(SS)朝キョン「普通」
勝手に今日輝いていたハルヒのレス:
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342 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/25(金) 22:50:26 ID:9AyudiHH
流れを読まず、3レス行きますよっと
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普通
「ねぇ、普通って何?」
そんな哲学的なことを、せんべいを齧りながら正面に座る朝倉は聞いてきた。
場所は長門の部屋。俺は何故かコタツに入り茶をすすって寛いでいた。
「そうですね。有機生命体の一般論を是非あなたから聞いてみたいものですね」
「…………」
相槌を打つ喜緑さんが微笑みながら俺を見て、淡々と文庫本のページをめくる長門も聞き耳を立てているようだった。
「普通、普通って言われてもなぁ……」
「じゃあさ、一般的な普通の人生ってどんなの?」
「そうだなぁ――大学行って、就職して、結婚して、子供が出来て、子供が結婚して、孫が出来て、退職して、のんびり老後を過ごす……かねぇ?」
「それが普通なの?」
そう聞かれると自信がないが、恐らくはそうなのだろう。一般的な普通の人生。誰もが想像できる模倣パターン。
「なるほど、それがあなたの人生なのですね」
喜緑さんの言葉も、否定できないだろうな。きっと俺も何だかんだでそんな人生を送るんだろう。
「しかし、何でまた普通にこだわるんだ?」
「だって、わたしたち普通とは違うじゃない」
曖昧に微笑んだ朝倉に、俺は言葉をつまらせる。
そう、三人とも普通の人間とは違う。宇宙人製アンドロイドはどう足掻いても普通とは呼べない。
三人は、朝倉は普通の人間に憧れていると、そういうことなのか?
「あぁ、わたしたちが普通になれる手段がありましたよ」
ポンと一つ手を打って、喜緑さんがニコニコと俺を指差す。人を指差しちゃいけませんって教わったり――してないんだろうな。親と呼べる存在も居ないし。しかし、何で俺を指差す?
「わたしたちが普通の人と結婚すれば、わたしたちは普通になります」
「なるほど――って、それでも普通じゃないのには変わりないし、相手が普通じゃなくなるんじゃない?」
「それでも普通に溶け込むには充分でしょう?」
343 342 sage 2008/04/25(金) 22:51:36 ID:9AyudiHH
「そうだけど、相手が居ないじゃない――って」
ピタリと、俺に視線が止まる。まて、何だその眼は。
「ずばり、普通の中の普通。キングオブ普通ですね」
何だか嫌な紹介ですね、それ。俺のことなんだろうけどな。
「いかがでしょうか、普通じゃない女の子は」
あなたはどこのお節介な世話焼きおばちゃんですか。って、それはどういう意味ですか。
「ですから、涼子さんをお嫁にいかが?」
「え、江美里さんっ!」
俺が言葉を発するよりも先に、朝倉が悲鳴に近い叫びを上げた。
「きゅ、急すぎるわよっ! 結婚より先に告白とかお付き合いとか婚約とか給料三ヶ月分の指輪とかやらないとっ!」
いや、それも何か違うだろう。それより何で俺なんだ。
「わたしたちの正体を知っていて、かつ拒絶せず友好的に接していただける数少ない普通の有機生命体と呼べる対象ですから」
長門や喜緑さんはともかく、朝倉とはあまり友好的とは言いたくないんだけどな。ナイフ的な意味で。
「でも、わたしたちのインターフェイス設定は学生だし……」
「情報操作は得意。あなたたちは、両親が決めた婚約者同士だということにする」
長門、唐突に喋るな。そして勝手に決めるな。そんなことしそうなのは喜緑さんくらいかと思ってたぞ。
「そもそもキョンくんだって、涼宮さんが居るし、わたしじゃ嫌だろうし……」
「――あなたは……とても……わがままね……」
どっから湧いたんだ九曜。意味が解らんし、そもそもハルヒは関係ないだろう。
「大丈夫ですよ涼子さん。最近は略奪愛とかヤンデレとか流行ってるらしいですから」
流行ってても実際に自分の身に降りかかるのは嫌ですよ。
「それに涼子さんと結婚すれば、もれなく有希ちゃんがお兄ちゃんって呼んでくれます」
「……おにいちゃん」
無理するな長門よ。凄い棒読みだぞ。
「――あなたの瞳は……とても嘘吐きね…………」
俺か? 俺が悪いのかっ?
344 342 sage 2008/04/25(金) 22:52:51 ID:9AyudiHH
だが、この歳で身の振り方考えろとか生涯の相手を選べだなんて。うん、それ無理って話だぞ。
「学生結婚も宜しいではないですか」
それ、大抵が出来ちゃった結婚ですよね。
「つまり子供が出来れば嫌でも結婚するということですか?」
「情報そ……」
「お願いだから勘弁してくれ……」
「しかし、何で普通にこだわるんだ?」
喜緑さんが九曜を追い出しに部屋を出て、長門が文庫本のページをめくる音が響く中、俺は疑問を呟く。
「あなたが普通で、わたしたちが普通ではないから」
本に視線を落としたままぼそりと長門が呟いて、朝倉が僅かに俯く。
「俺が普通なのと、普通になりたいのはどういう関係が?」
顔を上げた長門はゆっくりとした動きで俺と、更に俯いてしまった朝倉を交互に見て、やがて深海の底のような静かな瞳でジッと俺を見据えた。
「……鈍感」
どうやら、宇宙人には宇宙人なりの考え方があるらしい。俺には理解出来ないことが。
何故か顔を赤くした朝倉をぼんやりと眺めながら、俺は解けない方程式に悩む受験生のようなしこりを抱える羽目になった。
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久し振りにSS書いたら何だかカンが取り戻せなくて困りました
しばらくリハビリが必要ですね……
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(舟)
「普通の人生」を生きるってのも、結構大変なんだけどね。
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