2007年08月15日

(SS)長キョン「読書感想文」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/12(日) 11:52:51 ID:ZXOnj6Pb
 高校の頃は「宇宙のエンドゲーム」という科学系の本で感想文書くという、ある意味ラノベで書く以上の愚行を成し遂げた俺。
 ところで長門に感想文書かせたらどうなるんだろう?


599 :SS:2007/08/13(月) 11:10:05 ID:LY7YBY2m
 >>452の内容で妄想が沸いたのでちょっと書いてみた。長くなったので読み飛ばし推奨で。


 土曜日で授業が半ドンで終わったその日、放課後に俺が文芸部室で見たものは
 分厚い本を傍らに置き、白紙の原稿用紙をひたすら見つめ続ける長門の姿だった。
 「……………」
 俺が入ってきた事にも気付いていないらしい。ペンを片手に、集中して本の文面と原稿用紙を
 繰り返し見ている。
 「どうしたんだ、長門?」
 声をかけると同時に左右に動いていた目線が停止し、俺の方に向く。
 「……………」
 俺を見上げる表情には、相変わらず何の感情も無いように見えるが……ひょっとして困ってないか?
 「読書感想文の宿題」
 あー、現国の教師が忘れた頃に要求してくるヤツか。確か発表もさせられるんだよな。
 って、お前ならその程度簡単なんじゃないのか?
 「再提出を要求させられた。不可解」
 言いつつ、床に置いていた鞄から原稿用紙の束を取り出し俺に差し出す。
 「どれどれ……」

 ……………。

 ……なるほど。
 執筆当時の作者の背景からそれが投影された登場人物達の物語的役割、そこから派生する
 展開の必然性から無意識に抽出されたテーマ性についてまで、事細かに書かれている。
 が………。
 「長門、これじゃ感想文じゃなくて論文だぞ?」
 「同じ事を教師からも言われた」
 そう、これには作品の分析こそ書かれているが長門自身の感想が一切書かれていない。
 「主観が混入すれば、作者が本来読者に求める共感を誤認する可能性がある」
 「……あー、感想文ってのはそれでいいんだ」
 頭を書きつつ、俺は言葉を捜す。
 「作者が何を考えて小説を書いたかなんてのは二の次三の次だ。物語を読んで、
  自分がその登場人物だったら一体この場面でどういう行動をするだろうとか、
  単純にこのシーンが面白かったとか、このシーンでは悲しかったとか、
  そういうのを書けばいいのさ」


600 :SS:2007/08/13(月) 11:12:08 ID:LY7YBY2m
 「……………」
 極僅かに小首を傾げる。
 うーむ、どうもまだ分かってもらえんらしいな。
 日頃長門には世話になりっぱなしだし、こういう時くらいは助けになりたいもんだが。
 「なあ、その再提出日ってのはいつなんだ?」
 「明後日の月曜に提出を要求されている」
 「そうか……それじゃ長門、明日ちょっと時間取れるか? もし迷惑じゃなければ
  図書館あたりで教えられる所は教えるが……」
 「………(こくり)」
 今度の頷きは、やけに早かった。


 翌日、俺と長門は図書館にいた。
 幸いにしてSOS団としての休日活動も今日は無く、安心して過ごせる一日になりそうだ。
 まず前日の夜に家の俺の机から引っ張り出した俺が以前書いた感想文―――タイトルも覚えていない
 10Pほどの短編の私小説をざっと読んで一夜漬けで書き上げた、お世辞にも誉められた出来ではない
 代物だが―――を長門に渡す。
 まあ再提出は求められなかったし、一応感想文にはなっているだろう。
 「この程度でいいんだ」
 「……………」
 長門は無言で受け取り、静かにそれを読み始める。
 何だか人間国宝に素人の陶芸品を鑑定してもらうような気分だ。
 ちなみに今回長門が感想文を書こうとしている小説は、やはりハードカバーで、しかも俺だと
 外観を見ただけで読む気が失せるほどの分厚さのロシア文学だった。
 どこかの兄弟が金貸しの老婆を殺してしまって……とかいう作品らしい。
 と、そんな事を考えている内に長門は俺の感想文を読み終わり、俺に返してきた。
 「『感想文』というものの構成は理解できた」
 「分かったか?」
 「実際に筆記してみる。不明点、誤りが発生した場合の添削を頼みたい」
 「ああ、任せとけ」
 まあ、一度やり方さえ理解すれば長門なら大丈夫だろうけどな。
 「要は難しく考えなきゃいいんだ。その時その時で自分が感じた事や思った事を
  そのまま書けば問題無しだ」
 「……そう」
 そう一言だけ返すと、長門は自分の手前の原稿用紙に目を向け書き始めた。


601 :SS:2007/08/13(月) 11:13:13 ID:LY7YBY2m
 筆記音と、シャープペンシルの乾いたノック音が規則正しく聞こえるだけの空間。
 やはり俺が添削や途中で指導を入れたりする場面は無さそうだ。
 ………。
 ………。
 ………。
 いかん、眠くなってきた。
 安心したというのもあるが、この図書館の程よい気温設定と眠れといわんばかりの静けさ。
 それに加えてさっきからの聞こえる長門の規則正しい筆記音が催眠効果でもあるかのように
 俺を安息の眠りへと誘う。
 って、本当に瞼が下りてきてるし。
 本当にいかん、せめて、長門に一……言……だ……


 とんとん。
 誰かが肩を叩く感触で、俺は目を覚ました。
 「あ……?」
 寝ぼけ眼で叩かれた方向を見ると、既に荷物を纏めた長門が立っていた。
 「書き終わった」
 「あ……そ、そうか……悪い。完全に寝ちまってた」
 「構わない」
 どうやら俺は結構な時間寝てしまっていたらしい。開館直後に入ったのが、既に壁の時計は
 昼過ぎを刺している。
 あわてて自分の荷物をまとめつつ、長門に聞く。
 「で、どうだ? 満足のいく感想文は書けたか?」
 「書けた」
 そう短く長門は答えると、最後にもう一言付け加えた。
 「とても」


602 :SS:2007/08/13(月) 11:14:37 ID:LY7YBY2m
 ………変だ。
 翌日。昼休みの食堂で俺が感じたのは強烈な違和感だった。
 視線が、それも幾つもの視線が俺に向けられている。
 試しにその1つに目線を向けてみる。複数の女生徒が、こっちが見返したのに気付いて
 何か興味深そうに話を仲間内でしている。
 こんなのが昼休み突入直後から続いていて、正直昼飯の味が分らない状態だ。
 「どうやら、まだご無事だったようですね」
 と、その違和感の中で更に良くわからない事を言いつつ古泉が俺の前に座った。
 何故かその横に原稿用紙を持った長門がいる。
 おい、何故一緒にいるのかとか聞きたい事は色々とあるが、一体こりゃ何なんだ?
 「……何も知らないんですか?」
 まるで相手が核戦争勃発のニュースを聞き逃したかのような目で古泉が俺を見て、溜息をつく。
 そしてそれが合図ででもあったかのように、長門は俺に原稿用紙を差し出した。
 「長門さんが、今日の授業で発表した読書感想文です」
 そういえば、完成したとだけ聞いて内容は俺も一切知らなかった。
 「読んでいいのか?」
 一応長門に断りを入れる。肯定の頷き。
 「どれどれ……」
 ワープロで打ったかのような鮮やかな明朝体の文字を読み進める。
 読み始めてすぐに、俺は長門が感想文の書き方を覚えたのだと理解した。難解な文章は
 影を潜め、分り易い感情移入や感想に終始している。
 だが、無表情な長門はともかく横の古泉は困ったような苦笑を浮かべている。
 「まったく、困った教え方をしてくれたものです」
 「だからもうちょっと分り易く言ってくれ、何の事だか……」
 古泉の言葉に読みながら答える俺の言葉は、原稿のある部分で停止した。

 『原稿から目を離し、顔を上げると彼が寝息を立てていた。
 その寝顔を見るだけで私は心地よさを感じ、安堵する。完全に無防備な寝顔。
 ふとした衝動にかられ、私は彼の唇に……』

 「……長……門……さん?」
 多分、長門に向けようとする俺の首はキリキリと音をたてていただろう。
 長門は、若干戸惑っているような感じで答えた。
 「貴方の指導に反する文面は書いていない。瞬間瞬間で私の中に発生したものを筆記しただけ」
 「最後まで読めば、知っている方なら貴方である事が分るようにできています。
 おかげで長門さんのクラスでは半分公認カップル扱いですよ。昼休み直後、閉鎖空間の急激な発生が
 確認できましてね……調べてみたらこれだった訳です」
 古泉の補足説明を聞く俺は、さぞ複雑な表情を浮かべていた事だろう。
 嬉しさと照れくささと絶望感って混ざるもんなんだな。
 「……僕は今から『仕事』に向かいます。どうかご無事で」
 まて古泉、わざとらしく十字を切って席を立つな。お前の神はハルヒだろうが。
 遥か遠くから怒涛の勢いで食堂に迫る足音の響きを感じつつ、俺は弁明の内容と遺書の文面のどちらを用意するべきか考えていた。


603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/13(月) 11:23:00 ID:CNkHCHYm
 >>599-602
 GJ!


604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/13(月) 11:23:16 ID:qZTMVKql
 全部読んだぜw
 こりゃすごい。GJ!
 「再提出を食らう」という不得手がまたかぁいい
 この分だと俳句の授業とかもダメそう…


605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/13(月) 11:48:47 ID:t3dHBr+3
 何というGJ


607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/13(月) 12:08:13 ID:bXZPyxAu
 悶えた・・・
 GJ!
 苦手なものがあるというのもいとしく思う
 その後のキョンは・・・

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(舟)
 読書感想文を書いている時の感想を書く。ユニーク。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:総合SSSS・長キョン改変ガイドライン

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引用元:長門有希に萌えるスレ 98冊目

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