2007年09月17日

(SS)長キョン「携帯電話」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:50:17 ID:YcqTF8Yn
 昨夜の携帯電話な流れを見て、SS書いたはいいが今までかかっちまった。
 今更だが投下してもいい?


229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:54:23 ID:pJOMfEzv
 どうぞ


230 :携帯電話 1/5:2007/09/16(日) 21:56:30 ID:YcqTF8Yn
 「キョン。あたしさ、携帯変えたから」
  俺が教室の、自分の席に着くなり、そう切り出した我らが団長様である。そういえば、
 こいつと爽やかに朝の挨拶を交わしたことなどあったっけかな。
 「ほう、それで?」
 「番号も変わったから。登録しときなさい」
  ……はて、俺も詳しくはないが、最近は機種変更しても、電話番号やメールアドレスは
 引き継がれるような話を聞いたぞ。なんだ、お前にはそのサービスは適用されなかったの
 か?
 「いつまでも古い情報を引きずって歩くなんて、ナンセンスだわ。どうせ変えるんだった
 ら、何もかも新規一転したほうが気持ちがいいでしょう」
  あー……分かるような、分からんような理屈だな。俺からすれば、手間が増えるだけの
 ように思うが、ハルヒ的には重要なファクターなのかもしれん。まあ、こいつのメモリー
 にSOS団関係者以外の名前が登録されているとも思えないし、手間もそれほどかからな
 いという判断かもな。それと、なんか漢字の使い方間違えてないか、今更つっこむのアレ
 だが。
 「はい、この番号。はやく登録しなさい」
  自局の番号を表示した液晶を、俺に突きつけるハルヒ。こいつから電話がかかってくる
 度に、うんざりした記憶しかない俺としては、どうも不吉な番号に思えるね。もちろん口
 には出さないが。
  俺が、嘆息しながら自分の携帯を取り出すと、ハルヒは神速の動きでそれを奪い取った。
 「まどろっこしいわねぇ。貸しなさい」
  待てと言いたいね。今まさに取り出したばっかりじゃねぇか。なんだ、今の俊敏さは。
 まるで俺の携帯を奪うのが目的のような動きだったぞ。
  ハルヒは俺の意見など聞かず、勝手に俺の携帯を操作していく。いくつかボタンを押し
 たところで、少し意外そうな顔をし、それからにやりと顔を歪めて俺に目線を送ってきた。
 「何だ」
 「別に~、私はSOS団団長だものね。団員たるもの、私を電話帳の一番上に登録してお
 くのも、当然のことよねぇ?」
  なにが言いたい。そりゃ確かに、電話帳を開けばお前の名前が一番上に出てくるさ。だ
 が、断言しておくが、含むところなどこれっぽっちもありはしないぞ。
 「ええ、そうでしょう。そうでしょうとも。ふふふ」
  ハルヒはにやにやと笑いながら、どうやら自分の名前が記された登録情報を書き換えて
 いるようだ。こいつ、妙な勘違いしてるんじゃないだろうな。
  そんなやり取りの後のハルヒは、授業中も終始ご機嫌に見えた。こいつがニコニコして
 いると、俺の心臓はドキドキする(悪い意味でだ)わけだが、まあ、黙って座っている分に
 は、笑ってるほうが可愛げがあっていいね。誰だってそうだろ?


231 :携帯電話 2/5:2007/09/16(日) 21:57:31 ID:YcqTF8Yn
  放課後、掃除当番であるハルヒを尻目にやってきたSOS団部室である。いつも通りノ
 ックをするが、返事は無い。この時の状況は、2パターンが考えられる。すなわち、誰も
 いないか、長門しかいないかだが、どうやら今日は後者だったらしい。
 「よう、長門。一人か」
  わざわざ確認するまでもないが、一応尋ねておく。長門は読んでいたハードカバーの本
 から目を離し、こちらを一瞥すると、首だけを動かして頷いた。それから、何を考えてい
 たかは読めなかったが、俺の顔を二秒ほど眺めた後、再び手元の本に視線を落とす。
  長門が本の虫で、なにか起こらない限りは最低限の言葉しか発さないのはいつものこと
 だ。最近はこの沈黙に安らぎを感じる俺がいる。逆に、こいつがぺらぺらと喋り出すよう
 な状況とは一生無縁でいたいね。
 「そういえば、長門は携帯とか持たないのか」
  朝のハルヒとのやり取りを思い出し、なんとなく訊いてみた。こいつの自宅の電話番号
 は暗記しているが、いつでもあのマンションにいるわけでもないだろうからな。
 「必要ない」
  顔も上げずに即答する長門。
 「そうか。緊急時の連絡とかに使えそうだがなぁ」
  その緊急時なんてものに、そうそう訪れられても困っちまうけどな。でも、例えばだ。
 いつぞやの雪山の時みたいに、長門が倒れちまう可能性だってゼロじゃないしな。その時
 は出来るだけ傍にいて、力になってやりたいぜ。
  ここで、長門は顔を上げた。濡れたトパーズの原石のような瞳が、俺を捉える。
 「あなたは必要だと思う?」
  まあ、あれば安心の材料にはなるな。なんか過保護な親みたいだが。
 「そう」
  長門はやや節目がちになり、なにやら思案しているようだった。こいつがこう考え込む
 のも珍しいので、俺はついまじまじと観察してしまう。
  時間にすれば一分にも満たなかったろう沈黙を破り、長門は正面に俺を見据え、こんな
 ことを言った。
 「機種の選択や契約内容および契約方法に、不明な点があると予測される。出来ればあな
 たに指示してもらいたい」
  ………いくつか、すっ飛ばしたところがあるようだが、まず携帯は買う気になったんだ
 な?
 「そう」
  だが、どの機種を選んでいいのかいまいち分からない。
 「そう」
  さらには、手続きその他諸々がよく分かってない。だから、俺に一緒にショップに行っ
 て、あれこれアドバイスをしろと。こういうことか?
 「そういうこと」
  まあ、他ならぬ長門の頼みとあっちゃな。なにせ入学からこっち世話になりっぱなしだ。
 致命的なピンチを救われた事だって、一度や二度じゃ足るまい。俺の中には断るという選
 択肢は存在しないぜ。そもそも俺から振った話題だしな。
 「じゃあ、今度の日曜。ハルヒがなんかアホなことでも言い出さない限り、時間は空くだ
 ろうし。一緒に買いに行くか」
 「行く」
  こうして、どういうわけか長門と二人で携帯を買いに行くことになった。こいつと二人
 きりで出かけるってのも、貴重な体験かも知れんな。


232 :携帯電話 3/5:2007/09/16(日) 21:58:33 ID:YcqTF8Yn
  さて、約束の日曜日である。昨日は昨日で、SOS団恒例の不思議探索が行われ、なん
 やかやとあったのだが、それはまあ今語るべきことじゃないな。
  長門とはいつもの駅前で待ち合わせした。俺は私服だが、長門はいつもの制服姿。この
 辺もいつも通りだな、たまには私服で来いと言えば、長門は従うだろうが。
  駅の周辺には、結構いろんな店があるもんだ。お目当ての携帯ショップもその例に漏れ
 ず、待ち合わせ場所から、徒歩五分で到着した。
  店内に入るなり、迎えてくれた女性店員は、俺と長門の姿を見ると、なにか微笑ましい
 ものでも見かけたような笑顔を浮かべ、何かと親切にしてくれた。傍から見ると、やや世
 間知らずで箱入りな、ちょっといいところのお嬢さんと、それに仕方なく付き合う学校の
 男友達って感じに見えるのかもな。
  さて、まずは機種を選ぶところから始めなければならないわけだが、残念ながらこれに
 関しては大して役に立てそうもない。俺も最近の携帯事情に詳しいわけじゃないしな。重
 要なのは機能性とか見た目なんだろう、やっぱり。その辺は長門の趣味で選んでもらうし
 かないよな。
  することもないので、女性店員の説明を受けている長門を眺めていると、どうやら気に
 なる機種を見つけたらしい。それに気付いた店員さんは、その機種を取り出して長門に何
 がどうだとか解説しているが、俺はその機種に見覚えがあった。そうだ、俺の持っている
 ものと同じ機種じゃないか。
  その事実を伝えようと、口を開きかけたが、声を発するより早く、
 「それにする」
  と、店員さんのお勧めポイントを聞くのもそこそこに、即決した長門であった。
 「おい長門、だがそれは」
 「さっそく契約を」
  止めようとする俺の声に、わざと被せるように店員をせっつく長門。なんなんだろうね、
 この行動力は。
  その後の手続きも、店員の説明を受けながら、長門主体で行われ、俺は何のためにここ
 にいるんだろうというほどの手持ち無沙汰っぷりだった。結局、長門は俺と同機種の携帯
 を購入することになったが、まあ、長門がそれでいいのなら俺がとやかく言う問題ではな
 いか。
  店を出ると、丁度昼時だったので、俺たちは軽食屋に入ることにした。案内されたテー
 ブルにつき、さっそく長門の携帯番号を登録しようとすると、長門は無言で手を差し出し
 てくる。えーと、これは何の意思表示だろう。
 「私にやらせて」
  やらせてって、お前の番号の登録をか。
 「あなたとは同機種のもの。練習になる」
  まあ、確かに習うより慣れろだな。というか、やっぱり同じ機種だってことには気付い
 ていたのか。
  俺が携帯を渡すと、長門は自分のものと同時に操作し始めた。どうも自局番号を呼び出
 して、俺の携帯に自分の名前と番号を入力しているようだ。まあ、長門のパソコンの捌き
 方を見るにつけ、こいつは機械全般には強そうだ。逆に最大の機械オンチは、未来人であ
 る朝比奈さんではないかと俺は思っている。
 「あ」
  今なんか、長門が「あ」とか言ったように聞こえたが、気のせいだろうな。
 「間違えた」
  気のせいじゃなかったらしい。待て待て、お前が何を間違えたって?
 「涼宮ハルヒのデータに上書きしてしまった」
  ハルヒのデータに、お前のをか。
 「そう」
  まあ、それくらいなら、どうってことはない。明日また、ハルヒに聞いて登録すればい
 い話だ。だが、珍しいな、お前がそんなミスをするなんて。
 「無限とも言えるパターンの選択の一つ。たまにはある」
  そりゃまあ、そうだろうなぁ、と思う反面、なんか言い訳がましく聞こえたのは俺だけ
 だろうか。いや、別に今のミスを責めてるわけではないが。


233 :携帯電話 4/5:2007/09/16(日) 21:59:34 ID:YcqTF8Yn
  頼んだ食事が運ばれてきてからは、二人とも特に会話もなく飯を食った。長門は、小柄
 な体格に似合わず、相変わらず健啖家だ。個人的には、良く食べる女は健康的で嫌いじゃ
 ないがな。
  昼食は終わったが、さぁて午後の予定はどうしたもんかな。当初の目的は果たしたわけ
 だし、このまま解散してもなんら問題はないが、それもいささか惜しい気がする。折角な
 ので図書館に誘ってみると、長門はあっさりと頷いた。
  あとはまあ、二人で勝手に読みたい本を読んで、俺はというと、分かりにくい専門用語
 の意味を長門に尋ねたりしながら、SFを一冊読破した。その頃には、丁度頃合の時間に
 なっていたので、長門に今持っている本を借りさせ、連れ立って図書館を出ることにする。
  なんとも色気のないデートらしきものだが、俺と長門にはこれくらいが丁度いいってな
 気もするね。
  その帰り道、長門は携帯のカメラのレンズを熱心に覗き込んでいた。どうやら何をする
 ものか分かっていないみたいだな。
 「長門、それはカメラだ。こうやると……」
  言いながら、カメラを長門に向け、携帯を操作する。カシャリ、と合成音声のようなシ
 ャッター音が響き、カメラは長門の無表情顔を映し出していた。……これは、思いがけず
 いいものが撮れたな。一応、保存しておこう。
 「あなた」
  不意に呼ばれて、顔を上げると、そこには長門の携帯が無機質な単眼を覗かせていた。
 再び、カシャリ、という音。
  待て、長門。今のは不意打ちだ。相当な間抜け面が写っているだろうから、速やかなデ
 ータの消去をお願いしたい。
  長門は少し考えるそぶりを見せたが、その時、長門の指が光の速さで動いた!……よう
 に見えた。というか、今明らかに保存したろう。
 「………あなたの家の猫だが」
  すげぇ露骨に話を逸らされた。まあ、いいか。長門なら、俺の間抜け面写真で妙な考え
 など起こすまい。さすがにハルヒも、俺の写真をホームページの客寄せに使おうとしたこ
 とはないけどな。
  それに、俺は今上機嫌なんだ。何故かって、そりゃあ長門が楽しそうにしてくれている
 からさ。ああ、今の長門は、きっと楽しんでる。俺でなくとも、誰が見たってそりゃあ明
 らかなことだろうぜ。


234 :携帯電話 5/5:2007/09/16(日) 22:00:36 ID:YcqTF8Yn
  さて、少しだけ翌日の話をするが、まず俺はハルヒにしこたま怒られた。なんでこんな
 にってくらい怒られた。どうも、俺の電話帳の一番上が、自分ではなく長門のデータにな
 っちまったのが気に食わないらしいな。まったく、子供かあいつは。
  その長門だが、部室に来るや、ハルヒの怒りを静めるどころか、わざわざ自分の携帯と
 俺のとを並べて、
 「おそろい」
  と言ったり、壁紙が例の俺の写真だったり、着信音が俺のキャラソ(以下略)で、ハルヒ
 の、お湯でも沸かせるんじゃないかと言うくらいの怒り顔は、できればもう二度と見たく
 はないね。
  そんな今日で世界が終わってもおかしくないくらい、大騒ぎな一日だったが、それすら
 も恐らくは、今の俺にとっては平凡な一日に過ぎないんだろうな。

  ……なに、無理やり綺麗にまとめてるように見えるって?心配すんな、気のせいじゃね
 ぇよ。


 終わる


235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:02:07 ID:YcqTF8Yn
 以上です。
 長門らしさを保ちつつ、キョンラブな長門を書くのは難しいな。
 気がついたらちょっと黒くなっちゃったよ。hahaha
 だが私は謝らない。


236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:12:53 ID:Z1yPntQX
 >>235
 GJ!
 古泉がアルバイトで殉職しない事を祈るぜ!


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:13:11 ID:7cy+oYHe
 GJ。やっぱり最後にハルヒが嫉妬する展開が好きだ。


238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:15:45 ID:atUzvhHB
 >>235  
 GJ!やっぱり長門はおそろいにしたがる娘なんだよw


239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:19:13 ID:pJOMfEzv
 >>235
 キョンの写メを光速の動きで保存する長門に吹いたww
 テラGJ!


240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:28:31 ID:Hb874Gn+
 >>235
 いいものが撮れて保存するのはキョンらしいな。
 それに対抗する長門もwGJ!


241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:31:45 ID:oau6XDnP
 店員の目にどのように映ったか考えるだけで、もうw
 GJ!

 >237
 そういう意見を見るたびに、同意しながらハルヒ×有希の妄想が蓄えられていくわたしは、テラ天の邪鬼w


242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:52:23 ID:UoqWzrNC
 >>235
 GJ!文章に書かれている長門の動作を一つ一つ妄想すると
 もう、床を転げまわります。長門かわいいよ長門。


243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:53:39 ID:Hb874Gn+
 >>242
 床をゴロゴロと転がり回る長門を妄想してしまった。

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(舟)
 何かとハルヒと張り合おうとする黒長門の言動が微笑ましいですな。ハルヒ馬鹿怒りで地球が危ないけど。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:総合SSSS・長キョン改変ガイドライン

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引用元:長門有希に萌えるスレ 104冊目

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