったのか、押しても押しても誤答の連続。逆に松石にはご褒美が贈られたか、難なく次のチャンスでカドを取って拠点を作れる状況に。松石以上に強固な基盤を作ったのはラガー。残った2つのカドを押さえ、パネルの枚数でも他を圧倒していた。ただこの時点で、全体的に誤答とスルーが多く、問題を消化し過ぎていることは明らかであった。このままのペースで行けば、絶対に25枚のパネルは埋まらないと覚悟を決め、アタックチャンスを必ず取って、さらにそれを自分で埋めなければ逆転は不可能だった。
 アタックチャンス時、残り問題数は5問と、全ての問題で正解者が出てもパネルは埋まらないことを教えられる。アタックチャンスの1問目は松本君が新入生特有の焦りが出たか、変なポイントで押して誤答。ここで私が、問題を減らした張本人であるのに「問題数が残り少ないのに変なところで押して誤答すんなよぉ〜」ととんでもないことを言う。続くアタックチャンス2問目は「アメリカの漫画家ドーガンが/」で、ドーガンとくればあれしかないと踏んで解答権を取り、「ホットドッグ」を正解してアタックチャンス指定権を得る。さらに重要なアタックチャンス後も押さえ、松石の拠点を侵略。松石を踏み台にしてラガーと1枚差。さらに難易度が突如低くなってだれも押せなかったか、「バルビゾン派」をあっさり正解してとうとうラガーと同点。最後の1問、車のタイヤについての問題で、本当に自信満々で解答権を取り答えるが誤答。最後まで場を一人で荒らした。



ウェストミンスターの鐘が鳴ってしまい、パネルが最後まで埋まらずに決着。
パネル枚数は9枚同士で、同点決勝を戦うことになったラガーと私(左から順に)。

 40問を消化したことで「ウェストミンスターの鐘」が鳴り、パネルが全て埋まらずに終了。まぁ、企画自体にウェストミンスターの鐘を鳴らさなかったことが唯一の救いだろう。結果、9対9でラガーと私が同点決勝。前フリで日本史系の問題だとわかり、あまり知らない日本史の問題が来るということは、どうも私は勝てなのではと若干諦めたと同時にラガーが解答権を取る。「あ〜ぁ、やっぱり勝負はこんなものだ」と思っていたら、何だか難しいことを解答して誤答。最後まで問題が読み切られると、何のことはない、「聖徳太子の十七条憲法」を答えさせる問題だった。いくら私でもさすがにこれは外さず、タナボタで勝利を手に入れた。


4R:敗者復活戦(8→1)

 阻止側よりも近い答えであった場合阻止側よりも遠い答えであった場合
ぴったり勝ち抜け
誤差±2以下4点2点
誤差±5以下2点1点

 敗者復活のルールを発表する前、イスの下に敗者復活のための「お札」が貼ってあることを発表すると、われ先にイスの下をのぞきに入り、会場中のイスは逆さまになるという異常な状況となった。

挑戦者
A 岡村悟史
B 山本剛
C 大村哲也
D 渡辺徹
E 松石徹
F 松本裕輔
G 工藤美知雄
H 小倉紀雄
 早押しクイズで正解を重ねるのはRyuさんとラガーの2人で、松石がそれに続く。近似値においても、通過クイズ挑戦回数がそのまま反映される形となり、Ryuさんとラガーのどちらかが抜けるのではという雰囲気が漂っていた。
 ただ、近似値ピッタリさえ取れば即勝ち抜け、しかも勝者は1人だけであるため、得点はあくまでその時点の順位で、8点にならなければ効果を発揮しない。そしてその一発逆転のルールを生かしたのは、このラウンドやや低調気味だった大村さんだった。得点の上ではもう追いつくのは難しい差がついていたため、近似値ピッタリにならなければ勝てなかっただけに、たった一度のチャンスをものにする勝負強さは見事であった。


決勝戦:巴戦クイズ(3→1)

挑戦者
大村哲也
(予選4組目2位、スカッド勝利、敗者復活勝利)
今年社会人となって、北海道から千葉県に移り住んでからは初の大会参加で決勝進出。東京でも活躍の期待大。
春日誠治
(予選5組目1位、大貧民2位、アタック1組目勝利)
決勝進出者の中で唯一の大学生。相変わらず強さ抜群で、明治大学を代表するプレイヤーである。
鈴木舟太
(予選11組目1位、スカッド勝利、アタック2組目勝利)
今年大学院生となって初の大会参加で決勝進出。キャリアが長ければたまにはこうした良いこともあるらしい。
 抽選により、最初の対戦は春日対大村さん。序盤から大村さんが飛ばして早々と3○でリーチ。それを受けて1○の春日は攻めに転じ、1×を付けながらも3○1×で追っかけリーチ。この時点で私は、どうせなら1×を付けている春日が勝ってくれれば対戦が有利になると、若干春日を応援したが、そう物事は上手く行かず、大村さんが次を正解してまず先勝する。
 第2試合は大村さんと私。大村さんはこの勝負に勝てば優勝となる。勝負は第1試合と同様の展開で、私が先に3○でリーチとなるも、1○だった大村さんが×さえも付けずにあっさり3○で追いつく。だがやはり先程と同じように私が次の問題を正解して大村さんの優勝を阻止。



第2試合の模様。3対1でリードする私(右)、
逆転を狙う大村さん(中央)、再びチャンスが巡ってくることを待つ春日(左)。

 第3試合は私対春日。私はこれに勝てば優勝だが、春日もそう簡単に優勝をさせてはくれないだろう。勝負は恐ろしいほどこれまでと同じ展開となり、私が先に3○でリーチ。春日は1×を付けながらも1○から3○1×として追いつく。これまでの展開通りならば、私が次を取って勝つのだが、ここで焦ってしまい、読ませ押しの失敗と、プレッシャーから来る答えの言い間違いで2問連続誤答をしてしまい自滅。春日は労せず勝利を手にした。
 第4試合は巡り巡って春日対大村さん。先程の対戦とは違って、春日はこれに勝てば優勝だが、1×を付けている状態からの苦しいスタート。だが私は、先程の対戦で勢いづいてしまった春日を、さすがに大村さんでも止めるのは難しいと思い、すでに優勝は諦めていた。その予想通り、勝負は終始春日優勢のまま進み、今度は大村さんに追いつくチャンスを与える暇もなく、最後はかぜ薬から「ケロリン」を正解して4○を挙げ、2連勝達成と同時に、嶺上杯優勝者となった。


 終わって見れば春日の優勝は妥当な線でしょう。私も人のことは言えませんが、春日の課題は、大学主催のオープン大会でも活躍できるようになれればというところでしょう。準優勝は吉屋発表により、大村さんと私の両者が入ることになりました。大村さんはやはりスカッドクイズでの独壇場もあり、今後も道産子魂で関東のクイズ大会で活躍することが期待されます。そして私も一応は準優勝ということで、ありがたいことです。一歩間違っていれば優勝してしまったので、今後とも精進を欠かさないようにさせていただきます。


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