2008年02月27日

(SS)ハルキョン「アフター・ライフ」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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970 SS アフター・ライフ sage 2008/02/26(火) 04:18:09 ID:+ZvE/oYO
 「あなた、お茶飲む?」
 「ん? ああ、コーヒーの方がいいかな」
  しばらくして、テーブルの上にコーヒーが運ばれてくる。
  陽当たりの良い窓辺で、午後の暖かな光に包まれて読書とコーヒーを楽しむ。慎ましやかだが、こんなに贅沢なことはない。
  この数十年で科学技術は、それこそかつてのSF映画のように劇的な進歩を遂げたが、紙媒体の本は、そんな技術の進歩に逆らって生き残り続けたもののひとつだった。
  そのことはあの長門有希が、実体を持たない情報の集合体たる自らの産みの親にいつでもアクセスできる能力を持ちながら、しかし好んで図書館で紙媒体の本を借りていたことを彷彿とさせた。
  長門か。しばらくあいつとも会っていない。
 「あなた」
  不意に、妻の手が背後から、俺を抱き締めるように回された。
 「二人きりでいると、新婚の頃を思い出すわね」
 「ああ。……しかし、あの頃とは違う」
 「わかってるわよ。あたしの体も、ずいぶん皺だらけになってしまったわ」
 「そうじゃない。あの頃は、何もかもが未知で、生きることに必死だった。ただ未来への大きな期待に思いを馳せていた。今は違う。今までお前と生きてきた、子供たちと生きてきた、その幸せを噛み締めている」
 「もう、明日にでも死ぬようなこと言わないで。まだまだ人生これから長いわよ」
 「……お前だけは、ほんとうに昔と変わらないな」
 「人が一生のうちで触れることができるものはごくわずか。どれだけ長生きしたって、新しいことは無くならないわ。どんなにつまらない繰り返しのように思える日々でも、毎日必ず何かひとつ、新鮮な喜びがあるものなの」
 「それはそうさ。機械のように全く同じ日を、二日と繰り返す人間はいない。真に人を退屈させるのは、変化の無い日常ではなく、変化に気付かない盲目の心のほうなのだ。しかし、残念なことにお前のように良い目を持った人間は、なかなかいない」
 「あなたはどうだった? この数十年、退屈だった?」
 「いいや。退屈なぞするものか。日一日と成長する子供たちの姿なんか、実に俺を楽しませてくれた」
 「子煩悩だったものね。子供たちが居なくなって寂しい?」
 「そりゃあ、寂しくないわけがないさ。でも、俺はあの子たちを立派に育て上げたと思ってる。今は満足感で一杯だよ。それに、実は、俺も久し振りにお前とイチャイチャしたいと思ってたところなんだ」
 「まあ」
 「ハルヒ、俺はいつでも言ってきたね。そして、今でも変わらないよ。“今のお前が、一番美しい”。愛してる、ハルヒ」
 「フフ、嬉しい。あたしも、大好きよ……」
  そして俺とハルヒは、口付けを交わした。
 「あ、そうそう、忘れてた。あなたが会社に居た時の若い子」
 「朝比奈くん?」
 「そう、その子。メールが来てたわ。子供が生まれたんですって。女の子だそうよ」
 「そうか、そりゃあめでたい」
 「でね、その子の名前が『みくる』っていうんだって。偶然だけど、なんだかみくるちゃんのこと思い出しちゃうわよね」
  俺は目をしばたいた。
  偶然だって? そんなわけあるか。間違いない、その子こそ朝比奈みくる本人だ。
 『未来から来ました』……ずっと昔に聞いたセリフ、その未来に、今や俺は追い付いちまったってわけか。
  やれやれ、どんな出来事よりも時間の流れを感じた瞬間だぜ。
 「あなた、コーヒーおかわり要る?」
 「いや、それよりちょっと出掛けてくる」
 「どこへ?」
 「朝比奈くんに出産祝いを買ってやらなきゃいかんからな。ケーキでいいかな?」
 「ベビー用品とかのほうが喜ばれるんじゃないかしら?」
 「そういうのは本人たちで用意してるだろうと思うんだがな。俺たちの時は、何を貰ったっけなあ」
 「さあ、何しろ何十年も前のことだから」
 「だよな」
  俺たちは微笑み交わした。
 「みくるちゃん、元気に育って欲しいな」
 「ええ、ほんとうにね」
 「それじゃあ行ってくるよ」
 「行ってらっしゃい。気を付けて」
  玄関を出ると、少しだけ西に傾いた太陽が、街を黄金に染め上げていた。


971 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/02/26(火) 04:21:27 ID:CqpyTkO0
 >>970
 GJです
 すごく夢見が良くなりそうなSSでした


973 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/02/26(火) 04:25:48 ID:YqIkg5hD
 >>970
 なんか歳をとるのも悪くないかなって思えたきた
 とにかくGJ


978 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/02/26(火) 06:26:54 ID:7AdzZsIX
 >>970
 まさに私が思い描いたハルキョンの未来GJ!

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(舟)
 理想の老後ですな。

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引用元:【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その81

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