(SS)春キョン「子之巻(別時間軸)」
勝手に今日輝いていたハルヒのレス:
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255 SS 子(ね)之巻(別時間軸 春キョン) 1 sage 2008/01/03(木) 23:26:03 ID:/NSTw3a/
「お雪、俺だ、いるか?」
ドンドンと戸を叩くが中からは返事が無い。ちなみにこの場合の返事とは「中から物音がする」「戸が開く」ということだ。声での返事は絶対返ってこないからな。
さて、なぜ俺がお雪に用があるのかと言うと、何のことはない、新年早々風邪を拗らせてしまった大家の代わりに家賃を収集しに来たのだ。全く、親子揃って俺を雑用扱いか。
しかし先程から長いことドンドンやっているが、一向に出て来る気配が無い。家賃をきちんと払ってる律儀なあいつには珍しいことだ。
「お雪、いるか?入るぞ」
俺は紳士的対応を放棄し直接的侵入を試みた。相変わらず本で埋もれた部屋にお雪の姿は無い。
「不用心だなあ。泥棒に入られたらどうするつもりだ」
本は高く売れるから狙われやすいというのに。町人の防犯意識について考えながら本の山を掻き分けていた時だった。
「だぁ~」
思わず背筋がぞっとしたね。いきなり赤ん坊の泣き声がしたんだからな。怪談には赤ん坊の幽霊が出て来る話も多いんだ。
「あ~、う~」
ふむ、幻聴が聞こえてくるとは俺もだいぶ疲れが溜まってるのか。ここんとこ働きっぱなしだったからなあ。一度妹を連れて旅行かなんかに行くのも悪くはないな。
せっかくだからお春達を連れて行ってもいいな。古泉を連れて行けば旅費を立て替えてくれるかもしれん。
場所はそうだな…上方(江戸周辺)辺りが面白そうだな。寒いから南に行くのもありだろう。
「だぁ~」
やれやれ、そろそろ現実逃避はやめるか。俺は声のした辺りの本を掻き分けて探ってみた。
「ばぁぶ~」
さて、誰か俺に目の前の光景を説明してくれ。特にこの赤ん坊の外見がお雪そっくりなところを重点的に頼む。
お雪の子か?と一瞬戯けた考えが脳裏をよぎったが、すぐに否定する。相手は俺らの常識が通じない天界人だということもこの際無視する。
ふと、赤ん坊の近くに一通の手紙が置いてあるのに気がついた。これ幸いと広げて読んでみる。
『この文章は私の正体を知る者が目にした時のみ表示される。私は現在定期的な動力補給のために一時的に能力を制限し年齢設定を繰り下げている
願わくば、何日かこの私の世話を依頼する。あなた達なら可能。 お雪』
お雪、すまんが何を言いたいのかさっぱりわからん。唯一わかったのは、この赤ん坊がお雪本人だということだけだ。
256 SS 子(ね)之巻(別時間軸 春キョン) 2 sage>>254 おまwwww 2008/01/03(木) 23:27:08 ID:/NSTw3a/
とにかく、古泉やお未来さんに相談せにゃなるまい。俺は赤ん坊を抱きかかえると外に向かってまた本の山を掻き分けて外に出た。
「キョン、何して…」
何でお前はそう都合よく現れるんだこの野郎!さて、唐突だがここで問題だ。
問一、今俺はどこから出てきた?
答一、お雪の部屋からである。
問二、背中に何を背負ってる?
答二、お雪似の赤ん坊である。
問三、事情を知らない第三者がこれを見たらどうなる?
答三、絶対誤解する。
問四、ではお春がこれを見たら?
答四、考えたくもないね。
「キョン…あんた…まさか…」
やっぱりな。だが前回の恋文騒動と違い、俺は外に出る前にちゃんと言い訳を考えていた。
「お春、何を勘違いしてるのか知らんが、これはお雪の親戚の子だ」
「し…親戚?」
「お雪が預かっていたんだが、お雪も急な用事が出来てしまってな。俺が代わりに預かる事になったんだ」
完全に嘘っぱちだが、俺はなるべく平然を装って言った。自分でも迫真の演技だって思ったね。
「そ、そうよね!まさかあんたと…なわけないわよねぇ」
不自然に笑うお春。何をこいつはこんなに動揺しているんだ。
「そうだ。しかし困ったことにお雪も俺に最低限の事しか言わなかったんでな。勝手がわからんのだ」
「勝手って?」
その…お乳とか、あやし方とか…だ。
「なに赤くなってんのよ」
急激に冷めるな。何度も言うが俺は硬派な武士なんだ。
「びえ~~!」
うぉっ!きゅ…急に泣き出したぞ!?どどど、どうしたんだ!?
「お、お腹減ったんじゃないの!?」
流石にお春も動揺し始めた。慌てて背中から降ろす。
「お、お前乳とか出ないか?」
「出るか馬鹿っ!」
ですよねー。な、ならお未来さんは。
「出ないって!落ち着きなさいよ助平キョン!!」
なんかゴロ悪いなそれ。
「一体どうされたのですか?」
振り向くと、怪訝そうな笑顔という器用な表情をした古泉がいた。
「わー飲んでる飲んでる!ありがとうおばさん」
「なあに、かまやしないよ。一人も二人も一緒だからねぇ」
やれやれ、最近赤ん坊生んだばかりの人がいてよかったぜ。
「はて、喜緑さんからそのような話は聞いたことがありませんがねぇ」
と横で首を傾げてるのは、例のお雪からの手紙を読んだ古泉だ。ちなみに喜緑さんというのは幕府に仕えてる、天界人の一人だ。
257 SS 子(ね)之巻(別時間軸 春キョン) 3 sage 2008/01/03(木) 23:28:27 ID:/NSTw3a/
「お雪さんに…何か考えがあるんじゃないんですか?」
とお未来さん。乳児化する事に何の意味があるのか微妙にわからんのですが。
「まあ、何日かと言うことはしばらくすれば元に戻るわけですよね」
と古泉。まあ確かにそうだな。
「で、事情はわかったけど誰が面倒みるんだいその子。流石にあたしは乳は出せるけど二人育てる余裕はないよ」
う、そうですか…。弱ったなあ。
「あたしが育てるわ」
「な…なんですと!?」
新春初なんですとだ。お前今なんつった。
「ほ、本気ですかぁ?」
「本気も本気よ未来ちゃん。雪の親戚ってことは、この子も我らの仲間なのよ」
待て待て待て、どんな理屈だそれは!そんなこと承認した覚えはないぞこらぁ!
「この子名前はなんていうの?」
「小雪…と書いてありますが」
素晴らしい即興だ古泉。
「でも、子供を育てるのは大変なんだよ?」
「そうだ。犬や猫とは違うんだぞ」
おばさんに合わせる俺。こいつに任せるより古泉の伝で園生さん辺りに任せた方が絶対にいい。
「もちろん一生懸命がんばるわよ。そりゃお乳は無理だけど他の世話なら…」
怪しいもんだがなあ。
「僕はお春さんに任せてもいいと思います。何日かの話ですからねぇ」
何言い出すんだてめぇ!小雪に何かあったらどう責任取るつもりだよ!
「はぁ…大体、大家に何て説明する気だ。確実に許さないぞあの人は」
むしろ小雪から家賃を取りそうだ。そういう人だからな。
「普段はキョンの部屋に置けばいいじゃない。もちろんあたしが付きっきりで世話するけど」
いやいやいやいや、うちにだってそんな余裕ないっつの。何言い出すんだ。
「ああ、それなら安心ですねぇ」
「我々も一生懸命手助けしますよ」
お未来さん…古泉…裏切り者…。
「てなわけで、キョン、子育てするわよ!」
たまには俺の意見を尊重してくれ頼むから。
意外や意外。お春は不器用ながらもそれなりに母親らしく出来ていた。
「♪ね~んねん~ころ~り~よ~」
秋の即席舞台とはまた違う、穏やかな歌声だった。聞いてるこっちも眠くなりそうだ。
「寝ついたのか?」
「うん、可愛い寝顔してるわよ」
どれどれ?ふぅむ、基本がお雪だからやはり美人さんだなあ。
「本当可愛いわよねぇ」
うっとりした表情のお春。俺も暫し見つめて和む。隣のお未来さんの部屋から「なんか夫婦みたいですねぇ」という台詞が聞こえて来たのは絶賛無視する。
258 SS 子(ね)之巻(別時間軸 春キョン) 4 sage 2008/01/03(木) 23:30:01 ID:/NSTw3a/
「ふぎゃ~!」
「うわっ!?きゅ…急に泣き出したわよ!?」
一体どうしたんだ。たった今寝たばかりなのに。
「おっぱいが欲しいのかしら…ちょっとあっち向いて!」
嫌な予感がしたのでとりあえず従う。何をする気だお春。
「何してんだおま…」
「み…見るな馬鹿っ!」
慌ててまた後ろを向く。お春は自分の乳を吸わせていたのだ。
「か、形だけだけど、一先ず安心はしたみたいよ」
そうかい、そいつは何よりだよ。で、俺はいつまで壁とにらめっこしなきゃならんのかね。
「あ…あと少し待って!」
やれやれ…。お、この木目は谷口の顔に似てるな。
「そろそろおしめ替える時間じゃないか?」
「そうね。キョン、替えのおしめ取って」
俺は古泉が(ニヤニヤしながら)置いてった育児道具の中からおしめを取り出して渡した。一応女の子なので俺はまたハブだ。
「ええと、こうでこうよね……?」
知るか。俺は視界にすら見てないんだぞ。
「きゃっ!わっぺぺっ!いや~!!」
という悲鳴と共に生暖かい臭いが部屋に充満した。やれやれ、引っ掛けやがったか。
俺はあたふたするお春をなだめ、手拭いを探すため立ち上がった。
そんなこんなで三日が過ぎた。変わったことと言えば、大家が俺を見る視線が生暖かくなったぐらいかな。
あと谷口がいきなり現れ盛大に誤解したくらいか…何で俺とお春からお雪似の娘が生まれるんだよ。ふざけんな。
「それじゃあキョン、今夜もよろしくね」
と言い残しお春は出て行った。つまり夜泣きは俺の担当なわけだな。一番大変な部分だぜ?
あんなに無口なお雪なのに、夜泣きは普通にやるんだから困る。ま、俺は昔妹で慣れてるんだがな。
行灯を消し、床についた。今夜はおとなしくしてくれるといいんだがなあ。
朝起きると、小雪はいなくなっていた。まさかな。
眠い目をこすりながらお雪の部屋を開けると、お雪がいつもの情景で本を読んでいた。
「もう小雪は終わりなのか?」
「あなた達には感謝している」
さて、どういうことか説明してもらおうか?
「この時代の人間が乳児に対しどういう対応をするのかどうかの情報を収集したかった」
お前の親玉に言われてか?
「私自身の判断」
そうかい。で、なんか有益な情報でも取れたか?
「あなた達はいい親になれる」
……………。
さて、お春にはなんて説明すっかなあ。
259 SS 子(ね)之巻(別時間軸 春キョン) 5 sage 2008/01/03(木) 23:34:10 ID:/NSTw3a/
「キョン、小雪ちゃんどう?」
「あ~、そのことなんだが、今朝早く親戚の方が来られて引き取ってったよ」
こういうしかないよな。案の定お春は
「え…?」
と鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。残念ながらマジ話だ。
「そ、そう…大変だったわよねぇお世話するの」
まったくだ。臨時報酬を貰いたいくらいだぜ。
「………馬鹿」
そういい残してお春はまた出て行った。あいつなりに愛着があったんだろう。俺もどことなく寂しいからわかる。
夕方、河原をぶらぶらとしていると偶然お春を見かけた。お春は
「ひっく…ぐずっ…」
「なに泣いてるんだよ」
そんなに別れたくなかったのか?
「泣いて…なんか…ないわよ…」
嘘つけ。そんな赤い目しやがって。お前は本当に泣き顔が似合わないな。やれやれ、だ。
「いつか、本当に子供が生まれたら可愛がってやればいいじゃないか」
「………」
「俺は可愛がるぞ。おしめも替えてやるし、子守もしてやる。お前に負けないぐらい愛情を持って…」
しまった。これって端から聞いたらかなり誤解される言葉じゃないか?お春も真っ赤な顔してるし
「い…いや、そういう意味でなくてだな?その…いや…」
突然お春が吹き出した。
「ば~か、なに赤くなってんのよ」
夕日のせいだろ。お前こそ赤くなってるじゃないか。
「夕日のせいよ。はぁ~、なんかお腹すいちゃったなあ。キョン、どうせお金持ってんだから何か奢ってよ」
はいはい、ならお未来さんの甘味処にでも行くか。何でも奢ってやるよ。
それくらいでお前の笑顔が見れるのなら、安いもんさ。
以上です。ハルヒ馬鹿馬鹿いいすぎたなあ
てゆうか大家、娘が昼間から若い男の家に入り浸ってるのはいいのかよ
263 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/01/03(木) 23:47:19 ID:RKbUB8Py
リロってなかったorz
>>259 GJ! お春かわええなぁ。このシリーズ好きだわー。
264 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/01/03(木) 23:51:28 ID:/NSTw3a/
ミス発見orz
× と鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。残念ながらマジ話だ。
○ と鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。残念ながら本当だ。
江戸時代にマジって言葉があるわけがない。そこは微妙なこだわり
265 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/01/03(木) 23:55:08 ID:nY2GH/rf
幕末ごろにはもう「マジすげぇ」とかって言葉あったらしいぞ。
間違いではないと思う
266 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/01/03(木) 23:57:16 ID:/NSTw3a/
>>265
マジでか。江戸文化すげぇな
お休みハルヒ。明日みんなでカラオケ行くからパラレルDAYS歌ってくるよ
271 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/01/04(金) 00:25:00 ID:jgEE5BwY
>>259
GJ!!
やっぱこの二人はお似合いだ。
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(舟)
予行演習ができたということで。
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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:
総合/歌/改変/ガイドライン
SS/SS・ハルキョン/SS・長キョン/SS・佐々キョン
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