2007年04月24日

(SS)佐々キョン「お友達」

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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925 :お友達 1/3:2007/04/24(火) 02:20:53 ID:Ta+Aps0O
 「お友達」

  あれは2月も半ばを過ぎた頃、さすがの俺も受験までの残り日数を数えられるようになり、
 そのプレッシャーをひしひしと感じていた、そんな頃だ。
  俺は進学を希望する北高を専願で望んでいたため、受験は後のない一発勝負というやつだった。
 もっとも、自分が落ちる可能性ということも、俺は毛ほども感じてはいなかった。そんな俺に対して、
 受験という一大イベントに、神経質になったのはどちらかといえば、お袋の方であり、家で有形無形
 のプレッシャーを掛けてくる家族から逃げるようにして、俺は図書館にやってきたのだった。
  もっとも、そこで勉強をしないで遊べるほど泰然自若としていないのが、俺の小人物的な所であり、
 今日も今日とて図書館で参考書を広げているのである。
 「その……お、お久しぶりです」
  消え入るような声で、俺を呼ぶ少女に気がついたのはノートにシャーペンを走らせ始めてから、
 小一時間ほど経った後だったろうか。参考書から目を上げると、俺に対して会釈する赤いダッフル
 コートにお下げ髪の少女がいた。数瞬、記憶から彼女をサルベージ。
  彼女に会うのは久しぶりだったが、以前にもまして、大人びていた。とても妹と同い年には見えない。
 後輩と言えば普通に通じるだろうな。そんな風に感じていた。
 「……やあ、キミか、久しぶりだね。どうしたの?」
 「その……本を借りようと思って……」
  彼女はそう言うと、恥ずかしそうに辺りを見回した。周囲には俺と同じように自習する
 学生たちがおり、そのいずれもが俺を親の敵でも見るような目で見ていた。
  フン、この程度で集中が乱されるようじゃ、受験には勝てないぞ。
 とは言うもののマナー違反はこちらの方なので、コートを着込みつつ、彼女をうながして、
 休憩エリアに移動する。参考書は置きっぱなしだ。この時期、場所取りも楽じゃあないのだ。

  ホント、久しぶりだね。そんな当たり障りのない会話をしながら、自販機で買ったカップの
 カフェオレを彼女に勧める。恐縮することしきりに彼女はゆっくりとそれに口を付けた。
  でも、ほんとずいぶん可愛く、いや綺麗になったよね。そんな言葉がすらすらと口から出てくる。
 いや、彼女との共通の話題が少なすぎるため、どうしてもそんな軽口を叩くぐらいしかすることが
 ないのだが、これがまったくもって逆効果、彼女は真っ赤になってうつむいてしまうばかりだ。
 「……そ、そんなことない……です」
  まぁ、そんな仕草を見せられて、こう何も感じる物がないといったら嘘になるわけで、
 「最近、家にも来ないみたいだけど、どうしたの?」なんて、俺は追い打ちを掛けていた。
 「受験だって聞いてたから……」
  なんということか、彼女は俺が受験で勉強しているだろうと、遠慮してくれていたわけだ。
 容赦なく算数ドリルを持ち込む我が妹とのこの違いはなんなのか。
 「……あ、そうだ。こ、これ……どうぞ。きゅ休憩の時にでも、食べてください」
  そういって彼女はピンク色の紙とフィルムで可愛らしくラッピングされた包みをくれた。
 包みはほのかに温かく、かすかに香ばしい匂いがした。
 「……そのちょっと作り過ぎちゃって……お裾分けです」
  ちらりと見えたポシェットの中にいくつか同じような包みがあったのを俺は見逃さなかった。
 誰かのとこに届けにでも行くつもりだったのだろう。これを受け取るであろう誰かに何とも言え
 ないもどかしい気持ちを感じる俺だった。
  ありがとう、そう告げて、コートのポケットにしまい込む。


926 :お友達 2/3:2007/04/24(火) 02:25:25 ID:Ta+Aps0O
 「やぁ、キョン。僕との約束の前に、逢い引きとはお安くないね」
  ゴフッ、逢い引きという生々しい言葉の響きに含んだコーヒーがむせた。
 「驚かせてしまったようだね、すまない。大丈夫かい」
  彼女から差し出されたハンカチを断わり、佐々木から差し出されたティッシュで顔面をぬぐう。
 こんなことで、彼女の綺麗なハンカチを汚すまでもない。そう、今日は一次志望の私立の受験が
 終わり、余裕の出た佐々木に勉強を教えてもらうという約束であったのだ。
  そんなんじゃねぇよ、と悪態をつく。俺とそんな風に見られたら彼女が可哀想じゃないか。
  くつくつと佐々木は沸騰したお湯をこぼすような笑い声を立てた。
 「いや、すまないね、謝罪させて貰うよ。驚かすつもりはなかったんだ。ただ、キミにね。
 こんな可愛らしい彼女がいるなんて、思いもしなかったからさ」
 「だから、そんなんじゃないって言っているだろ。彼女は……」
  俺のセリフを遮るようにして、
 「わ、私は吉村美代子っていいます。キョ…キョンさんのセックスフレンドです」

  ………熱ぃい。思わず、紙コップを握りつぶした。だらだらと、右手をコーヒーがしたたり落ちるが、
 気にはならない。
  な、な、な、なにを言っていやがりますか、この娘は? というか、知らない言葉を軽々しく使っ
 ちゃうのは、お兄さん、感心しませんよ。その一方衝撃的な発言を聞かされた佐々木はどんより
 と両の眼を濁らせたまま、携帯電話を取り出した。
  あ~、佐々木さん、館内は携帯禁止ですよ~。
 「キョン、見たところ、彼女は13歳未満のようだ。だとすると、たとえ同意の上であったとしても
 性行為は犯罪となる。わかっているね」
  そうですか、わかりません。ぼ、僕はですね、潔白です。この娘、吉村美代子さんはね、
 僕の妹の親友で、家にもよく遊びに来る仲でしてね。
 「そして、ふたりは一線を越えた……と。へ~。そうなんだ。ふ~~ん」
  目の下に怪しい影を纏わせて佐々木はつぶやいた。
  人の話はちゃんと最後まで、聞く。
 「いや、キョン。僕は冷静だ。僕は常に理性的かつ論理的な人間であるつもりだよ。
 キミが犯罪を、性犯罪という男として、人間として最悪の犯罪に数えられる罪を犯していたとしても、
 キミがそれをちゃんと償う気持ちがあり、反省し、罪を精算し、罰を受けるのであれば、僕らの間の
 友情は失われることはない。約束するよ。そしてさようなら、大好きなキョン」
  いや、だから、それなら、まず友人の潔白を信じる所から始めるべきではないか。
 彼女はミヨキチは、単なる友人なの。お友達、マイ・ディア・フレンド、アーユーオーケィ? 
 混乱して、できもしない英語で返答する俺なのだった。
 「そうか、ニックネームで呼び合うような仲なんだね」
  人の話を聞けよ、わからず屋。
 「やった!! 言われていた通りです」
  そんな俺たちを余所に、ミヨキチは小さくガッツポーズ。
  俺たちふたりはぽか~ん。
 「衝撃的な発言で、びっくりさせれば、ちゃんと本音で答えてくれるって、妹さんに
 言われていたんです。そうしないと、あなたはごまかすだけで、まともに答えてくれないって」
  は、はぁ、そうなんですか……。
 「それじゃ、私は行きますね。受験がんばってください。それから、お裾分けなんて嘘。
 気持ち、ちゃんと込めてますから」
  そう言って、ぴょこんと頭を下げて、ミヨキチは、俺たちの前から去っていった。
  って戻ってきた。
 「あ、それから、言葉の意味、ちゃんとわかってますから」
  ぴゅーと、風のように去っていく少女。
  その後ろ姿を俺たちは眺めるばかりであった。


927 :お友達 3/3:2007/04/24(火) 02:28:04 ID:Ta+Aps0O
  数瞬後、ククッ、佐々木がこらえきれない様子で笑みを漏らした。
 「一本取られたね、キョン。いや、一本どころじゃないな。三本先取で三本勝ちというところだ」
  まったくだ。女の子はわからん。
 「まぁ、それはともかくだね。手を洗ってきたまえよ、それから、さっきのとやらを頂こうか。
 彼女から、何か食べられるものを貰っているだろう」
  なんだよ、その辺りから見てたのか。
 「いいや、僕にはのぞき屋の趣味はない。ないがね、先ほどの顛末に関する精神的な慰謝料
 くらいはもらってもかまわないと思うんだ。キミから、そして彼女からね」
  左手でコートの右ポケットから先ほどの包みを取り出して、佐々木に渡す。
 「ふむ、まだほのかに温かいね。焼きたてというところか」
  そんな佐々木の返答を背で聞き流しながら、手洗いへと向かった。コーヒーはすでに乾き、
 右手はベタベタになっていた。

  便所から戻り、先ほどの自販機コーナーに戻ると、佐々木が備え付けのベンチで
 俺を手招きしていた。不機嫌そうに足を組んで、彼女はポリポリとクッキーをかじっている。
 見れば、彼女の隣にはティッシュに包まれたクッキーが置かれていた。
  うながされるままに座ると、佐々木が不機嫌さを隠すこともなく、俺に告げる。
 「一応、キミの分だ。もとより、キミが彼女からもらったものだからな。全部、僕が食べてしまう
 のも悪いだろう」
  チョコチップがまぶされた焼きたてクッキーは、なかなかの出来映えだった。
 これをミヨキチがクラスの男子に配ったら、金が取れるな、などとどうでもいい感想が生まれた。
 「それから、飲み物なしでクッキーを食べるのもつらいだろう。これは僕のおごりだ。心して飲み給え」
  そういって、佐々木は新しい紙コップを差し出した。
 さっきのコーヒーは二三口しか飲んでいなかったからな。
 ありがたく受け取る……ってココアかよ。
 「気に入らないのかね、僕の心づくしの贈り物だ」
  ぎろり、と眼光鋭く、佐々木の大きな瞳が殺気をたたえた。
  すみません。
  謝罪の言葉もそこそこに、甘い物を甘い物で流し込む。
  ココアとチョコチップクッキーでカカオが被ってしまったな。
 「キョン、確か妹さんは、今年、小学5年生になるのだったな」
  こくりと、頷く。
 「ということは十歳か……まったく、最近の小学生は……まったく」
  いやはやまったくだ。昨日覚えたはずの英単語も、数学の例題も完全に吹き飛んでしまった。
  ずずっと生ぬるいココアを啜る。
 「まったく……キミがそんなだから……まったく」
  佐々木がブツブツと聞き取りにくい声で、文句を続けていた。
  春は未だ遠く。そんな2月の頃のことだった。


928 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 02:31:32 ID:Ta+Aps0O
  最初はハルヒへ「セックスフレンド」と佐々木が答えるよくあるネタのSSを考えていた。
 崩子ちゃんとミヨキチのキャラ位置がかぶるなぁという妄想からこうなった。
  ミヨキチのイメージは欠片も残っていない。ミヨキチファンには正直すまん。


930 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 02:35:18 ID:lqTvLrh+
 >>928
 ちょwwwミヨキチwwwwGJwww
 どさくさにまぎれて大好きなキョンとか言ってる佐々木可愛いよ佐々木


931 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 02:50:48 ID:X87aAO3W
 ミヨキチ……恐ろしい子!


932 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 03:07:11 ID:Tn5wFCNL
 >>928
 ミヨキチにGJと贈りたいぜ!
 >>930
 佐々木は可愛いんじゃねぇ!美しいんだ!わかったか!
 それじゃあ気を取り直してもう一度叫んでみるぞ?


 せーの…


 佐々木可愛いよ佐々木


933 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 03:19:25 ID:gshlL+70
 これはいいね。
 外見は大人っぽいミヨキチより妹ちゃんの方が黒くてオトナってのがつぼだ。
 不足気味のミヨキチ分も補充されてGJ!

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948 :お友達(佐々木サイド) 1/3:2007/04/24(火) 11:36:50 ID:Ta+Aps0O
 「お友達:佐々木サイド」

  それは私の第一志望である私立校の受験がちょうど終わった頃のことだから、
 2月の半ばといった頃だ。世間ではヴァレンタインデーがどうのこうのと喧しい時期
 ではあったが、私は受験生だったし、そういった世俗的なイヴェントとは自分は関係
 がないというキャラクターをすでに構築していた。
  もっとも、若干約一名、世間的に言えばチョコレートを渡してもいい、渡すべき男の子
 の友人がひとりいるが、自分が決定的なアクションを起こすことで、彼との関係が変化
 してしまうことの方を私は恐れた。もっとも否が応でも彼との関係は一ヶ月後には決定
 的に変わってしまう。彼は中学の同級生であり、志望校は私とは異なっていた。順当に
 行けば私と彼とは離ればなれになり、その後は……
  そう今のように会うこともできなくなるだろう。
  そんなことを考えていたら、彼との待ち合わせ時間が近くになっていた。私は意を決し
 て、ワゴンの中から小さな包みを取り、会計をすませた。きっと、渡せない。確かな予感
 を胸に秘めて。

  今日は図書館で彼の勉強を見る約束だった。なんというか、主要五科目で彼に負けて
 いる物はなかったのである。中央図書館、見慣れた彼の自転車の横に自分の自転車を
 止める。さりげなく、くっつけちゃったりしてね。
  外から内部を覗く、机の並んだエリアに彼の姿はない。休憩でもしているのかな? 
 玄関に回り込んだ私は、なんとも不愉快な風景を目にすることになる。

  自販機の置かれた休憩エリアに彼はいた。見知らぬ女の子と一緒に。
  思わず、眉間を押さえてできあがったしわを伸ばす。なぜ、彼は私との約束の前に別の
 女の子と話し込んでいる。そして、女の子の上気した顔を見れば、用件は一目瞭然、
 ピンとくるとはまさにこのことだ。自慢ではないが、他人の表情から感情を読み取るのは私
 の得意とする所なのだ。意地の悪い笑みを顔に浮かべさせ、朗らかな口調で勢いよく話しかけた。
 「やぁ、キョン。僕との約束の前に、逢い引きとはお安くないね」
  ゴフッ、彼が含んだコーヒーで咽せた。いい気味だ。
  あらかじめ、準備していたティッシュを取り出して彼の顔をぬぐう。
 「驚かせてしまったようだね、すまない。大丈夫かい」
  ふふ、遅い…よ。反応がおくれた彼女はハンカチを片手に立ちすくむ。
 「そんなんじゃねぇよ」
  彼は彼女と自分の関係を言外に否定する、おやおやそんなこと言っていいのかなぁ。
 彼女が傷ついてしまうよ。
 「俺とそんな風に見られたら彼女が可哀想じゃないか」
  そんな彼の態度を見て、たまらず、咽から笑いがこみ上げた。
 「いや、すまないね、謝罪させて貰うよ。驚かすつもりはなかったんだ。ただ、
 キミにね、こんな可愛らしい彼女がいるなんて、思いもしなかったからさ」
  とりあえず、とりなしの言葉を述べておく。まぁ、そんな甲斐性がキミにあるとは思って
 いないが、彼と彼女が予想通りの関係であることに、心臓の奥が安堵した。
 「だから、そんなんじゃないって言っているだろ。彼女は……」
  彼のセリフを遮るようにして、彼女が叫ぶように言った。
 「わ、私は吉村美代子っていいます。キョ…キョンさんのセックスフレンドです」


949 :お友達(佐々木サイド) 2/3:2007/04/24(火) 11:39:18 ID:Ta+Aps0O
  その時、世界が静止した。
  彼は右手に握った紙コップを握りつぶした。びちゃびちゃと中身のコーヒーがこぼれ落ちる。
 だが、そんなことにはまったく頓着していないようだ。
 「な、な、な、なにを言っていやがりますか、この娘は? というか、知らない言葉を軽々しく
 使っちゃうのは、お兄さん、感心しませんよ」
  いつの間にか私は、彼がなんというかそう言うことに興味がある健全な男子中学生と言う
 ことを失念していたようだ。彼女はどう見ても年下だった。
  携帯電話を取り出す。110番は何番だったろうか。
 「キョン、見たところ、彼女は13歳未満のようだ。だとすると、たとえ同意の上であったとしても
 性行為は犯罪となる。わかっているね」
 「ぼ、僕はですね、潔白です。この娘、吉村美代子さんはね、僕の妹の親友で、家にもよく遊び
 に来る仲でしてね」
  彼がいつもとは異なる口調で言い訳を始めた、見苦しい。
 「そして、ふたりは一線を越えた……と。へ~。そうなんだ。ふ~~ん」
  彼が何かを言っていたようだが、耳には届かなかった。
 「いや、キョン。僕は冷静だ。僕は常に理性的かつ論理的な人間であるつもりだよ。キミが犯罪を、
 性犯罪という男として、人間として最悪の犯罪に数えられる罪を犯していたとしても、キミがそれを
 ちゃんと償う気持ちがあり、反省し、罪を精算し、罰を受けるのであれば、僕らの間の友情は失わ
 れることはない。約束するよ。そしてさようなら、大好きなキョン」
  口からはかねてから用意してあったかのように長尺のセリフが流れ出た。
  何か、とんでもない発言も飛び出たが、特になんの感慨もなかった。
 「彼女はミヨキチは、単なる友人なの。お友達、マイ・ディア・フレンド、アーユーオーケィ?」
  混乱して、できもしない英語で返答を返す彼。っていうかミヨキチってなによ。
 「そうか、ニックネームで呼び合うような仲なんだね」
 「人の話を聞けよ、わからず屋」
  それはキミの方だろう。そう返そうと口を開いた時、
 「やった!! 言われていた通りです」
  そんな私たちを余所に、彼女は小さくガッツポーズをした。
 「衝撃的な発言で、びっくりさせれば、ちゃんと本音で答えてくれるって、妹さんに言われていたんです。
 そうしないと、キョンさんはごまかすだけで、まともに答えてくれないって」
  いたずらが成功した、とばかりに喜びの表情を見せる彼女。
 どうやら、手強い存在かもしれない。女であることを認識されていないことを悲しむのではなく、
 現状を正しく認識できたことをよしとするわけか。
 「それじゃ、私は行きますね。キョンさん、受験がんばってください。それから、
 お裾分けなんて嘘。気持ち、ちゃんと込めてますから」
  こうして、アピールするのも忘れない。ふふ、大した物だ。
  そう言って、ぴょこんと頭を下げて、彼女は私たちの前から去っていった。
  って戻ってきた。
 「あ、それから、言葉の意味、ちゃんとわかってますから」
  ぴゅーと、風のように去っていく少女。その後ろ姿を私たちは眺めるばかりである。
 げに不可解なるは少女なり、自分のことを棚に上げて私はそんなことを考えていた。
 思わず、ククッと咽奥から笑みがこぼれる。


950 :お友達(佐々木サイド) 3/3:2007/04/24(火) 11:41:41 ID:Ta+Aps0O
 「一本取られたね、キョン。いや、一本どころじゃないな。三本先取で三本勝ちというところだ」
 「まったくだ。女の子はわからん」
  茫然自失という雰囲気で答える彼。
 「まぁ、それはともかくだね。手を洗ってきたまえよ、それから、さっきのとやらを頂こうか。
 彼女から何か食べられるものを貰っているだろう」
 「なんだよ、その辺りから見てたのか」
  そんなにびくつかなくてもいいよ。取って食おうというわけじゃないんだ。
 「いいや、僕にはのぞき屋の趣味はない。ないがね、先ほどの顛末に関する精神的な慰謝料
 くらいはもらってもかまわないと思うんだ。キミから、そして彼女からね」
  彼は左手でコートの右ポケットからピンク色の包みを取り出して、放ってくれた。
 「ふむ、まだほのかに温かいね。焼きたてというところか」
  手の中で転がす、かすかに漂う甘いチョコの香り。……やっぱりね。
  手洗いに向かった彼の背中を見送って包みを開封する。中身はチョコチップクッキー。
 想像通りだ。ひとかけら口に運ぶ。悔しいがいいできだ。私にここまでの作品が作れるとも思えない。
 中から、メッセージカードを取り出し、ポケットにしまい込む。以上、計画通り。
  ほのかに悔しさがにじむ。ああやって彼女は正面切って、彼にぶつかった。顧みて私はどうだ。
 鞄から先ほど買ったつつみを取り出して、開封する。小さな生チョコがふたつ。
  彼のために、自販機でココア、自分のためにブラックコーヒーを買う。彼のココアと私のコーヒーに、
 チョコを投げ込む。自販機付属の使い捨てマドラーでよくかき混ぜる。
  カフェ・モカとホットチョコレートのできあがり。
  ティッシュを置き、彼と自分とでクッキーを分ける。この美味しいクッキーに罪はない。
 せめて、供養はしてやろう。
  戻ってきた彼に手を振った。不機嫌な顔を態度を作る。
 「一応、キミの分だ。もとより、キミが彼女からもらったものだからな。
 全部、僕が食べてしまうのも悪いだろう」
  隣に座った彼が黙々とクッキーを口に運ぶ。きっと、くだらないことを考えているのだろう。
 その瞳は焦点が合っていなかった。
 「それから、飲み物なしでクッキーを食べるのもつらいだろう。これは僕のおごりだ。心して飲み給え」
  意を決して、ココアの紙コップを渡す。まったく、私もとんだ意気地なしだ。
  HappyValentineの一言も言えないんだからな。
 「……ってココアかよ」
 「気に入らないのかね、僕の心づくしの贈り物だ」
  チョコチップクッキーにココアじゃ合わない。そんなことは百も承知さ。
 だけど、時期と贈り物の内容で、相手の気持ちを思ってくれても罰は当たらないだろう。
 「すみません」
  そう言って、彼は素直にココアに口を付けた。
 「キョン、確か妹さんは、今年、小学5年生になるのだったな」
  こくりと、肯定のサイン。
 「ということは十歳か……まったく、最近の小学生は……まったく」
  ほんとに、色気づくのが三年は早いよ。それに最初はクラスメイトの男の子とかにしておくべきだ。
  ずずっと隣で、彼は生ぬるいココアを啜る。茫洋としている。
  また、関係ないことを考えているに違いない。
  ココアとチョコチップクッキーでカカオが被った、そんな顔をしている。
 「まったく……キミがそんなだから……まったく」
  おもわず、彼に対する愚痴が漏れた。春は未だ遠く。私たちの別れまで、後一月、
 そんな2月の頃のことだった。


951 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 11:57:03 ID:A4GYY2VW
 (・∀・)イイヨイイヨ~


952 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 12:22:18 ID:bp+mDCVX
 >110番は何番だったろうか
 落ち着けww


956 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 12:58:28 ID:z6tEdXDa
 >>950
 昼食時に読んでしまってニヤニヤが止まらなくなり怪しい人間になってしまったぞバーローwww
 どう見てもGJです。本当にありがとうございました。

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(舟)
 ミヨキチのドッキリ告白に動揺しまくりな佐々木がいいですな。

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「輝いていたハルヒのレス」リスト一覧:総合SS改変ガイドライン

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引用元:【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ part3

コメント

>約束するよ。そしてさようなら、大好きなキョン
最近とあるマンガで見た「さようなら歩、こんにちは綾」という台詞をなんとなく思い出しました。聞かれる前に答えておきますが特に関係はありません。ちなみにどんなマンガのどんなシチュエーションで言われた台詞なのかは…禁則事項です。
(ヒント:杉田智和、ボクっ娘、ポニーテール、過去のトラウマ)

>中から、メッセージカードを取り出し、ポケットにしまい込む。以上、計画通り。
>この美味しいクッキーに罪はない。 せめて、供養はしてやろう。
怖っ!『分裂』161ページの挿絵の表情を思い出した。

>あ、それから、言葉の意味、ちゃんとわかってますから
…やっぱりこっちの方が怖い!本当に小学生?

>「衝撃的な発言で、びっくりさせれば、ちゃんと本音で答えてくれるって、妹さんに言われていたんです。
セックスフレンド言わせたのも妹の差し金なんじゃないかと思ったけどそんなワケないか…

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