2008年05月11日

(SS)ハルキョン+長門「ナガモン3話」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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709 SSナガモン3話1 sage 2008/05/06(火) 22:08:00 ID:8EEsbMvx
 「ながもーーーーん!!!」
 大声を上げながら全力で階段を駆け上がる。
 ドアを開けて飛び込むように中へ入ると、いつもの様にいつもの場所でいつもの無表情のまま分厚いハードカバーの本を読んでいる長門がいた。
 「長門!聞いてくれよ!ハルヒの奴が酷いんだ!せっかく買った模型飛行機を奪いやがって!」
 長門はカクッと首だけを俺の方に動かして、
 「…。」
 無表情なまま、無言で俺の顔を見つめてくる。
 ありゃ、いつもと雰囲気が違うぞ。どうしたんだろう。
 「よく聞いて欲しい。…私は今後、あなたをサポートする事ができなくなる」
 ええ?


 ながもん第3話:さようなら、ながもん。


 「あなたはこれからの人生を、1人で乗り切らなくてはならない」
 1人って…それじゃ、長門。お前はこれからどうするんだ?
 「この平行世界から、私という個体は消滅される」
 消滅?
 「元々、この平行世界の涼宮ハルヒには、周囲の環境情報を変化させる力は無い。ゆえに観察対象としての優先順位は高いものでは無かった。
 にもかかわらず、秘密道具という形での情報操作が度々必要となった事を、情報統合思念体はリソースの無駄遣いではないかと危惧し始めた」
 よく解らんが…要するに、俺が何度もお前に秘密道具をせがむものだから、お前の親玉がもうこれ以上は出せないよ、と言ってきたわけか?
 「近い概念ではある」
 なんてこった…俺が長門に頼りすぎた事が、それほどの負荷をお前に与えていたなんて…。
 「あなただけの責任ではない…私の過保護も原因」
 なら、これからは道具の使用を控えようよ。そうすれば、まだ一緒にいられるんだろう?
 俺がそういうと、無表情なはずの長門の瞳に僅かながら翳りが映ったような気がした。
 「情報統合思念体は既に結論を下した。変更は考えられない。消滅時間は、今日午後5時丁度」
 馬鹿な…。じゃあお前は、俺を見捨てて勝手に消えちまうってのかよ!
 「私としては…」
 長門はそこまで言い、そこから先は何も言わなかった。
 どこまでも無機質な瞳で、俺の顔を見つめている。
 くそ!
 いたたまれなくなった俺は、そのまま部屋から飛び出した。

 なんて事を言っちまったんだ、俺は。勝手なのは俺の方だ、俺のせいで長門はここにいられなくなってしまったというのに。
 俺が長門に何かしてやれる事はあるのだろうか?
 いなくなってしまう事を止められないのなら、せめて安心して行けるように、俺には何が出来る?


710 SSナガモン3話2 sage 2008/05/06(火) 22:08:41 ID:8EEsbMvx
 ただがむしゃらに足を進めているせいで、どこをどう走っているのかも解らない。
 気が付くと、いつもの空き地に向かっていた。
 その空き地の土管の上で、ハルヒが俺から取り上げた模型飛行機をしげしげと見つめている。

 「そろそろ来るころだと思ったわ。また、有希から何か道具を借りて来たんでしょ」
 いつもと同じようなセリフ。だが、その言葉が、何故か今日は無性に心に痛く突き刺さる。
 返せよ、その飛行機。
 奪われた飛行機を取り戻すために、ハルヒに跳びかかる。ハルヒはサッと横にかわして、土管の下に着地する。
 「今日は道具が無いの?…もう、有希の道具を楽しみにしてたのに」
 俺は息が切れるぐらい何度も何度もハルヒに跳びかかって行ったのだが、運動神経の良いハルヒは、簡単に俺の突進を、
 ひらりひらりと余裕の表情でかわしてしまう。
 全然ハルヒにかなわない自分が、本当に情けない。
 「今日はずいぶんしつこいのね。キョン、そんなに返して欲しかったら、あたしの家まで…」
 うるさい!早く返せ!
 振り返りざま、全力でタックルをハルヒに仕掛ける。
 それもあっさりとかわされてしまい、俺は勢いあまって土管に激突する。
 「ちょっとキョン!大丈夫!?」
 ハルヒの動揺した声が、ガンガンいってる耳の奥から聞こえてくる。
 「…なにか変よキョン。いつもなら、もう諦めて帰っちゃう頃なのに…」
 今日は、引き下がるわけには行かないんだ。
 「え?」
 俺がひとりでもちゃんとやって行けることを、長門に見せて上げないと…長門が安心して帰ることができないんだよ!
 「帰る?有希が?…あんた、それで…」
 俺はハルヒに覆いかぶさるように、ジャンプして跳びかかる。
 「あっ…キャッ…」
 不意を付かれたらしいハルヒは、俺に押し倒されて、空き地に転がった。
 ハルヒに馬乗りになった俺は、右手を振り上げて、おもいっきり振り下ろ…
 「うあっ…」
 せなかった。ハルヒを殴るなんて、そんな事、俺にできるわけがない。
 ハルヒは顔を覆った指の隙間から、じっと俺の事を見つめていた。
 俺も無言のままで、しばらく時間が過ぎていった。

 返してくれ。俺の飛行機。
 「うん…いいよ」
 今日は、俺の勝ち…だよな?
 「不本意だけど、そうしてあげるわ」
 ハルヒが眼を泳がせながら、何故か顔を赤くして、そう言う。
 「重いんだから、はやく上からどきなさいよ!エロキョン!」
 ああ、ごめん。
 「そんなことより、有希が帰る時間はいつなのよ」
 午後5時…やばい、あと数分しかない。
 俺はハルヒの腕を掴むと、全速力で家へ向かった。
 ハルヒも、俺に引っ張られるまま、黙ってその後ろを付いてくる。


712 SSナガモン3話3 sage 2008/05/06(火) 22:09:20 ID:8EEsbMvx
 階段を1段飛ばしで駆け上がり、飛び込むようにして自分の部屋に入る。
 「長門!」
 長門は、無表情なまま、俺の学習机の前に立っていた。
 「俺はこの飛行機を取り返したぜ!ちゃんと、自分の力で!」
 長門は、俺とハルヒとを交互に見つめながら、ぽつりと一言、
 「…そう」
 長門、俺が出来る事は何かないか?あと少ししか時間が無いが、俺にして欲しい事があれば言ってくれ。
 どんな事でも、するから。
 「ならば…1つだけ私の願望を実現させて欲しい」
 ああ、なんだ?
 長門はゆっくりと俺に向かって歩いてきて、いきなり俺にしがみ付き、
 「え…」
 そのまま、柔らかな長門の唇が、俺の唇に重ね合わされた。
 「…!」
 どれぐらいそうしていたのか、
 ややあってから、長門は唇を離し、
 「もう時間」
 長門はちらりとハルヒの方を向いて、
 「彼の事を、お願いする」
 ハルヒは無言で頷いた。
 「では」
 机の引き出しを開け、中に入る。
 「さようなら」

 最後の別れのあいさつは、長門らしい淡々としたものだった。
 だが、長門の姿が見えなくなった途端、強烈な喪失感が俺を打ちのめそうとした。
 なんだか天井の片隅から、別の俺を別の俺が見おろしているような、ふわふわとした現実感の無さ。
 気が付くと、俺はかなり強い力でハルヒの手を握り締めていた。
 あわててその力を緩めると、今度はハルヒの方が俺の手を強く握り返してくる。
 「ふうん、私の目の前でキョンのファーストキスを奪うなんて、有希も結構やるじゃない」
 どこまでも強気なハルヒの声。でも何故か涙声になっているのは、俺の耳がおかしいせいでは、多分ない。
 「もう、あんたなんて顔してんのよ」
 と、突然ハルヒが俺に抱きついてきて、
 「やる気を注入してあげる」
 再び、俺の唇は、柔らかな唇によって塞がれる事になった。
 「う…あ…」
 しばらくしてから、やっと俺を解放し。自嘲気味に軽く笑いながら、
 「私が上書きしちゃった」
 ハルヒ…。


713 SSナガモン3話4 sage 2008/05/06(火) 22:10:25 ID:8EEsbMvx
 「あれ、これは一体何よ」
 ハルヒが指差す先に、小型の長門人形みたいな物が、置いてある。
 ハルヒはその人形を拾い上げ、人形に張られている札を読む。
 「何か問題が発生したら、これを開け…だって」
 パカっとふたを開き、中身を取り出す。ビンに入った液体らしきものが出てきた。
 「嘘八百…これを飲んで嘘をつけば、それは本当に嘘になる…」
 ハルヒは僅かに首をかしげ、おもむろに大音声で、
 「もう!こんな良い物があるのなら、もっと早く言いなさいよ!」
 いや、俺も今知ったし。
 ハルヒはビンのキャップを開けると、まったく躊躇もせずラッパ飲みして、
 「有希はもうここへはこない!ずーっとあたしたちとは一緒にいない!」
 突然、がらがらっと音がして、勉強机の引き出しが勝手に開いた。
 中から、にょるっと長門が飛び出してくる。
 「情報統合思念体の考えが変わり、この世界の観測は継続される事となった」
 長門!
 俺は長門の手を握り、ぶんぶん振り回した。
 長門はいつもの無表情のまま、なされるがままに立っている。

 「うーん…強力なライバルを自分で作っちゃったかもね…」
 ハルヒがボソっと小声で言う。
 「まあ、いいわ。あんたがそんなに嬉しいのなら。…私も有希とまだまだ一緒にいたいし」
 そう言いながら、長門の反対側の腕をとり、俺と同じようにぶんぶん振り回し始めた。
 やれやれ、もうしばらくの間、この非日常的な空間は続きそうだな。
 本当にそうあって欲しいと、俺は心の底から思った。

                        おわり  

 「あの飲料は唯の水だった。プラシーボ効果の他には、何の効果も無い。
 今回、この世界の涼宮ハルヒに始めて環境情報を操作する能力が発現した。
 その能力が発現したキーは、やはり彼にある」
 「なるほど…長い事潜伏していた我々『機関』も、そろそろ活動が必要なわけですね」
 「今回の出来事は、単に既定事項にすぎませんよ。…詳しくは禁則事項ですけど…」
 「それならば、それでもかまいません。今のところは、ね」
 「観測は、継続される」
 「本当にそれだけが目的ですか?僕にはあなた自身の願望も含まれているように思えましたが」
 「そのような事実は、無い」
 「だめです!キョンくんは、わたしが…ああ、これは禁則事項で」
 「フフフ、まだまだ僕にもチャンスはありますね」
 「それはない」「それはないですぅ~」

                        おわり


714 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/06(火) 22:12:01 ID:8EEsbMvx
 あ、4つで良かったか。
 6巻ラスト+7巻第1話でした。

 では、機会があれば、またね。


717 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/06(火) 22:31:15 ID:xMPYnQa3
 >>714
 GJ


722 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/06(火) 23:07:14 ID:d0d9SOtH
 >>714
 GJ!


723 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/06(火) 23:16:07 ID:LmCDy8C7
 >>714
 それなんてウソSOS(エスオーエス)ww

 元ネタでは「ウソ8OO(エイトオーオー)」だった気が


730 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/06(火) 23:35:53 ID:i4HXUeJd
 >>714
 GJ!色々感動したぜw なかなか上手い。

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(舟)
 ハルヒの場合、ウソ800無しでもウソがホントに変わるからのう。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:
総合改変ガイドライン
SSSS・ハルキョンSS・長キョンSS・佐々キョン

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引用元:【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その88

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