2007年09月14日

(SS)朝キョン「ネコの日3 -Error of cat-」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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548 :89:2007/09/13(木) 03:03:10 ID:WOslIIJt
 どうもお久し振りです。流れを読まずにネコ話第三話。更に増えて8レス位
 もはやネコとかラブコメとか何書きたいのかよく解らなくなってきましたが

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 ネコの日3 -Error of cat-

  人は日常に慣れてしまうと、不意の変化に驚いたり対応出来なくなったりするもんだ。
  それは物事が不変ではないように、当たり前と思っていたことが本当はそうでなかったりすることを無意識に恐れたりする。
  だから、そこに居るのが当然だと思える奴は、俺の後ろに席を構える唯我独尊を地で行く団長様と、後三人ほど居たりするんだ。

  その日、クラスの中に不自然な空白の空いたまま始まった朝のホームルームで、担任が口を開いた。
 「あー、朝倉くんだがー、今朝電話があって、風邪で休むそうだ」
  俺はその時、我が目を疑っていた。
  人間の病気なんてかかるわけのない、宇宙人製人型アンドロイドの一人である朝倉が風邪なんか引くわけが、ましてや優等生キャラを演じている以上休む筈がない。
  まさか何かあったのか、敵の宇宙人が攻めてきたとか? 出来れば喜緑さんの暴走に巻き込まれただけでいてくれと思うのは当然だと思うね。
 「ふーん。朝倉休みなんだ。珍しいこともあるのね」
  後ろでハルヒが呟いていたが、これは珍しいを通り越して異常事態の可能性だってあるんだと、俺はこいつには言えないんだよな。やれやれ。

  放課後、珍しく何やら用事のあるらしいハルヒが飛び出していくのを見送ってからSOS団の部室に行くと、予想通りの人物が窓辺に座っていた。
 「よう長門。今日はSOS団の活動は休みだそうだぞ」
 「あなたを待っていた」
  淡々とした口調だが、何処か焦っているように感じたのは俺だけだろうか。
 「朝倉のことか」
 「そう」
  長門はそれだけ言うと、手元の本を鞄に滑らせるように放り込んで立ち上がる。これは、付いて来いってことだよな。
  そのまま学校を出て、線路沿いを歩き、無言のままに宇宙人マンション(仮称)まで辿り着く。エレベーターに乗り込むと長門は迷いなく5のボタンを押した。朝倉は確か505号室だったな。


549 :89:2007/09/13(木) 03:04:25 ID:WOslIIJt
  まもなく俺と長門を乗せたエレベーターは5階に到着する。ドアが並ぶ通路に出ると、前方に小柄な人影があった。
  その人影は聞く者全てを失意のどん底に叩き落しそうな暗い唄を澄んだ高い声で歌い、気力体力諸々全てを吸い取ってしまいそうな奇怪な動きをしていた。
 「長門、どうやら階を間違えたようだな」
 「うかつ。次は間違えない」
  俺達はエレベーターへと引き返し――
 「お二人共、わたしを無視するおつもりですか?」
  背後から響く、柔らかい口調だが底にどす黒い何かを秘めていそうな声に、どうやら見なかったことにするのは無理そうだった。
 「――何やってるんですか喜緑さん」
  俺の問いに、異常行動をしていた人影――喜緑さんは何時も通りにやわらかい笑みを湛えてハッキリと答えた。
 「見ての通り、楽しくユカイに歌って踊っています」
 「いや全然楽しそうに見えませんが」
  あの牛が売られる歌が明るく聞こえるくらい凄いものになってたぞ。
 「おかしいですね。これだけユカイに騒いでいるのに一向に涼子さんの反応がありません」
  言われて気付いたが、喜緑さんが奇怪な行動をしていたのは505号室。朝倉の部屋の前だった。
  そりゃあんなことを家の前でされたら出るに出れんだろう。隣近所の住人も気の毒に……。
 「聞いた話では、引きこもりの天野さんの家の前で楽しく歌って踊ったら天野さんが出てきたと伺ったのですが」
  それはアレだろうか。神話の天照大神の話。岩戸に閉じこもった天照大神を呼び出すべく、岩戸の前で踊り騒いでその様子を天照大神が岩戸を開けて見ようとしたらこじ開けられて出てきたって話。
 「で、朝倉はどうしたんですか。引きこもっているんですか」
 「そう。涼子は閉じこもっている」
  喜緑さんでは話が進まないと判断したのか、長門が口を開いた。
 「わたしと江美里は昨晩237回目の意見対立を起こし、仲裁に立った涼子を巻き込んでしまった。涼子はその際江美里に強制的に引き起こされたエラーにより、現在彼女の部屋を元に作り出した情報制御空間に単独で閉じこもっている」
  また二人のケンカが原因かよ、と突っ込んでいる余裕はない。しかしまた、何でこんなことに。
 「わたしが過去に閲覧した文献を参照したところ、人間の有する病気であると判断する」
 「ええ。あれはまさに病気です。病んでしまったのです」
  二人揃って訳知り顔で頷かれても。一体何が言いたい。
  で、俺が呼ばれたのは何でなのかそろそろハッキリ言って欲しいんだが。


550 :89:2007/09/13(木) 03:05:41 ID:WOslIIJt
 「涼子はその情報制御空間に強固なプロテクトをかけていて、わたしや江美里でも単独では突破は出来ない」
 「端末監視権を持つわたしの上位権限を発動させ、その際に出来た綻びを縫って有希ちゃんが涼子さんと個体情報をリンクさせて情報壁をこじ開けさせます。
 そして一瞬でも開いた瞬間あなたを涼子さんの情報制御空間に放り込みます。何かご質問は?」
  喜緑さんが何やら難しいことを仰っているが、取り敢えず俺を朝倉の場所に放り込もうとしていることは解った。あれか。ライオンの檻に投げ込まれるウサギか俺は。
 「で、俺は中で何をすればいいんですか」
 「無論涼子さんの説得を」
  まぁそうだよな。普通に考えればそうなんだが。
 「中が人間の生存出来る空間でなかった場合は?」
 「骨は拾ってあげますよ。尤も残ればの話ですが」
 「何で説得に俺が選ばれたんですか?」
 「他に頼める人が居ないので。消去法ですね」
 「説得に失敗した場合は?」
 「涼子さんが根を上げて出てくるまで頑張って二人で生き延びてください」
 「……アダムとイブ」
 「つまり、産めや増やせでよろしいじゃないですか」
  どこぞの超能力者のようなことを言わないでください。記憶から抹消したい過去の一つだ。
 「質問は以上でよろしいですか?」
  あぁもうこの人を止めるのは俺には無理だ。何考えてるんだか俺には理解出来ない。
 「大丈夫」
  長門がハッキリと断言する。その根拠を教えてもらいたいね。
 「あなたならきっと涼子を連れ出してくれる。多分」
 「って、多分って何だよ!」
 「ごちゃごちゃ仰ってないで、行きますよ? 早く戻って夕食を作っていただかないと困りますからわたしが」
 「何か自分勝手すぎるこの人ー!」
  抵抗する間もなく、朝倉の部屋のドアに手を付いた二人に襟首を掴まれ、ドアに向かって投げつけられ――


551 :89:2007/09/13(木) 03:06:59 ID:WOslIIJt
  ――顔面からドアをすり抜けて床に転がった。
 「いってーな!! ……あれ?」
  そこは何の変哲もない玄関で、廊下があって、居間に続いていて。どう見ても普通に朝倉の部屋だった。
  ちゃんと空気もあるし、暑くも寒くもなく適温だし、後警戒するのはトラップくらいか?
 「――誰?」
  居間の方から、騒動の中心人物の声がした。
 「朝倉、居るのか?」
 「まさか……キョン、くん……?」
  一瞬の沈黙の後、ばたん、と大きな音が居間の方から響いた。
 「ちょ、ちょっと何でキョンくんがここにうぁこっち来ないで散らかってるからぁ」
  学校での様子からは早々お目にかかれない見事な慌てっぷりだが、長くは待っては居られないんだ。飯に間に合わなかったら、説得に成功しても喜緑さんがどういう反応を示すか解ったものではない。
  こいつのことだからきっと言うほどに散らかってないだろうし勝手に入ってもいいよな。いや別に普段生真面目委員長の素なプライベート部分が見たいとかそういうやましいことじゃないぞうん。
 「よう、朝く――」
 『だから来ないでってばぁっ』
  勢いよく投げ付けられた布が視界を塞ぐように顔に被る。何だこれ、シャツか? 脱ぎたてなのかまだ体温が残っていて生々しい。
  ともかくシャツを引き剥がしてさっさと朝倉を捕まえて帰る――
 「って、またネコかよっ!」
  そこに居たのは三度お目にかかる蒼い瞳の白いネコだった。

  朝倉ネコは脱ぎ散らかした、と言うよりも変身時に勝手に脱げた私服が散らばる真ん中に、いかにも不機嫌ですオーラを纏いジッと俺を見上げていた。
  何だこの展開は。想定外すぎる。俺は朝倉が閉じこもっているとしか聞いてないのに、何でネコと対峙しないといかんのだ。引きこもってるなんて聞いたら普通消極的なもんじゃないか? 何で強気なんだ。
 『今さっき有希と江美里さんが仕掛けてきたから何か来ると思ったけど……心の準備が出来てないのに』
  あー、取り敢えずうん、説得しないとだよな。
 「こんな所に引きこもってないで投降しろ親御さんが泣いてるぞー」
 『わたしに厳密の親と呼べる存在は居ないのだけど。強いて言えば情報統合思念体になるかしら』
  やけに冷静に返されてしまった。エラーで暴走状態じゃなかったのか。
 『そうだったけど、さっき有希とリンク繋いだ時に殆どのエラーは一時的に沈静化させられちゃったから。あなたが来るまでは』
  待て、それって俺が原因でまだ駄目ってことか? やっぱり人選ミスじゃないのか?
 『それに関しては……。とにかく、あなたは何もしなくていいわ。取り敢えず、座ったら?』
  鼻先で示され、俺は誘われるがままにソファに腰掛ける。と、朝倉が俺の膝の上に飛び乗ってきた。


552 :89:2007/09/13(木) 03:08:18 ID:WOslIIJt
 「おい」
  俺の声にも我関せず、とばかりに膝の上で丸くなって寛ぎ始める。何がしたいんだこいつは。
 『解んない』
  ちょっと待て、いい加減すぎるぞ。
 『嬉しいけど急すぎてどうしていいのか心の整理が付かないし、触れたいけど人型のままだとエラーが酷いし、でもこの距離は遠いし』
  抽象的過ぎる言葉は俺の理解を超えており、ただ呆然と声を受け取って頭を撫でてみるくらいしか出来ない。ゴロゴロと喉を鳴らして朝倉が蒼い瞳で見上げてくる。
 『鈍感』
  何だか解らないが、取り敢えず俺が非難されていることだけは解ったぞうん。
 『ねぇ、おなか空いてない?』
  言われてみれば、少し減ったかも知れん。バタバタしていたからな。
 『おでんがあるんだけど食べる?』
  そりゃ断る理由もないが。喜緑さんの対応はもう諦めよう。
 「ここで食ったものは元に戻った時も平気なのか?」
 『この情報制御空間はわたしの部屋にあったもの全てを丸ごと取り込んでいるから、食べ物とかも現実世界と同じものよ』
  ならいいんだが。食ったものが元の世界で猛毒でしたとか生命に係わることは勘弁してほしいからな。
 『温め直すだけだからちょっと待ってて』
  するりと膝の上から飛び降りてネコがキッチンへと姿を消す。直ぐにおでんの美味そうな甘い匂いが漂ってきたと思ったら、何時の間にか人間姿に戻った朝倉が鍋を持って来た。
 「ちょっとそこの鍋敷き取ってくれる?」
 「はいはい」
  何やらチラシのようなものが散らばるテーブルを片そうとし、ふとその紙の一枚に目が留まった。
  そこには、まるでパソコンで出力したかのような正確な印字でひたすらに英単語が書かれていた。
 『Like Love Like Love Like Love Like Love Like Love Like Love……』
 「あぁ、それ?」
  不気味な用紙を持って凍りついた俺に気付き、少々ばつの悪そうな顔で朝倉は苦笑する。
 「それは、前回の有希の反省文。百万回の書き取り」
  これが長門の字だというのは解る。前に見たことのあるお手本にでもなりそうな綺麗な字体だからだ。だが何故LikeとLoveの書き取りなんだ。
 「愛と恋とは違うのよ」
  サッパリ意味が解らん。


553 :89:2007/09/13(木) 03:09:38 ID:WOslIIJt
 「インプリンティングって解る? すりこみとも言うけど」
  雛鳥がはじめに見たものを親鳥と思いこむ、だったっけか。はて、あれは何の種類の鳥だったっけね。
 「ええ。そんな感じなのよ」
  説明それだけかよ。一体どんな感じなんだ。
 「さ、冷めちゃうから食べましょう」
  何だか上手いことはぐらかされた気がするが、腹が減っては戦は出来ぬ。この世界と部屋の主の機嫌を損ねぬ内に食ってしまおう。

  匂いからも想像がついたが、やはり朝倉のおでんはとても美味かった。俺のボキャブラリーでは美味いとしか形容しようのないくらいとびきりの美味さだった。これで白飯が冷凍のレンジ解凍でなく炊き立てだったらもっと良かったんだが。
 「しかし、ちょっと量が多いな。五人前くらいあるんじゃないのかこれ」
 「それは――本当は昨日三人で食べようとしてたから」
  昨日の夕食時に長門と喜緑さんがケンカして、それで夕食ごと有耶無耶になったのか。直後こいつが部屋に引きこもったから、下手すればこいつは昨日から何も食ってなかった可能性も考えられるのか。
 「多かったら残してもいいからね。具を足して明日も食べればいいし――」
 「なぁ、そろそろ本当のことを話してくれてもいいんじゃないか?」
  ピクリと、朝倉の方が震えた。眉を歪め、困った表情で口を小さくパクパクとしている。
 「あ、ネコ変身で逃げるのもナシな」
 「うっ」
  小さく声を上げて困惑の色が見え隠れしていた。尤も、ここは朝倉の作った空間内だから俺を殺そうが何しようがこいつの意のままなんだろうけどな。
 「あ、あの、その」
  普段の余裕で落ち着き払った様子からは想像も付かないくらい言葉を詰まらせて言いよどんで、それでもやがてハッキリと意志を固めて俺を睨むようにみつめてきた。
 「わたしも、わたしの中に異常なエラーが発生している。それは何時の間にか強くなって、止められない。止めたくないの」
  エラー。感情。ヒトとは違うアンドロイドはヒトの心に苦悩するのか。
 「江美里さんは許容し、有希は容認されている。でも、わたしだけは許されないもの。だからわたしはエラーを受け入れてはいけない」
  何で二人は平気で朝倉だけが駄目なんだ? 三人とも同じ宇宙人じゃないか。
 「忘れたの? わたしはあなたを殺そうとした。それにわたしは有希のバックアップ。メインを放置して勝手に壊れては意味がないわ」
  でも、と朝倉はそう呟いた。
 「やらなくて後悔するよりも、やって後悔した方がいい。当たって砕けろって、そう言うよね?」
  何時の間にか朝倉は俺の背後に回っていて、俺の背中に手を置く。待て、これはあれか、ナイフでグサリなのか。今更俺の危機判断能力を疑ってしまう。
  だが俺の腹に当たるのは鋭いナイフではなく背後から回された朝倉の腕で、背中に押し当てられたのは言葉にするには躊躇われるやわらかいものだった。
  後ろから抱きつかれている、と理解するよりも早く、視界が歪む。そう、これは朝比奈さんの時間移動の時のような。


554 :89:2007/09/13(木) 03:11:02 ID:WOslIIJt
 「朝倉、何を……」
 「答えはいらない」
  強い口調で遮られた。視界は暗転し、背中の温もりだけが残る。
 「何もいらない。ただ、言葉にするだけでいいの。一時的にだけどエラーが安定化出来るから。あなたの意思がある間にハッキリと伝えたかった」
  抱きついた腕に、僅かに力がこもる。ヤバイ、もう意識が途切れる。朝倉は一体何が言いたいんだ。もう聞こえない。

 「rg……」

  酷く遠い、意味を成さない言葉が聞こえた気がした。


 「――てください。起きてください。風邪を引きますよ」
  ゆさゆさと緩慢な振動が、闇の底に沈んでいた俺の意識を呼び起こす。
 「ん……? あれ……?」
  目を開くと、苦笑気味の喜緑さんと無表情の長門が揃って俺の顔を覗き込んでいた。
 「俺、何を……?」
 「あなたはわたしたちと共に涼子のおでんを食べた後、横になり直ぐ眠ってしまった」
  そう、確か帰りに喜緑さんに捕まって何故か朝倉の部屋で喜緑さんのお惚気を強制的に聞かされていたんだった。途中夕飯時になっておでんが出て来た時に、今日は帰れるのだろうかという心配もしたがこれはもう諦めるべきだな。
 「わたしの話で胸一杯になるほど感動なされたのですね」
  感動ではなくあまりのだだ甘っぷりに呆れで胸一杯ですよ。まさか会長とくっ付いていたとは知りませんでしたから。
 「ええ。わたしもまさか会長から愛を説かれるとは思っても見ませんでした。あの日の会長の言動は一字一句瞬きの回数まで克明に私のメモリーに刻んであります」
  長門が「また始まってしまった」と言いたげな目で俺を睨んでいた。あぁスマンこれは墓穴掘った。
  しかし、部屋を占拠された朝倉はどうした。キッチンで洗い物なのか? うまいこと逃げやがって。
 「わたしはどこかの誰かさんのように家畜擬態に逃げるなんてことはいたしません。堂々と正面から愛を受け止めます」
 「――くちっ」
  何やら可愛らしいくしゃみがキッチンから聞こえた気がするが、聞かなかったことにしておこう。
 「真正面から目と目が見つめあい、『これからもずっと隣で微笑んでくれ』だなんてささやかれたら……あぁ……」
  どうやら喜緑さんが遠い場所へと行ってしまわれた様だ。この様子だと指先とか溶けていてもおかしくは無いな。


556 :89:2007/09/13(木) 03:12:36 ID:WOslIIJt
 「……言われたら溶けるくらいに嬉しいもんなのか?」
  長門に尋ねてみると、ミリ単位だがハッキリとうなずく。ふむ……そんなもんなのかね。
 「あれ、江美里さん溶けてるけどどうしたの?」
  洗い物が終わってキッチンから顔を出した朝倉を見て、俺はふと悪戯心が芽生えたのは仕方ないことだろう。
 「なぁ朝倉」
 「ん? 何?」
  小さく首をかしげた朝倉の目をじっと見て、先ほどの言葉を呟く。
 「……『これからもずっと隣で笑っていてくれ』」
 「――っ!?」
  ぼん、という音がしそうなくらいに真っ赤に茹で上がった朝倉が、口をパクパクとして頬を手で押さえている。これはこれは……。
 「宇宙人はこの言葉に弱いのか。なるほど」
 「えと、あの、キョンくん、今のは――」
 「あぁ気にするな。会長の告白セリフらしい。こんなセリフサラリと吐くなんてきざっぽいよな。なぁ長門……?」
  ふと長門を見ると、絶対零度の凍りつきそうな瞳でじっと俺を見据えていた。
 「あなたは鈍感。地雷を踏み抜いた」
 「何を――」
  と、言いかけた俺の喉に、銀色の凶器が触れる。振り返らなくても解る。俺の背後に回りこんだ殺人鬼の愛用するごついナイフだ。
 「どうしてそう、わたしのエラーをキョンくんは無遠慮に踏みにじるのかなぁ?」
  既に皮一枚がかすっているナイフに指先一つ動かせず凍りついた俺の前、ゆらりと陽炎のように人影が立ち上がった。
 「会長をけなすことは許しません……」
  髪をゆらゆらと揺らしながら喜緑さんが、眼力だけで人が殺せそうなくらいの視線を俺に投げかける。
 「な、長門さん……?」
 「最早わたしに二人は静止不可能。おとなしく受け入れるべき」
  頼みの綱の長門は静かに立ち上がり距離をとって退避する。これは、俺の人生終わったってことですか……?
 「ねぇ、死んで」
 「お仕置きが必要ですね……」
  俺はただ明日の朝日が拝めることだけを祈って、黙ってその目を閉じた。

  その後の記憶がぱったりなく、気付いたら翌日の朝で、五体満足で朝倉の部屋のソファに転がされていたことだけを追記しておこう。


557 :89:2007/09/13(木) 03:14:50 ID:WOslIIJt
 以上。段々キョン語りではなく自分の書き方になってますが
 取り敢えず全国の天野さんごめんなさい
 ネコ話はこれ以上引っ張ってもどうかと思うのでもう終わりで
 当日仕事あるけど仮病使ってコナシ参加してしまおうか悩み中
 ではまたネタが出来たら。お休みなさい


558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/13(木) 03:41:57 ID:f8xIptLk
 乙。


559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/13(木) 09:10:57 ID:sFhY8YkW
 >>557GJ
 やっぱり甘い朝倉さんもいいなぁ
 汚れてるのしか書けない自分が欝だorz


561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/13(木) 21:53:42 ID:QlQfTW06
 >>557
 GJ!

 喜緑さんと朝倉さんによる“おしおき”のSSを思いついた漏れはどう見ても変態です。本当にありがとうございました。

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(舟)
 花という字をたくさん書いたら花園になる、って話を思い出した。
 喜緑さんがドアの前で歌い踊っていたら、恐くて外に出られねぇッス。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:総合SSSS・長キョン改変ガイドライン

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引用元:【涼宮ハルヒ】朝倉涼子さんと24陽に染まる教室で

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