2007年07月14日

(SS)朝ハル「笑顔の二乗 TypeS」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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681 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 02:06:28 ID:Z6+2JJmn
 流れも読まずに初カキコで投下させていただきます

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 笑顔の二乗 TypeS

 「朝倉ってさ、いつも笑ってるわよね」

  それは突然の言葉。
  観察対象が、わたしに向けた初めての言葉。
 『……え?』
  図らずもキョンくんと声がハモってしまったが、それが疑問になるのは仕方ないこと。
  涼宮さんが、『鍵』である彼やSOS団の人間――厳密に言えば違うのかも知れないが――以外に、わたしに話しかけている。
  ほら、キョンくんが「何言ってるんだコイツは」みたいな顔をしている。変な顔ね。
  しかし、観察対象と友好的なコミュニケーションを取れるのは好ましい事態だけど、わたしはやはり困惑していた。
  規定事項に含まれていない行動。同期で知り得なかった情報。想定外のイベント。
  書き換わっている、レールから外れだした未来。
 「えっと、何で笑えるかってこと?」
  筋書きのないシナリオだから、慎重に事を進めなければならない。
  涼宮さんは視線だけで先を促がすように頷く。
 「やっぱり、日々を嫌々に過ごすよりは楽しく過ごしたいじゃない?」
  ここで選択ミスをしてはいけない。これはきっと最後のチャンスだから――
 「そんなの当たり前でしょ」
 「うん。だからね、自分から楽しいこと嬉しいことを呼び込めるようにって」
  台本のない芝居は緊張する。言い繕いはこんな所で大丈夫だろうか。
 「ほら、笑う角にも福来るっていうじゃない。笑顔でいれば、きっと楽しいことどんどん舞い込んでくると思うから」
  本当は笑顔なんてコミュニケーションを円滑に進める手段の一つに過ぎないかも知れないけれど。
 「逆に、いっつも不貞腐れてたら福も寄って来ないんじゃないかなって」
  最後にちょっとだけ意地悪を言ってみたり。余計だったかしら。
  驚き納得顔のキョンくんとは対照的に、涼宮さんは未だ眉根を顰めた顔をしていた。
 「嘘でしょ」
 「……えっ……」
  だから、その言葉はわたしにとって鋭いナイフになって襲いかかる。

 「だって、あんたいつもつまんなそうに笑ってるじゃない」


682 681:2007/07/14(土) 02:07:34 ID:Z6+2JJmn

  その時わたしは凍り付いていた。

  指摘されたことが図星だったということ。
  心が締め付けられる錯覚。それは偽りの感覚。

  確かに、学生生活も友達付き合いも委員長の仕事も、全て与えられた役割であり作業。
  だけど、別に退屈と思うことじゃない。それなりに楽しいって思っていた筈なのに。

  それなのに。わたしは観察対象に悟られる程に表情の一つも作れないというのか。

  所詮わたしの笑顔は作り物。
  わたしのかんじょうはつくりもの。
  ワタシのココロとカラダはツクりモノ。
  ワタシハヤクワリヲハタスダケノツカイステノニンギョウ。

  ――いや、違う。例え作られた物でもわたしは――

 「そう、仕方なーく笑ってますってのがあたしは嫌なのよ」
  わたしが停止している間にも涼宮さんの話は続いていた。
 「どうせ笑うなら心の底から思いっきり笑いたいじゃない。楽しくて仕方がないって風にさ」
  あぁ、それはあなたのことじゃない。
  心から笑いたいって思っているのは涼宮さんで、心から笑っていないわたしが気に食わない……。
 「だからあたしはあんたのような笑顔が一番嫌なのよ」
  ――致命的な選択ミス。決定的な過ち。決別された関係は修復不可能。
  分岐されると思った未来はやはり一本道のレールだった。
  やはり、わたしは使い捨ての人形にしかなれないのか――
 「そうだ!」
  不意の叫び声に驚いたわたしは、突然伸びて来た手に反応できなかった。
  気付けば胸倉を掴まれたわたしに、涼宮さんが顔を寄せてくる。
 「朝倉、放課後付き合いなさい! 文芸部室に!」
 『はい?』
  あ、またキョンくんとハモった。そんな事を考えられる冷静さは残っているのねわたし。
 「特別にSOS団に仮入部よ! そして、あんたを心底笑わせてやるわ!!」
 「え……?」
  真っ直ぐにわたしに向けられた人差し指の意味を理解するのに、遅れた瞬き一つ分の時間がかかる。
 「っておい、朝倉まで巻き込むのかよ」
 「いーじゃない。あんたみたく出来の悪い団員も居るし、真面目な優等生キャラも必要になってくるかも知れないじゃない? ほら古泉くんは優等生っぽいけど転校生な訳だし」
 「お前なぁ……」
  キョンくんが何か言いかけたが、涼宮さんにあっさりと言いくるめられていた。
  えっと、どういうこと?


683 681:2007/07/14(土) 02:10:21 ID:Z6+2JJmn
  わたしが、SOS団に、入る?
  ただ、わたしを、笑わせるためだけに?

 「あんたみたいなのはなかなか本心見せなさそうだし手強そうだけどね。絶対化けの皮剥いでやるんだから」
  そのままわたしの頬を両側からぐにぐにと引っ張られる。涼宮さん手加減してくれないからちょっと痛い。
 「ひょ、しゅじゅみひゃしゃん、ひゃめて」
 「ふふん。ちょっとは面白い顔になったじゃない?」
  いや、それはあなたが引っ張ってるからでしょ。
  やれやれと息を吐くキョンくんを尻目に、涼宮さんはしばしわたしの頬で遊んで、ようやく手を離す。……頬赤くなってないかしら。
  頬を押さえるわたしを、新しいおもちゃを見付けた輝いた目で見つめ、涼宮さんはにやりと笑った。
  あぁ、あなたはそんなにも楽しそうなのに、それに気付いてないのね。なんて幸せで不幸な人。
 「この世の不思議を見付け出して、あんたをアッと驚かせてやろうじゃないの」
  涼宮さん、笑わせるんじゃなかったの? ちょっと内容がズレてるけど。
 「細かいことはどうだっていいわ。最終的にあんたが笑えばあたしの勝ちよ」
  そして、ぐっと親指を立てる。
 「あたしの辞書に不可能の文字は無いのよ!」

  ここまで自動的に話を進められてしまうと。わたしに残された言葉はもう、肯定の一つしかないみたい。
  吐息混じりに出た言葉と、自然に浮かんだ笑みは偽りではないと信じて――
 「……まぁ、お手柔らかに、よろしくね」
  その言葉に満面の笑みを浮かべる涼宮さんが、とても眩しく見えた。


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 やけっぱちに投下してしまった。今では反省している
 どっかで似た話見てもそれはきっと私ですから生温い目でスルーして下さい


684 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 02:39:04 ID:D2QJdVUQ
 >>681-683
 おお、これは続きが気になるw


685 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 02:49:38 ID:stuyLXKO
 ぐにぐにしてる時の顔が見たい


686 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 03:03:53 ID:SI2klaLt
 これはいい朝ハルですね
 朝倉さんの笑う理由が模範解答すぎてらしいなあと思ったけど、
 それを自覚してるって事は感情が生まれてきた朝倉さんなのかなあとか勝手に思った。


687 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 04:39:47 ID:Z6AnAsdH
 >>681-683
 復活した朝倉さんがどうこうってのは良く見かけるけど
 こういうのは初めて読んだ。
 是非ともシリーズ化希望。


690 名無しさん@お腹いっぱい。:2007/07/14(土) 11:47:02 ID:FfJCTvyU
 >>681-683
 これはなんという良作。
 シリーズ化激しく希望。

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(舟)
 ハルヒが朝倉に好意的な興味を示していたら....というifをかなえるSSですな。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:総合SS改変ガイドライン

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引用元:【涼宮ハルヒの憂鬱】朝倉涼子さんと22したい

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