2008年03月04日

(SS)ハルキョン「お雛様×お内裏様」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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784 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 1/6 sage 2008/03/03(月) 05:30:52 ID:2gLyq0SW
 3月上旬、いやより正確に伝えるとしたらまだ3月に入ったばかりなのだが、まだ寒さが残るも春の陽気が漂いはじめ、春眠暁を覚えず、なんて言葉が頭をよぎる。
 しかし今の俺には春特有の睡眠作用は全くもって関係無いと言えるだろう。
 なにしろ隣には何時でも何処でもハイテンションで元気と言う文字をそのまま具現化したんじゃなかろうかという奴を伴いさらにはこれまた元気なチビッコ達で溢れかえっているからだ。
 「ちょっと何シケた顔してんのよ。それじゃいつもと変わんないじゃない」
 悪かったないつもシケた顔をしていて。生まれつきなんだからこればかりはしょうがない事だ。文句なら母上様か父上様に言ってくれ。
 「気持ちの問題よ、気持ちの問題。全くこういう時くらい楽しそうな顔しときなさいよ!」
 そうは言ってもな家に帰れば頭がこいつらと同じくらいなんじゃないかと思える、それはそれで多いに問題なのだが、奴が一人いるんだよ。
 たぶん今日は家でもおんなじ事をやるんじゃないかと思うね。
 そいつだけで手一杯な俺にどうしろと言うんだ。
 腰にまとわりつく園児たちを引きはがしながら思った。
 なんで俺はこんなことをしているんだろうね?
 まだ少し冷たい春風に持っていかれた記憶を探るように思い出す。
 確か今日は―――


786 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 2/6 sage 2008/03/03(月) 05:45:09 ID:2gLyq0SW
 カーテンの隙間から射す朝の日射しを一身に受けながらも俺は起きる気がしなかった。
 せっかく学校が中学生の入試の事で臨時休業しているんだ。
 たまには暖かい光に包まれていい気分で惰眠を続けようと昨晩決め、実行していたところだった。
 しかし俺の睡眠は長く続かない運命にあるらしく一本の電話により叩き起こされた。
 あぁちなみに、今日は一応平日なので妹は学校に行っているのでフライングボディプレスによって身体的ダメージをくらうことは無かった。のだが、精神的にダメージをくらうことになった。
 それは言うまでもない、ある人物用に設定した着信メロディが鳴ったからだ。
 「………ハルヒめ。何のようだ」
 ボヤキながらも3コール目で通話ボタンを押す。
 出ないと後々更に面倒な事になるからな、色々と。
 「もしもし」
 『出るのが遅いわよ!バカキョン!』
 まだ寝てたんだ、3コール目で出た事を褒めて欲しいくらいだね。
 「で、なんだ?」
 そんなことを言っても始まらないので用件を聞く事にした。
 『九時半にいつものところに来なさい!いいわね?じゃぁね!』
 言いたい事だけ切るのはいい加減止めて頂きたい。せめて挨拶くらいはして欲しいものだ。
 ツーツーツーと鳴る携帯電話をベッドの上に放り、とりあえず着替える事にした。
 行かないとこれまた後々更に大変な事になるからな、それこそ色々と。
 その後、適当に朝食をとり特に何も入っていないハンドバッグと携帯、財布を持ち家を出た。
 連絡するならもう少し早くしてくれよな。
 自転車をかっ飛ばし、着いた駅前ではハルヒが腕を組んで待っていた。
 しかし、他の団員は周りに見当たらない。
 ハルヒ一人のようだ。
 「遅い!遅刻!罰金!」
 なぁ、その3点セット止めないか?
 「さっ、行きましょ。皆待ってるわ」
 無視かよ!って、
 「何処へ行くんだ?他の団員はどうした?そこで待ってるか?」
 俺の手を取り歩き出したハルヒに尋ねる、が、返ってきた答えは予想外のものだった。
 「いないわよ。今日はあんたとあたしだけ」
 「へ?俺とハルヒだけなのか?」
 「そうよ。何か文句あるの?」
 先を歩くハルヒの顔は見えないがどことなく声がうわずっているような気がした。
 「いや、文句は無いが。二人だけで何すんだ?」
 デートか?と続けそうになって引っ込めた。
 コイツが俺とデートしようなんて考えるはずもなく必要性も見当たらないので聞くだけ無駄だ。


787 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 3/6 sage 2008/03/03(月) 05:46:50 ID:2gLyq0SW
 「うるさいわね。つべこべ言ってないであんたはあたしについてくれば良いの!」
 せめて行く場所くらいは教えて欲しいのだが。
 そして着いた場所は、いつか俺がアホな芝居ではなく、トナカイ姿で朝比奈さんを乗せるという素晴らしい、と言っていいのかわからないが、事をした子ども会の集会場所となった幼稚園であった。
 「何だ、ここか」
 「そ」
 「で、ここで何するんだ?」
 「あんた今日が何日か言ってみなさい」
 え~っと、
 「3月3日だが、それがどうした」
 「あんた妹ちゃんいるのに何の日か分からないの?」
 「は?何って…ああ」
 「思い出した?」
 「ひな祭りか」
 「ん、良く出来ました」
 そう言って頭を撫でようとするハルヒ。
 止めんか、子どもじゃないぞ俺は。
 …というか恥ずかしいから止めてくれ。
 そんなやり取りをしていると先生らしき人が出てきて中に通された。
 見られたよな?今の。
 見ればその女の先生は微笑ましいものを見たかのようにクスクス笑っている。
 …恥ずかしくて死にそうだ。
 中には当然幼稚園児達がごったがいしていて春も何もなかった。
 聞けば園内の児童を全員集めたそうだ。
 そりゃこれだけの状態になるよな。
 更に事情を聞けば、ハルヒが話さないので先生に聞いた、人間版のひな祭りをしようと言うことになったらしいが流石に何個も雛壇を用意する訳にはいかなかったらしく雛壇は一つだけにしたそうだ。
 「そこまでは分かった。だが、俺たちが呼ばれた理由は何だ?全く思い浮かばないんだが」
 「………」
 これは目も合わせようとしないハルヒの3点リーダーだ。長門はこの場にいないからな。
 長門じゃないんだからダンマリはよしてくれよな。
 しょうがないので、何故か隣で未だにクスクス笑っている女性の先生に聞くことにしよう。
 どうやら役をやる奴を決めることになったのだがお雛様とお内裏様、つまりは男雛と女雛だな、の役をやりたいチビッコどもが大挙を成したらしい。
 最近の子どもはマシてるな、マジで。
 しかし、雛壇を増やす訳にもいかず園児以外の人にやらせようって事で落ち着いたらしい。
 で、
 「何故俺たちなんだ」
 ハルヒなんか微塵も関係無いではないか。
 何処から名前がわいて出たんだよ。不思議でならん。
 その疑問にはハルヒではなく再び先生が答えてくれた。
 偶々、道で会ったハルヒにその事を話したら嬉々として参加表明したらしい。
 するなそんなもん。
 ん?


788 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 4/6 sage 2008/03/03(月) 05:48:41 ID:2gLyq0SW
 「ってことは俺とハルヒでお内裏様とお雛様役なのか?」
 「…そうよ」
 ダンマリを決めていたハルヒから出た言葉は肯定の言葉であった。
 マジか。
 「大マジよ」

 この辺りで冒頭に戻っていいかもしれない。


823 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 5/6 sage 2008/03/03(月) 19:15:26 ID:2gLyq0SW
 ハルヒの言い分だと、
 「困っている人を見捨てるなんて我がSOS団として許せないわ!」
 と言うことだったが、別にここの先生たちがやれば良かったんじゃないだろうか、と思うのは筋違いなのだろうか。
 まぁ…それももうなってしまった事だ。とやかく言うまい。
 だが、俺の顔色が優れないのには訳がある。
 「…何だこの服は」
 ハルヒに手渡され言われるまま着替えた。
 ハルヒが何を鞄一杯に持っていたのかと思っていた疑問の答えはコスプレ衣装であった。
 まさかコスプレまでする事になるとは予想外だったぞ。
 「お内裏様よ」
 それは見れば分かる。
 というか、こんなんネットでも売っているのだろうか?
 俺が恥ずかしさで心の中で悶えていると、
 「さ、キョンこっち見ても良いわよ」
 と声がかかった。
 ちなみに今の会話はハルヒが着替えている部屋の扉1枚、内外での会話だ。
 そのハルヒの声と共に横開きの戸がガシャンと開かれたので俺は後ろを振り向いた。
 「………」
 「ちょっと、何か言いなさいよ!あたしだって少し恥ずかしいんだから…」
 だったら止めとけよな。
 しかし、そんな軽口のツッコミも口を出なかった。
 何故かって?
 そりゃ、
 「似合ってるぞ」
 なんて思わず呟く程、着こなした美女がいたんだから。
 「…ありがと」
 その一言で何故か顔を紅く染めたハルヒにそれ以上何て言うのか分からず二人して見つめ合い黙るという、春の陽気に当てられたかのようなとろけた空気を破壊したのは迎えに来た先生であった。
 ヤバかった。何がどうヤバかったのか分からないがとにかく色々な意味でヤバかった。
 思わずハルヒをおS…いいや何でも無い、何でも無いぞ。忘れてくれ。
 通された教室には中々大きな雛壇が用意されていた。
 園児の安全のためかそれぞれ各段は低くなっていた。
 先生の指示で選ばれたと思われた園児たちがわいわいきゃいきゃいぞろぞろ前にやってきた。格好は何の衣装も無い普通の格好だが。
 見ていて微笑ましい光景だが、考えれば考えるほど…場違いな気がする。
 そもそも俺たちは高校生な訳であり背が違い過ぎるし格好がおかしいだろ、どう考えても。
 ああ、考えるだけ無駄だな、止めよう。こういう時は考える事を放棄するに限る。
 そのうちにもハルヒに手を引かれて壇上を上がる。
 …何か逆だよな。
 そう思った俺はハルヒの手を少し強く握り、先に上がる。
 少し驚いたようだったがハルヒは何も言わなかった。


824 ハルキョンSS お雛様×お内裏様 6/6 sage 2008/03/03(月) 19:17:06 ID:2gLyq0SW
 一番上につき、二人で座る。
 ―――手は繋いだままで。

 それから園児たちも雛壇に座り先生が写真を取ってくれ俺たちは雛壇が降りた。
 その後はひなあられを俺とハルヒで園児全員に手渡しで配布し、園児と一緒にハルヒ特製のちらし寿司と吸い物、勿論美味かった、を食し今日のイベントは終了となった。

 「今日はありがとね。皆楽しそうだったわ」
 「いいわよ、別に」
 先生のお礼の言葉にもいつも通りの言葉で返すハルヒ。
 猫を被る必要の無い間柄なのか。
 「写真は後で送るからね」
 「楽しみに待ってるわ」
 どうやら写真もちゃんと頂けるらしい。
 …俺はあまり見たくないが。
 俺が一人でハルヒから頂戴したお内裏様衣装をどうするか考えている間もハルヒと女の先生は何か話していたが、
 「また来てね。皆も待ってるから」
 「今度は他の団員も連れてくるわ。じゃぁまたね」
 と言う会話にて帰ることになった。

 帰り道、ハルヒを送る道中思わず俺は呟いた。
 「はぁ、何か疲れたぜ。色々と」
 「そう?あたしは中々楽しかったわ」
 そう話すハルヒは台詞通り笑顔であった。
 「そうかい、そりゃよかった」
 しかし俺は非常に疲れた。帰ったら恐らく今度はホントの雛人形が待ち構えている事だろう。
 俺が普通の一般男子より雛人形に詳しいのはそのせいだろうな。
 「なぁハルヒ」
 「なぁにキョン」
 跳ねるように歩くハルヒの後ろ姿に語りかける。夕日がその後ろ姿をオレンジ色に照らす。
 「お前のさ、お雛様の衣装なんだが」
 「ん?」
 「毎年雛人形と一緒に飾っておいてくれよ」
 「なんでよ」
 「俺のお内裏様の衣装もさひな祭りになったら飾るからさ」
 「はぁ?」
 「いいだろ?それぐらい別に」
 「む、まぁそこまで言うなら飾ってあげない事もないけど」
 「それで時期が来たら一緒に片付けよう」
 「何よ時期って…え?」
 「じゃ、俺はこっちだから気をつけて帰れよ」
 恥ずかしくなった俺はそう言い残し走って帰った。
 後ろでハルヒが何か言っていたが気が付かないフリをした。
 そして家に帰って気が付いた。
 「…チャリ忘れた」

 後日談になるが、無事に俺の元に写真が届いた。
 それを見て思った。
 俺とハルヒが夫婦で、たくさん子どもがいるみたいだな、と。


825 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/03/03(月) 19:19:49 ID:iuUzIZJI
 >>824
 GJ!
 終わり方がいいね


826 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/03/03(月) 19:21:04 ID:2gLyq0SW
 >>784
 >>786-788
 >>823-824
 以上です。
 自分で言うのもなんだが消化不良気味です

 タイトルはお雛様(ハルヒ)×お内裏様(キョン)
 雛人形は結婚するまで飾るらしいので「一緒に片付けよう」でプロポーズ、みたいな


827 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/03/03(月) 19:43:10 ID:q60RUDM3
 >>826
 乙だっぜ!


833 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/03/03(月) 20:57:43 ID:1yTxFTXN
 >>824
 エロキョン!
 ……でも……あ、あんたがたくさん子供欲しいんならあたしは別に……(以下自重)

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(舟)
 雛壇が作れるくらい子供を産むとなると、三人官女まででも大変なのに、五人囃子まで揃えるには相当がんばらないと。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:
総合改変ガイドライン
SSSS・ハルキョンSS・長キョンSS・佐々キョン

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引用元:【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その82

コメント

ナポレオンの母であるレティツィア・ブオナパルテは8人の子供(夭折した子供を含めると産んだ数はさらに多い)を育て上げた女傑だったそうです。ハルヒならそれくらいはやるのではと。
ただしキョンの体が持たないかもしれませんが。そういえば、ナポレオンの父のカルロ・マリア・ブオナパルテも早死にしてましたねえ。

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