(SS)朝キョン「ネコの日2 -Like or Love-」
(SS)朝キョン「ネコの日」の続き話。
勝手に今日輝いていたハルヒのレス:
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235 :89:2007/09/01(土) 00:30:16 ID:JkXGyFJB
どうも。流れも読まずに自重しないでまた来ました
ネコ話の続編投下させていただきます。ちょっと長くなってしまって7レスくらい
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ネコの日2 -Like or Love-
厄介事というものは当事者であろうとも、巻き込まれている最中だとそれは酷い災難なのだが、後から振り返ると大したことのない出来事だったりする。
喉元過ぎれば熱さを忘れるように、過ぎてしまえば案外どうてことの無いもんだ。
ま、俺の後ろの席の騒動屋が毎日のように事件を起こしてくれるお陰で、厄介事には多少は耐性が付いたんだろう。やれやれだ。
それは部室を後にして帰宅した時には、既に始まっていたんだ。
「キョンくーん、お客さん来てるよー。キョン君の部屋ー」
居間から顔を出して叫ぶ妹の言葉に、はて、と首を傾げる。
わざわざ俺に客なんて来るのか、と。
SOS団の面子なら先ほど別れたばかりだし、妹とも面識があるから名前が出てくるはず。
宇宙人姉妹、特に喜緑さんならきっと妹やお袋に気付かれぬよう部屋に直接来るだろうし、鶴屋さんがわざわざ俺の家にお見えするとも思えない。面識もあるしな。となると、谷口辺りだろうか?
やれやれ。また厄介なことじゃないのを祈るね。ともあれ、部屋の中勝手に引っ掻き回してないだろうな。
念の為ノックをすると、身動ぎする気配。本当に客人か。ちゃんと茶の一つ位出してんのかね? ともあれ深呼吸を一つ。
「よお、待たせた――なぁ?」
『あ、お邪魔してるわねキョンくん』
蒼い目をしたネコが俺のベッドの上で寛いでいた。
236 :89:2007/09/01(土) 00:32:45 ID:JkXGyFJB
「ちょ、おま、朝倉ぁ!?」
『どうしたの? 素っ頓狂な声を出して』
当の本人(ネコ?)はすっかりネコ姿が板についた様子で顔を洗っていたりする。
「お前、とうとう人間辞めてこんな姿になっちまって――って、元から人間じゃないか」
『何だか凄い誤解しているようだけど、今日は意図的にわたしの身体をこのネコ姿に作り変えただけよ』
前回は長門にネコにされたんだったな。今度は自分からとはまたよく解らんことを。
『話、聞いてる?』
「すまん、厄介事なら他所を当たってくれ」
ほら、古泉辺りならどうだ? きっとあのニコニコスマイルで親切にしてくれると思うぞ。
『そんなこと言っても、わたしのこの変身――厳密には違うけど――を知ってるのは有希と江美里さん除いたらキョンくんしか居ないし』
ふにゃ、とあくびをしながら言うセリフなのかねそれは。見た目にもそうだが緊張感に欠ける奴だ。
『ちょっと家を追い出されちゃったから一晩泊めて欲しいだけなのに』
家ってあの宇宙人マンション(仮称)だよな。それぞれで部屋用意されてるんじゃなかったのか。お前は505号室だっけ?
『いえ、わたしの部屋で二人がケンカ始めちゃって……』
「すまん。俺が悪かった……」
苦労してるんだなお前も。
『うん……』
どうにも釈然としない様子だが、朝倉は溜飲を下げたようだった。
「で、何でネコ姿なんだ」
脇を抱えて持ち上げると、胴をだらしなく伸ばしながらネコは困ったように目を細める。
『二人の激突のとばっちりを受けないよう逃げる時に咄嗟の判断で……。その後道を彷徨っていたらあなたの妹さんに拾われてここに』
今度妹には変な物を拾っちゃいけませんと注意しないといけないな。
『酷いわね。わたしも前回の姿を覚えられてるとは思わなかったけど』
しかし、自分で変身したのなら、自分で元に戻れるんじゃないのか? って、まさか……。
『大体あなたが想像した通りよ。っと……』
俺の手を振り解いてベッドの上に着地したネコは毛布の中に潜り込む。はみ出した尻尾の先をクルリと回転させると、部屋中に光の粒子が現れた。それらはネコが隠れている毛布へと集まり、吸い込まれていく。
まるで音もなく崩れ行く身体が逆再生して元に戻るように。
237 :89:2007/09/01(土) 00:33:55 ID:JkXGyFJB
やがて漂っていた光の粒子が消え、膨らんだ毛布から人間姿の朝倉が顔だけを出した。想像通り、毛布の下は裸で。
「どうしても姿を変える時に服が脱げちゃうのよね。涼宮さんの力には勝てなくて」
まて、何でそこでハルヒが出てくるんだ。また何かやらかしたのかあいつは。
「どうも、昔見たアニメか何かで『魔法少女が小動物に変身すると服が脱げる』とか、そんな感じのイメージを持ってるみたい」
そんな昔のことまでは干渉出来ん。今まで変身魔法少女が現れなかったから解らなかったんだな。
「着衣自体は情報操作で作れるけど、ネコの姿じゃないと今は不都合だと思うわ。だって――」
「猫さーんあそぼー」
勢いよくドアが開き、シャミセンを抱えた妹が飛び込んできた。
「にゃぁん」
瞬く間にネコ姿に戻った朝倉が毛布の中からごそごそと姿を見せる。
「猫さん猫さんお友達ー」
「ふにゃ」
やる気のないシャミセンはベッドに置かれた途端に丸くなって寝の体勢に入り、妹が抱き上げた朝倉は少々困ったように声を上げた。
「キョンくん、この猫さんのお名前はー?」
「あぁ、そいつはあ――」
「にゃー」
ネコの鳴き声に俺の声は遮られる。しまった、つい朝倉と呼ぼうとしてしまった。そりゃネコ姿のまま名前呼ばれちゃ不味かったな。
「えーとな」
胡乱そうな蒼の瞳に見つめられ、必死に無いボキャブラリーを漁る。体毛が白いからシロ? 目が蒼いからブルーとか?
「にゃん」
痺れを切らしたのか、妹の手から逃れた朝倉が俺の足元に擦り寄ってくる。妹が「おー」と唸りながら丸い目をキラキラと輝かせてその様子を見ていた。
「この猫さんはキョンくんのことが好きなんだねー」
「そんなまさか」
こいつに限ってそんなことは無いだろう。俺を殺そうとしたやつだぞ?
「そんなことないよ。今日もキョンくんに会いに来たんだよねー?」
「にゃぁーん」
くそう、ネコ姿だからって好き勝手に遊んでやがるな。
「お邪魔みたいだからシャミいこー」
眠っていたシャミセンを抱き上げ、妹は残響を残しそうな勢いで部屋を飛び出していく。
全く慌しい奴だな。何をしに来たんだ一体。
238 :89:2007/09/01(土) 00:35:06 ID:JkXGyFJB
『キョンくん……』
何故に俺が気の毒そうな目で見られなければならんのだ。大体お前は俺だけに聞こえる声で話しかけるとか、そういう芸当も出来るだろうに。
『そうだけど、ちょっと面白そうだったから』
何で俺の周囲にまともな人格者が居ないのかね。下界に舞い降りた麗しの天使、朝比奈さんがますます眩く見えるね。
『わたしは別に気にしないけど、女の子の前で他の女の子の話するのは止めた方がいいと思うな』
そうかい。よく解らんが忠告ありがたく受けておくよ。
首根っこを摘みあげるとだらしなく身体を伸ばし、ぶらぶらとネコが煩わしそうに揺れる。しかし、よくよく考えるとお前……。
『何よ?』
「服が脱げるってことは、この格好だと即ちはだ――ちょ、引っ掻くな! 待て、爪止めろ爪っ!」
「時に聞き忘れていたんだが、ケンカの原因って何なんだ?」
そんな重要なことを思い出したのは、もう就寝という時間だった。
ちゃっかりベッドの上で丸くなっている朝倉の姿にシャミセンも遠慮したのか妹の部屋に行ってしまった。
『それは……』
朝倉は珍しく口ごもる。そんなに言い難いことなのか。
『いえ、説明するには簡単だけど、理解するには難しい、って感じかな』
何だそれは。
『んー……じゃあさ、キョンくん、妹さんのこと好き?』
まぁ一応は可愛い妹、になるんだろうね。肉親を嫌いになるのは相当なことだろう。
『なら、わたしは?』
……正直に言おう。その時俺は完全に言葉を詰まらせた。
俺はこいつのことをどう思っているんだ? 命を狙われたにしては今じゃ能天気な付き合いをしている。
殺人鬼相手に好きと言えるわけが無い。だが、嫌いだと一言で切り捨てられないのは何でだ?
『まぁ、そういうリアクションになるは仕方ないよね』
目を細めたネコに、寂しげに笑う表情をした朝倉の顔が重なって見えた。
『ちょっと脱線しちゃったみたいだけど、簡単に言うと……有機生命体の感情について複雑に差分化する捉え方の差異』
よく解らん。わざと難しい言い回ししてないよなぁ?
『あなたが理解出来るとは思ってないから構わないわ』
……俺、貶されてますか?
239 :89:2007/09/01(土) 00:36:15 ID:JkXGyFJB
『そうね、価値観の違い、みたいなものかな』
その程度で姉妹喧嘩に発展するとは、宇宙人は皆喧嘩っ早いのか?
「そもそもお前は二人を止めなくていいのか」
『……わたし一人で二人を止められると思う?』
すまん、俺が悪かった……。
『まぁ、お互いの主張は解らなくも無いし、支持してあげたいとは思うけど……わたしにはやっぱり理解出来ないことだから』
そう言って朝倉は枕元に擦り寄ってくる。やれやれ、結局またこうして寝る羽目になるのか。目が覚めたらまた裸でしたってオチは勘弁な。
『大丈夫よ。わたしが変身を解かない限りはこの姿のまま』
そうかい。ま、お互い気まずい思いをしたくないしな。それじゃ、お休み。
『うん……おやすみなさい』
『…………』
『……もう、寝ちゃった?』
『…………』
「…………」
「本当は、有希の気持ちも解らなくもないの。江美里さんの主張も」
「でも、やっぱり有希の想いは違うんだと、解るのよ」
「ならわたしはどうなのか、それも解らない。いえ、解りたくないの。怖いから」
「理解出来ないままで良かったのに……エラーが積もっていくから」
「…………」
「ねぇ、こうして傍に居たいと思うのは、傍に居て暖かい気持ちになるのは何故?」
「有希や江美里さんと居る時と違う感覚を、わたしは知りたいと思うし、知りたくないとも思う」
「卑怯よねわたし。こんな風にしか接することが出来ないなんて」
「――前回は、ネコ姿だったけど……御免ね……」
「……っ……」
「やだ、酷いエラー……きっと顔赤くなってる……寝てる時でよかった。早く戻ろ……」
『ううぅ……まだ顔赤いかなぁ……』
「あらあら大胆ですね♪」
『――ッ!?』
240 :89:2007/09/01(土) 00:37:25 ID:JkXGyFJB
包まっていた毛布が引っぺがされた、と気付くのは俺がベッドから落下して頭を強かに打ち付けてからだった。
「んな……?」
痛みに痺れる後頭部と逆さまの視界の中、ネコ姿じゃない裸の朝倉が毛布を身体に巻きつけて真っ赤な顔をしていて、その隣に見下ろすように床から10センチ程宙に浮いた喜緑さんが立っていた。
「涼子さんのプログラムが解けない程わたしは愚かではありませんよ?」
何時もの涼しげな笑みで喜緑さんが見下ろす、というか見下してるように見えるのは気のせいかね。
「でも……一瞬でなんて……」
「解かれると思っていなかった。いえ、もしくは、心の中で解いて欲しいと思っていたのかも知れませんよ?」
「…………」
意味ありげな言葉に沈黙する朝倉。えーと、現状を説明して欲しいのですが。
「有希ちゃんは今反省文代わりに単語の書き取り中です。百万回ずつ」
あぁ……やっぱり負けたのか長門。あいつの能力なら直ぐ終わるだろうが、鬼畜な報復方法だ……。
「で、やはり涼子さんはわたしと同じ後者でしたか」
「なっ!? そ、そんなことない! わたしに解る筈がないじゃない!!」
「いや、一体何なんだ……?」
だから俺に解るように説明してくれ。二人で勝手に話を進めんで欲しい。
「そうですねぇ……あなたは男女間の友情は確立すると思いますか?」
はぃ? 何でそこで友情と言い出すのか。脈絡がなさ過ぎる。
「そんな、俺達は友人だってのは、勝手な思い込みなんですか?」
だが、待っていたのは凍りついた表情をした二人のさげずんだ視線だった。
「……それ、本心……?」
「あら……これは何とまぁ……」
朝倉はナイフの切っ先のような鋭い視線で俺を射抜き、何時も微笑の喜緑さんまで苦笑のまま表情をこわばらせていた。あの、俺、何か変な事言ったか?
241 :89:2007/09/01(土) 00:38:38 ID:JkXGyFJB
「人間はさあ、よく『バカは死んでも直らない』って言うよね。これ、どう思う?」
突然何だ、谷口の話か? 確かにあいつは一回や二回死んだところで変わりはしないと思うが。
朝倉はにっこりと笑い、毛布から手を離して――何処からともなく取り出したナイフを構えた。
「じゃあ死んで」
「前置きなし!?」
って、何時の間にか部屋のドアや窓が壁に置き換わってるし! 何時部屋を乗っ取ったんだよ!
「すいません。今回ばかりはあなたに味方出来ません……長門さんがこちらに向かっているので止めてきますね」
「喜緑さんまで!」
まるで透明になって宙に解けるように喜緑さんの姿が消える。恐らく言葉通りに長門の足止めに。喜緑さんは助けてくれず、頼みの綱の長門も期待できないなんて、これじゃ見殺しかよ。
「だって、あたしは本当にあなたに死んで欲しいのだもの」
そのセリフ禁止! あぁ畜生立ち上がるな裸だって忘れてんのか毛布被れ俺は視線何処に向ければいいんだよ!
「――バカ」
「彼にも一度、『Like』と『Love』の英単語を辞書で引くことをお薦めしましょうか」
「……鈍い。回りくどい。いくじなし」
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ヤンデレと言うよりグサデレになってました
男女間の友情は余程達観しない限り片方が踏み込んでしまうから維持は難しい
オンリーイベント楽しみです。ではその内ネタが出来たらお邪魔します
243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/01(土) 01:12:46 ID:7qGsykcH
>>241
今回も萌え萌えさせていただきました
244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/01(土) 01:19:55 ID:6DkcVXA/
>>241GJ
キョンはもう少し他人の気持ちが分かるようになるべきだ
変に老成してるくせに、そう言うとこだけ小学生レベルなんだから
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(舟)
刃物を持った全裸の美女に襲われる。恐ろしくもあり、羨ましくもありますな。
ちなみにあと数時間で朝倉涼子オンリー「無駄なの★」ですな。
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