2008年04月20日

(SS)ハルキョン+長門「ナガモン」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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284 SSナガモン1 sage 2008/04/19(土) 18:34:17 ID:l4lbRWI9
 「ながもーーーーん!!!」
 大声を上げながら全力で階段を駆け上がる。
 ドアを開けて飛び込むように中へ入ると、いつもの様にいつもの場所でいつもの無表情のまま分厚いハードカバーの本を読んでいる長門がいた。
 「長門!聞いてくれよ!ハルヒの奴が酷いんだ!」
 長門はカクッと首だけを俺の方に動かして、
 「状況の説明を」
 とだけ聞いてきた。
 よし、説明しよう。それは今から数分前の出来事なのだが・・・。

 今日は1年以上待たされた人気漫画「キヨサップ鈴木の驚愕」の発売日だった。
 俺はこの日をどれだけ待ち望んだことか・・・小学校が終わるや否や、全速力で本屋に駆け込み、ついにその本を手に入れた。
 いやあ、長いこと待たされたもんだ。
 店から出た後、俺は思わず紙袋から本を取り出し、表紙に頬擦りしてしまったよ。
 「!?」
 うっ・・・この気配は・・・。
 穏やかだった俺の日常は、その瞬間激変した!
 「あんた、なに面白そうな本買ってんのよ」
 げっ、ハルヒ!
 暴虐不尽にして唯我独尊、町内会にその名を知らぬものはいない、女ガキ大将のハルヒ!
 ハルヒはそのすらりとした体とは似つかわしくないような力強さで、俺から買ったばかりのマンガ本をすっと取り上げる。
 「へえ、あんたこんな本読んでるのね」
 「か、返してくれよ!まだ1回も読んでないんだぞ!」
 俺がそう言うと、ハルヒはニヤッとあの独特のハルヒスマイルを見せて。
 「だーめ。あんたの物は私のもの、私のものは私の物なんだから。・・・これは貰っていくわ」
 と、ハルヒニズムを発揮しやがった。
 「返してほしかったら家まで取りに来ることね。じゃあ、また」
 俺は取り返そうとハルヒに飛び掛ったのだが、身体能力の高いハルヒには全然かなわない。
 簡単にひらひらとかわされてしまう。


285 SSナガモン2 sage 2008/04/19(土) 18:35:05 ID:l4lbRWI9
 で、長門に何とかしてもらおうと思って全力で家まで帰ってきたわけだ。
 「状況は理解した」
 ああ、じゃあ何とかしてくれよ。窃盗罪だろ、常識的に考えて。
 「問題は無いと思われる」
 なんでだよ。
 「将来、涼宮ハルヒとあなたとは多くの物を共有しあうことになる。その本ぐらいなら共有物に含まれると推察される」
 意味が解らない。
 今まで散々ハルヒに物を奪われたけど、返ってきたことなんか1度もないぞ。大体、将来ってのはいつの話なんだ。
 「この平行世界上では2人はまだ小学生。共有しあうのは何年も先だと予測する」
 そんなに待てないよ。俺は今読みたいんDA!
 「なら涼宮ハルヒの家に直接取りに行けばいい。彼女もそう主張している」
 返してくれるわけ無いだろう?あのハルヒだぞ?
 俺がそういう言うと、長門は本を閉じてすっくと立ち上がり・・・
 「あsfdsghkふじこ」 ←(高速SQL言語)
 言い終わると、軽快な効果音と共に見慣れない道具が長門の手のひらに出現している。
 長門の得意技、秘密道具の登場だ。
 これは、なんの道具なんだ?
 「視覚情報遮蔽膜展開制御装置」
 ・・・すまん、解るように説明してくれ。
 「この布を被っている限り、あなたは他者からその存在を視覚される事はない。ただし・・・」
 つまり、草薙やスネークが使ったことのあるあれか・・・。
 でもハルヒの部屋に入るにはドアとかを開けないといけないぞ。そのときにばれてしまうかもしれない。
 「あsfdsghkふじこ」 ←(高速SQL言語)
 本日2度目の効果音と共に、またも道具が長門の腕に出現する。
 「環状物質転送制御装置」
 ・・・すまん。
 「とおりぬけループ」
 藤子先生は偉大だな。
 ともあれこの2つがあれば完璧だ。早速本を取り返してこよう。
 俺は長門の腕から2つの秘密道具を借りると、急いで部屋から飛び出した。・・・であるが故に。
 「説明がまだ途中」
 と、つぶやいた長門の声を聞き逃してしまった。


286 SSナガモン3 sage 2008/04/19(土) 18:35:51 ID:l4lbRWI9
 さて、ハルヒの家にまでたどり着いたぞ。
 まずは透明になる布を被って、それから家の壁にこの輪っかを貼り付けてと。
 輪っかを通り抜ける時の、にゅるーん、というヌルイ効果音と共に俺はハルヒの家に進入することに成功した。
 これより、潜入ミッションを開始します!大佐!
 運の良いことに、入った部屋はいきなりハルヒの部屋だったようだ。
 まだハルヒは帰宅していないらしい。僥倖と言うべきだろう。
 「・・・。」
 初めて入ったハルヒの部屋は想像していたよりも、実に女の子らしい清楚な部屋で、
 もっとガサツな部屋を考えていた俺にとって、軽いショックだった。
 掃除も行き届いていて、整理も完璧だ。思わず、帰ってから自分の部屋を掃除しようかと考えてしまうぐらいに。
 ん、あの部屋の隅にあるテーブルの上にある物は・・・。今まで俺から奪い取ったアイテムの数々じゃないか。
 元々は俺のものだった鉛筆やら消しゴムやらノートやらが、まるで狩猟家が戦利品を陳列するかの如く、テーブルの上に並べて飾られている。
 あいつは俺のことを鹿かなにかと勘違いしているのかね。
 わざわざ俺からの略奪品を飾るためだけのテーブルを1つ用意するとは・・・なんてマメなやつだ。
 今日奪われたマンガ本は、まだここには陳列されていないようだな。
 いっそのこと、今まで奪われた物を全部取り返してやろうかと考えていると、廊下の方から声が聞こえてきた。
 「ママ。ただいま~」
 ハンターのご帰還らしい。俺は息を潜めてなるべく部屋の隅に移動した。例の進入ループを隠すことも忘れない。
 程なくして、ハルヒが部屋の中に入ってきた。
 えらく上機嫌な様子だな。俺からマンガを取り上げたのが、そんなに嬉しいのか?
 ハルヒはベットの上に腰掛けると、カバンの中から俺のマンガを取り出し、ぱらぱらとページをめくって読み始めた。
 そんな小学生の男子向けに書かれたマンガ、お前が読んで面白いのかねえ。
 案の定、すぐに飽きてしまったのか、ハルヒはマンガ本をパタリと閉じて、戦利品テーブルの方に歩いていく。
 と、何を思ったのか、戦利品に並べる前にマンガ本をギュッと抱きしめて、頬擦りまで始めやがった。
 なんだろうあの儀式は。俺が本屋から出てきたときのマネか?
 マンガ本の陳列を終えると、今度は戦利品の中から何かを1つ拾い上げた。
 あれは俺から奪い取ったリコーダーじゃないか。
 突然、笛の練習がしたくなったらしいハルヒは、酷く緊張した面持ちでケースから縦笛を取り出した。
 ゴクッと唾を飲み込んでから、ハルヒは恐る恐るといった様子で笛に唇を近づけていく。
 その唇が、触れるか、触れないかといった刹那・・・。
 「ハルヒ~。ちょっと手伝って~」
 「はーい、いま行く!」
 廊下から聞こえたハルヒママの声に呼ばれて、リコーダーを元に戻すと、部屋から出て行ってしまった。
 これはチャンスと見るべきだろう。
 俺は陳列台の中から本を取り上げると、すぐにハルヒの部屋を後にした。
 よし、ミッションコンプリート!

 「無事に取り返してこれたよ、ありがとう。長門」
 「そう」
 いつもの無表情で本を読んだまま、長門が返事をする。
 俺は長門のとなりに寝っころがると、1年ぶりの新作を読みふけった。早く続きを書いてくれよ、ながるん。


287 SSナガモン4 sage 2008/04/19(土) 18:37:06 ID:l4lbRWI9
 明けて翌日。
 朝礼の始まる前の学校の教室で、いつものように谷口と国木田とで馬鹿話に花を咲かせていると、
 ハルヒが遅刻ギリギリの時間になって教室に入ってきた。
 そのまま一直線に俺の所へ向かってくる。
 なんか顔色が悪い、もしかしてアレが俺の仕業だとバレちまったのか?だとしたらマズイ!
 「キョン。この本、もう読んだから、返すわ」
 え・・・・・・。
 これは昨日俺が取り返したマンガ本のはずだが・・・。
 「そうか、ありがとう」
 何でお礼を言ってるんだ俺は。
 「うん」
 と、だけ答えてハルヒは、教室の窓際最後尾の自分の場所に着席した。ふうむ。

 なんでこの本がここにあるんだろう。
 長門があの後、またハルヒの家までこの本を持って行ったのだろうか?
 それに、ハルヒが俺からぶん取った物を返しに来たのも、初めてのことだ。
 いったい何が起きてるんだ?

 その日のハルヒは、一日中しょんぼりとしているようで、俺は何故か気になってしょうがなかった。

 学校が終わるとまっすぐ家に帰った俺は、すぐに例のマンガ本を確認した。
 やっぱり、と言うべきか、同じ本が2冊ある。
 という事は、ハルヒは自分でもう1冊買って俺に返してきたんだろうか?
 なぜそんなことをするのか、理由が解らんな。
 「鈍感」
 へ?
 「なんでもない」
 ・・・どうしたんだろう、長門の奴。
 ところで、この本はどうすればいいのかな。あのハルヒの陳列台に返しておくべきなのか?
 でも元々俺の本なんだぜ?
 「長門、ちょっと出かけてくるよ」
 「そう。行ってらっしゃい」
 本を読んだままの姿で答える長門を後にして、俺はハルヒの家に向かうことにした。


288 SSナガモン5 sage 2008/04/19(土) 18:38:10 ID:l4lbRWI9
 昨日と同じ要領で俺はハルヒの部屋に潜入することに成功した。
 今日はハルヒもまっすぐ家に帰ったようで、眼を開けたままベットの上で横になり、ぼんやりと天井を見つめている。
 俺は、昨日とは部屋の様子が異なっていることに気がついた。
 なんだか散らかっている。恐らく消えてしまった本を探した結果なんだろうな。
 いい気味だ・・・とは俺には思えなかった。
 部屋の様子から察するに、かなりの時間をかけて必死に本を探したんだろう。
 絶対に出てくるはずの無い本を。
 そしてどうしても見つからず、同じ本を買って俺に返してきたわけか。
 何でそんなことをする。俺が読み終えた後なら、普通に本を貸してあげたのに。
 しょんぼりとしたハルヒの横顔を見ていると、なんだか自分が悪いことをした様な、嫌な罪悪感が沸いて来る。
 こんなのは不公平だ。俺は自分の本を取り返しただけなんだぜ?

 って、いうか俺は今、何をやってるんだろうな。
 ハルヒの部屋にこっそりと侵入して、その様子を覗き見してるなんて、これじゃまるで・・・。
 めずらしくおとなしいハルヒの横顔は、クラスのエンジェルであるみくるちゃんと比べても変わらないぐらい可愛くて、
 まずい事に俺のどきどきが心臓してきた。
 鎮まれ、マイハート。こういうときは落ち着いて素数を数えるんだ。1,2,4,8,16・・・
 「ハルヒ~、お風呂が沸いたわよ~」
 なぬ?
 「はーい、いま行く!」

 部屋の片隅で、長門が分厚いハードカバーの本を読んでいる。
 クイッと首だけ動かして、壁にかかっている時計を見て、
 「まもなく活動限界時間」
 とだけぽつりと言った。

 お風呂ってなんだ、新しい怪人の名前か?新しい怪人の名前か?それ?
 見るとハルヒはたん笥の引き出しから着替えの下着を取り出していて、
 早くここから脱出しろよ俺、いやまだいいだろ、なにがいいんだよ。

 と、そのとき、びろびろーん、という間の抜けた効果音と共に透明状態から元に戻っていく俺の視覚情報。
 ハルヒはメガテン状態で突然現れた俺の姿をみて硬直中。
 こういう時、なんて言えばいいんだ?
 俺はとりあえず片手を上げて、
 「やあ、コンゴトモヨロシク」
 その一言で硬直が溶けたハルヒは、顔を真っ赤にしながら大音量で、
 「なんであんたがここにいんのよ!バカキョン!エロキョン!」

 「ながもーーーーん!!!」
 大声を上げながら全力で階段を駆け上がる。
 ドアを開けて飛び込むように中へ入ると、いつもの様にいつもの場所でいつもの無表情のまま分厚いハードカバーの本を読んでいる長門がいた。
 「長門!聞いてくれよ!ハルヒの奴が酷いんだ!もうお嫁に行けないから、俺に責任を取れって!」
 長門はカクッと首だけを俺の方に動かして、
 「既定事項」
 とだけ言った。
 なんだそりゃ。


289 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/19(土) 18:39:10 ID:l4lbRWI9
 以上、おわりです。
 では、また。


290 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/19(土) 19:08:06 ID:QuLOLBYu
 オチ吹いたw
 もう共有する間柄に…将来じゃなかったのかナガモンw

 いやハルヒらしいジャイアンで良かった。キョンも早く勇気出してハルヒの家に行くんだ!


291 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/19(土) 19:23:42 ID:ZqoBM1KV
 >>289 ワロタGJ!
 小学生が素数って言葉知ってるのかw お約束で間違ってるがw


294 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/19(土) 19:46:11 ID:iy9aW7cU
 >>289
 おもしろかった


310 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/04/19(土) 23:47:22 ID:z4dKX8ML
 ナガモンが個人的に大ヒットしたw いいね。面白い。

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(舟)
 ハルヒがジャイアンだけでなくしずかちゃんも兼ねていたり、小ネタが所々に差し挟まれていて面白いですな。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:
総合改変ガイドライン
SSSS・ハルキョンSS・長キョンSS・佐々キョン

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引用元:【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その87

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