(SS)涼宮ハルヒの孤独
*注意:この項には、いじめ表現が含まれています。その種の内容が嫌いな方は、見ないことを推奨します。
勝手に今日輝いていたハルヒのレス:
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641 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 13:22:16 ID:hJxanRAX
俺の後ろの席には涼宮ハルヒが座っている。
そしてその周りを取り囲む女子達、ハルヒに浴びせられる罵詈雑言、聞こえないフリをするハルヒ……
五回堕ろした、汚い、ヤリマン、売春婦、ブス、図に乗るな、害児etc...
よくもまぁこれだけ汚い言葉がでるものだ。
なぜこんな状況になってるかと言えば、それはもうハルヒに原因がある。
ワケの分からん自己紹介をしたうえ、奇狂な振る舞いをし、挙げ句わざわざ話しかけてくれる女子に不遜な態度をとれば、どんな結果になるかなんて目に見えてる。これでいじめられないほうがオカシイ。
男子はともかく、女子は完全にこいつを外している。
さすがにハルヒも一人ぼっちは嫌だったらしく、様々な部活に入ってみたようだ。だが、恐らく女子特有の情報網というやつだろう、どの部活でもハルヒは嫌われもののようで一日所属しただけで全ての部活を辞めていた。
そんなこんなでゴールデンウィークが空けた一日目、俺は教室に入るなり女子に話しかけられた。
誰だっけ?確か朝倉?
「ねぇ涼宮さんて頭おかしいわよね、そう思わない?」
さすが委員長、おっしゃる通り。かなりオカシイですよ。
「でね、女子の間でもスゴイ嫌われてるわけ。もう正直転校しちゃって欲しいのよ。」
こいつ黒いな。
いつもハルヒに優しく話しかけてたの、ありゃなんだ?
「委員長だし、立場ってものがあるじゃない?ホントは話しかけたくないの。そこでお願い、ちょっと今から涼宮さんに話しかけてくれない?大丈夫、あとはみんなで上手くやるからさ」
そういうと、いつの間に集まったやら五組の女子の中でもとりわけ目立つ奴らがニヤニヤ笑っていた。
女ってやつは怖いね、逆らわないほうがよさそうだ。
「わかったよ、話しかけてみる。」
643 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 15:16:58 ID:hJxanRAX
しかし、何を話しかければいいんだ?こんな頭のおかしな奴にはなすことなどないぞ……仕方ない食い付きそうなネタで適当に
「曜日によって髪型変えるのは宇宙人対策か?」
涼宮ハルヒに話しかけてみた。
「いつ気付いたの?」
「んーちょっと前だ。」
その後何を話したのかよく覚えてない。なんか知らんが妙に嬉しそうだったな。やっぱ寂しかったのか?
休み時間に谷口と国木田が話しかけてきた。
「おい、キョン!!どーいうことだ?なんで涼宮なんかと話してるんだよ?」
「昔からキョンは変な女が好きだからねぇ」
「誤解を招くようなことを言うな」
俺までいじめられたら堪らん……。と、朝倉が近付いてきた。
「私も聞きたいな。私が話しかけても何も話してくれない涼宮さんが、どうやったら話すようになるのか、コツでもあるの?」
コツなんか知るか、大体お前が頼んだんだろぅが。なーんて言ったら標的決定だからな、適当に相槌うっとくか
「分からん」
「でも、よかった。涼宮さんいつまでもクラスで孤立したままじゃ困るもんね。一人でも友達が出来たのはいいことよね。」
「友達ねぇ……」
「これから何か伝えることがあったら、貴方から伝えてもらうようにするから」
おいおい勘弁してくれ。何考えてんだ?さっきも上手くやるとか言って何もしてくれなかったじゃねぇか。
「だが、ちょっと待てよ。俺はアイツのスポークスマンでも何でもないぞ!!」
「お願い」
そう言って眩しいばかりの笑顔を俺に向けてきた。ハッキリ言ってメチャクチャ可愛いが、黒さを知ってる俺には恐怖以外の何者でもない。
チャイムが鳴り、谷口や国木田が席に戻った後に朝倉が耳元で囁いた
「今日、放課後教室に残っててね。」
何があるんだよ。
645 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 15:36:43 ID:hJxanRAX
ホントはさっさと帰りたかったのだが、さすがに朝倉に逆らうのは怖いね。おとなしく教室に残っていた。
時間が経つにつれ教室に残ってる人間は俺と朝倉、それと今朝の数人だけになっていった。
その数人と朝倉は俺の周りの席に腰かけ、話しかけてきた。
「ねぇ、涼宮さんとは仲良くなれそう?」
「仲良く?」
「そ、仲良く。彼女と仲良くなって欲しいのよ。うーんと」
「なぜだ?」
こいつら何を企んでるんだ?俺が涼宮と仲良くなったら、仲間ができて転校しなくなっちまうぞ?
「仲良くなって終わりじゃないのよ。」
今まで黙って聞いていた女がニヤニヤしながら口を開いた。これは……誰?やたら活発そうな奴だ。
「仲良くなって、裏切ってやってよ。」
そう言って、その女子は周りの女子とクスクス笑いあった。こいつら皆どれだけ黒いんだ、ホント怖いね…。
「実は他の男子にも頼んでみたんだけどね、話が続いたのは貴方だけなの。だから貴方が頑張って。」
そう言って朝倉は俺に笑かけた。こいつ、とんでもない委員長だな……まいっちまうよ。
断るわけにはいかないんだろうなぁ。
「わかったよ。でも保証はできんぞ。」
「いいわ。でも出来る限りの頑張りを期待してる。
一応私のアド教えておくから、毎日報告してね。こっちの要望もメールで伝えるわ。
じゃ、今日はありがと♪また明日ね」
そう言うと朝倉、他数名はキャッキャッと笑いながら帰っていった。まったくいくらなんでもやりすぎだろ……。
明日からどうなるんだかなぁ
650 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 16:10:59 ID:hJxanRAX
次の日から、ホームルーム前に涼宮ハルヒに話しかけるのが日課になっていた。それとは逆にハルヒに対する目に見えるイジメはなくなっていた。
朝倉がメールで作戦がとか言ってたのと関係があるのかもな。
やれやれ、なんで俺が。
しかし攻撃目標になるのは勘弁だ。いじめに立ち向かうようなバカは道徳の教科書中の人間だけだ。
そんなある日のこと。俺はいつものようにハルヒと話していた。
前はハッキリ喋らなかったハルヒだったが徐々に打ち解け、今では俺と談笑している。意外と可愛いなコイツ……
だが、そんな俺らに近付いてくる女子が数名。
あの日の教室にいた、朝倉以外の女子生徒だ。何か企んでいるのは明らかだった。
「ちょっと、このヤリマン!!何キョン君に話しかけててるのよ?」
「誘ってんじゃないわよ!!」
「あんたみたいな淫売がクラスにいたら恥なんだけどー」
以前は一言二言で済ませてたのに今日はしつこいな。それにハルヒもいつになく辛そうな顔をしている。前は平気な顔してたのにな。
「キョン君、こんな淫売ほっといてアッチで話そうよー。」
「そうそう、性病うつされちゃうよ。クラミジアー」
「キャハハハ……」
そう言って、俺の手を引いた。
「ほらほら、行こうよー」
手を引かれ立ち上がった俺は、ハルヒの方に目をやった。頬杖をついたままずっと窓の外を見ている……
「ねぇ、クラミジアは誰にうつされたの~?あ、誰か分かんないよね~ごっめ~ん」
「なんでシカト~私のこと嫌い~?」
俺の手を引く女子以外は未だにハルヒに絡んでる。今日はホントに徹底的にやってやがる……っつかハルヒもよくシカトを続けられるな。辛そうだが。
「そぉだ、私達と話したくないならキョン君に聞いてもらおうかぁ~」
「ねぇ、キョン君。誰にクラミジアもらったか聞いてよ~キャハハ…」
いくらなんでも言えるかよ。冗談じゃない。
「いや、俺は……」
「言わない気?朝倉さんに言いつけちゃおうかなぁ……」
!!
耳元で手を引いていた女が囁いた。こいつら、最初からその気だったのか。
俺は覚悟を決めてハルヒに聞いた。
「だ、誰にうつされたんだ?クラミジア」
ガタッ
涼宮ハルヒはうつ向いたまま立ち上がり教室を飛び出していった。
「キャハハハ、みたアレ~」馬鹿笑いする女子に囲まれ、俺はハルヒの後ろ姿が消えていった廊下の方を見つめていた。
652 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 16:38:21 ID:hJxanRAX
クラスは何事もなかったようだ。誰もハルヒなんか気にしていないのか?
授業が始まり、英語の教師が教室に入ってきた。
「あら涼宮さんは休み?」
さすがに教師は気付いたようで、誰とも知れず問掛けてくる。
「先生、涼宮さんは朝から気分が優れなかったみたいですから保健室かもしれません。」
「あら、そうなの。ありがとう朝倉さん。では授業を始めます。」
さすが委員長。担任以外からの信頼も厚いね。しかしよくもまぁ口から出任せをそこまで列ねられるもんだね。
ん?
感心しながら朝倉をみてると、当の本人からメールがきたようだ。
『お願い☆』と題されたメールに書いてあったことは以下のようなものである。
【みんなから聞いたよ。ご苦労様。で、お願いなんだけど涼宮さんを探して、仲直りしてきて♪追い込み足りないしさ。お願いね☆】
簡単に言うなぁ、おい。っつかまだ俺を巻き込む気かよ。
ま、逆らうのは得策じゃねーし従うしかないけどさ。俺は平和に過ごしたいしな。しかし、いつ探しに行けばいいんだ?場所も分からないのに。
と、朝倉から二通目のメールが来てやがる。
【さっき一組の女子から涼宮さんが屋上に行ったって情報がきたから、屋上探してみて。
それから五十分になったら前の席の子が部屋から出られるように細工してくれるから、すぐに探しに行ってね☆】
細工?なんだそりゃ
と
「先生!!」
そう言って手を挙げた前に座る女子は、俺が気分が悪そうだと先生に告げた。
成程ね。
まぁこうなれば俺は自由に探しにいけるわけだ。
しかし前の席の子は、あの日教室にいたメンバーには含まれてない、おまけに一組の女子…か。
どうやら朝倉に逆らうのは一年全員を敵に回すことになるみたいだな。
そんなことを考えながら、俺はハルヒを探すため屋上に足を向けた。
666 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 19:13:42 ID:hJxanRAX
屋上にあがったとこにある踊り場に、涼宮ハルヒはいた。少しうつ向き加減で落ち込んでいるようだ。
俺に気付いたのか、目に溜っていたものを拭いこちらを睨んだ。泣いてたのか?
「何しに来たのよ!?授業中でしょ?まだ馬鹿にし足りないわけッ!?」
やれやれ怖い怖い。触らぬ神になんとやらだが、この神様に触らないと、もう一人の神様とその周りにいる堕天使共の餌食にされちまうからな。
しかし俺への「お願い☆」という名の指令はなんだったか?確かこいつと仲直りしろ、だったか。やれやれ
「さっきは悪かったな。」
「えっ?」
ハルヒはキョトンとした顔を見せた。
「だから悪かったって。俺もアイツらに弱味握られててさ、逆らえないんだ。」
まぁ脅されてるのは事実だし、嘘にはならんだろ。ハルヒが信じてくれればいいんだけどな。
「やっぱり。ううん、私こそさっきは悪かったわね。」
おやおや意外と単純なバカみたいだな。こーゆーとこはホント可愛いな。
「でも、授業はいいの?」
「いいんだ、一秒でも早く謝りたくて抜けてきた。」
そういうと、ハルヒの顔は初めて見るライオンに感動したようにキラキラ輝いた。おめでたい女だな。だからイジメられんだよ……。
コイツの顔がキラキラ輝いたのは一瞬で、すぐにまぁなんというか複雑な顔になった。
「ふーん、わざわざ授業サボってまでご苦労様。でも一応あんなこと言ったんだから、謝るのは当然よね」
「そうだな。」
そんなこと言ってるからイジメにあうんだよ、このアホ。
「そぅねぇ、じゃあアナタにさっきの罰を与えるわ」
まだ言うか、この馬鹿女は……
「なんだよ、罰って」
何を言うつもりなのかはしらないが、俺にはお前の探してる宇宙人やら未来人やら超能力者を連れてきたりはできないぜ。
「そんなんじゃないわよ!!」
そう強く言った後ハルヒは、少し寂しそうに顔を赤らめて言った。
「次の時間がはじまるまで、ここで一緒にいなさい。」
667 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 19:35:57 ID:hJxanRAX
やっぱ寂しかったのかな、こいつ。すげぇ楽しそうに話しやがる。
いじめられんのは自業自得として、こうしてると可哀想になってくるな。
と、授業終了のチャイムだ。
「ほれ、次の授業が始まるまでに帰ろうぜ。次は現国だろ?先生厳しいしよ…」
「帰りたくない。ここにいたい。一緒に…いなさい。」
無茶言いやがる。
「そう言うなよ。戻るしかないだろ。」
「……そうね。」
そう言って、無理に笑ったハルヒは先に階段を降りていった。
「あんた、思ったよりイイ奴ね!!」
一度振り返り、そう言って元気に走っておりてゆくハルヒを見送る俺に、朝倉からのメールが届いた……。
【涼宮さんより、後に教室に帰ってきてね☆それから貴方が教室に帰ってきたとき、私がする質問には、私の言うとおりに答えてね♪】
筋書きは出来上がってるわけか。
俺は朝倉のメールに恐怖しながら重々しい足取りで教室へかえっていった。
今度は何が待ってるんだろうね。
674 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 20:54:51 ID:hJxanRAX
教室に戻るともう授業が始まっていた。先生に謝辞を告げつつ席につく俺を微笑みながら見るハルヒ……
誰のせいだと思ってやがる、忌々しい。
ま、さすがに朝倉達も授業中にハルヒイジメはやらないようだ。
そんなこんなで昼休み、飯も食わずに女子がやってきて、ハルヒを囲む。
その数は女子総数の過半数を越え、しかも今度は男子までチラホラしてやがる。
また、あの活発そうな女がいるな。どうやら影の主役は朝倉、表はこいつらしい。
「あんた、授業サボってどこ行ってたの?」
なんつー迫力。俺がビビっちまうよ。
「どこ行ってたのよ、答えなさいよ。シカトする気?舐めてんの?」
「答えなよ、ほら!!」
そう言ってハルヒの頭をグーでこ突いた。調子にのった女子は叩いたり、髪をひっぱったりして口々に罵り始めた。
「ほら淫売!!下の口は開きっぱなしのくせに、上は開けないのかよ!?」
男子までがそこに加わり囃し立てる。元来気の強そうなハルヒのことだ、さすがに反撃のひとつでもかますかと思いきや、何もしない。いつしか俺を人質にとられたパパスのように黙ってジッと耐えている。
うつ向き加減だから泣いてるのかは分からないが、体は小刻に震えているようだ。
「淫売なんだしさ、みんなで服剥いちゃおうか?」
女子の一人がそう言った。「さんせー」
他のやつらもハルヒに群がり服を脱がそうとしている。さすがにこれにはハルヒも抵抗している。
「何すんのよ、あんた達!?」必死に服の裾を押さえようとしているが、腕や足を押さえられたハルヒは抵抗できないでいる。
「ねぇキョンくん、脱がしてあげなよ。この淫売の服~」
嫌なところでふられた。こうなると、もはや俺にも逃れる術はない。
「……」
顔を真っ赤にして涙を溜めたハルヒは、うつ向いたまま唇を噛み締めている。
皆が囃し立てるなか、俺の手がハルヒの制服にかかったその瞬間、、、
「何してるの!?」
朝倉の声だった。
「あ、いや、その……」
みんな黙ってしまい、俺もシドロモドロな回答をするしかないでいる。
「まったく。涼宮さんをイジメてそんなに楽しい?」
楽しいからやってるんだろ、お前は。
「もうやめてあげて。ほら皆席に帰りなさい!!」
そういって皆を帰したあと朝倉はハルヒに優しく話しかけた。
「大丈夫、涼宮さん?ひどいことするわね、皆。
キョン君、あなたも止めてあげなさいよ。」
「あぁ、スマン…」
よく言うぜ、お前がやらせたんだろ?毎度毎度俺まで巻き込むのは止めてくれ。
「涼宮さん、何かあったら私かキョン君に言ってね。キョン君も私も凄くあなたのこと心配なの。ね?」
これか?教室での質問か?「あぁそうなんだよ、涼宮。心配なんだよ、お前見てると。それからさっきはゴメンな。」
そう言う俺を泣きそうな顔をしながら、ハルヒは見つめていた。
「いい、分かってる。」
そう言うと、ハルヒは窓の外を眺めはじめた。
「なかなかアドリブ効いてるじゃない、これからもヨロシクね。まだまだ計画の半ばだからフフフ。」
そう耳元で囁き朝倉は女子の輪の中に入っていった。
分かってますことよ、朝倉さん。いじめられたくないからな。
さて弁当でも食べるか。
鞄から弁当をだし谷口らと食べようかと立ち上がった俺に、ハルヒは小さな声でいった。
「ありがとう。心配してくれて……。」
精一杯震える声を絞り出すハルヒが、なんだかすごく悲しかった。
678 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 21:45:40 ID:hJxanRAX
午後の授業が始まった。なんなんだ、この英文法ってやつは。わけが分からん。
授業など上の空で眠りかけてる俺の携帯に朝倉からメールが届いた。
【今日、涼宮さんと一緒に帰ってあげてね♪】
今気付いたが、この文面なら誰かに見られてもハルヒいじめに関する指令とは思われないだろう。
そこまで考えてやってるとは思わないけど、あの朝倉だからなぁ。
と、追伸?
【ただし、西門からね☆】西門で何があるんだよ。まぁ従うしかないよな……
午後の授業が終わり、ホームルームもいつものように終わった。
「なぁハルヒ、一緒に帰ろうぜ。」
「え?」
ハルヒは驚ろきと嬉しさの入り混じった顔を俺に向けた。
「ま、まぁ一緒に帰りたいなら帰ってやるわ。」
可愛くねぇな、まったく。………嬉しそうな顔しやがって。
こうして、俺はハルヒと二人で下校することになった。教室を出る前にチラっと見たが、あの女子達は教室にいないようだ。
何があるのか、大体分かった気がする。
校舎の中を移動する間もハルヒはあくまで頼まれたから一緒に帰るんだと強調していた。やれやれ、こんな性格じゃなぁ。
だがハルヒの顔はとても明るく、声も元気だった。ホントはこんな可愛いんだ……
ハルヒは正門(南門)から帰るつもりだったようだが、俺はいつも西門から帰るし、一緒に西門から帰らないか?と言うと
「仕方ないわねぇ」
とか言いながらついてきた。口ではブツブツ言ってる割に顔は嬉しそうじゃねぇか。
この後何があるかもしらないで……。
681 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 22:13:01 ID:hJxanRAX
西門にはあの活発な女子がいた。ま、ある程度予想通りってやつだ。一人だとは予想できなかったけどな。
「キョン君、待ってたよ。」
待たせた覚えはないぞ。大体ハルヒと一緒に帰れってのはお前らのリーダーからの命令だ。
「って何?涼宮さんじゃない。私のキョン君に手を出さないでよ。」
おいおい、いつから俺はお前のもんになったんだよ。
「ホント涼宮さんってヤリマンなのね?誰かれ構わず誘いまくらないでくれる。」
じっとうつ向いたままのハルヒを見るにみかねて、俺は口を挟もうとした。
「いや、これは俺が……」
「いいの。ごめんね。」
そんな俺を制止するようにハルヒが口を開いた。
「無理に誘っちゃって。またね、キョ」
パシッ
言いかけたハルヒの頬に強烈な平手打ちがとんだ。
「キョンは私のもの。あなたに名前呼んでもらいたくないわ!!」
おいおい、ここまでやるか?さすがに引くね。
「!!」
何も言わず、うつ向いたままハルヒは走っていった。
もうすっかり暖かくなったのに、見送る俺の頬にあたる風が泣いているみたいに冷たかった。
「キョン君、さっき何であの子かばおうとしたわけ?」
見ると、例の女子が俺を睨みつけていた。
「……わりぃ」
「勝手な事しないでね。あなたは朝倉さんの計画にそって動けばいいのよ。」
そう言って学校の方へ歩いていった。
やれやれ、俺は人形かよ。
俺は一人、完全に散った桜の木の下が並ぶ坂道を下っていった。
西に傾く太陽が、俺を責めているような気がする。
692 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 22:48:18 ID:hJxanRAX
次の日の登校中、いつもと同じ坂道が少し長い気がした。俺の他にも談笑しながら歩く北高の生徒が大勢いる。
もしかしたらハルヒもこうやって皆と笑ながら登校できてたかもしれないんだよな。変な奴だけど可愛いし、自分の気持ちを隠し切れない素直な奴だ。
それに昨日、俺を庇おうとした。弱味を握られてるって言ったの、本気にしたのかな……いい奴なのかも。
バカだよ、ほんと。
ハルヒはいつも早くに登校している。教室に入った俺と目を合わせ一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに悲しそうな顔をして窓の外を眺めている。
やっぱ昨日のこと気にしてるのか?
席についた俺は後ろに座ってるハルヒに話しかけた。
「おはよう、いつも早いな。」
「………。」
「ハルヒ?」
「私と話すと、彼女に怒られるわよ。」
「いや、あれは……」
と弁解しようとしたところで、朝倉がやってきた。
「おはよう、二人とも。今日は暑いよね。ところでキョン君、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど、いい?」
やれやれ、今度の指令は何なんだ?あまりドギツイのは勘弁してくれよ。
「わかった。わるい、涼宮ちょっと手伝ってくるわ。」
そう言って、朝倉について廊下にでた。
廊下にでた俺に、朝倉は言った。
「昨日はありがとう☆さすがはキョン君ね!!私の見込んだ通り♪」
そいつはどうも。よろこんでイイのかね?
「でね昨日、報告聞いたんだけど、作戦に使った子がちょっとやり過ぎたみたいね。」
だろうね、あんな態度はありえないぜ。おまけに俺にもツッカかってくるし。
「心配しないで、あの子には“お仕置き"しといたからね♪」
「お仕置き?」
「えぇ、男子を懐柔するエサになってもらったの。ウフフフ可愛かったわ、あの子」
こいつ、どこまでもドス黒いな。光化学スモッグもびっくりだぜ。ここいらで肺癌患者の数が増えたらコイツのせいだろうよ。
「昨日は誤解だってことで涼宮さんともう一度仲直りしてね。」
しかし、今回ばかりはなかなか上手くいかないと思うぜ。さっきの様子見てただろ?
「フフ、大丈夫よ♪その為の作戦があるから……」
そう言って朝倉は妖しく笑った。
697 :いじめカッコ悪い :2007/03/03(土) 23:35:38 ID:hJxanRAX
朝倉に考えとやらを教えられ教室にもどった俺は、ハルヒに話しかけた。
「ハルヒ昨日は悪かったな。俺も知らなかったんだ。第一あいつは彼女じゃない。」
しばらく外を見つめていたハルヒは、俺の方を見て口を開いた。
「ホントなの?」
「あぁ、ホントさ。」
「……そうね。よく考えたらアンタに彼女がいるわけないわ。」
そう言って笑うハルヒを見ながら、俺は憎らしい気持ちになりながらも、ハルヒを立派だと思った。
俺だったらこんな風に笑ってられないだろうな……。
クラス中から(自業自得とは言え)イジメの標的にされ、聞いてられないような罵声を浴びて、殴られて、仕方なくとは言えそれに参加した男子(俺)に対して明るく笑うハルヒを
俺は純粋に凄いと思った。
ホントに素敵だと感じた。
だから余計に悲しかった。
なんだか何も言えないでいた俺に、ハルヒは言った。
「でも、もう教室で話さない方がいいね。アンタまでいじめられるでしょ?
私は大丈夫!!アンタみたいに弱くはないからね。」
そう言って強がるハルヒに俺は言った。朝倉の言った通りに……
「ハルヒ、一緒に部活を作ろう。」
ハルヒの目が俺を見つめ、キラキラと輝くのをみながら、俺の心は激しく締め付けられた……
703 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 00:12:54 ID:ONQ0Ypag
「アンタにしては中々イイ考えじゃない、つくりましょ!!」
そう言ってハルヒは身をのりだしてきた。なんだかコイツが嬉しそうにする度に俺はたまらない気持ちになる……。
「今日の昼休みに、また屋上の踊り場で話しましょ!!約束よ♪」
そう言ってハルヒは嬉しそうに窓の外をみている。何を考えてるんだろうね…。
その日、午前の授業中、俺はずっと何もかも上の空だった。
最初は俺も涼宮ハルヒが嫌いだった。俺が入学式の次の日に話しかけたとき、ムカつく答えをしたし、今でもムカつく話し方しかしない。こんな変わった奴と仲良くしたいなんて思わない。だが、今は……
俺はハルヒを嫌ってない。あんな笑顔を向けるハルヒを嫌えるわけないだろ?あんな頑張ってるハルヒを嫌えるわけないだろ?
あいつは誰よりイイ奴なんだ、きっと。
そこまで考え、窓の外に目をやった。今は何限目だっけ?グランドでは二年生が体育でサッカーをやっている。
ゴールを決めて喜ぶ生徒に皆が集まり、祝福している。そういやハルヒは体育の時どうしてるんだろうな……。
俺はハルヒと比べてなんて情けないんだろうね。朝倉に逆らえず、手先になって、ハルヒを騙してさ。
でも、この世にイジメに立ち向かう馬鹿なんて、立ち向かえる奴なんていないんだ。だから、仕方ないんだ……俺のせいじゃない。
そうやって自分も騙すしかない俺が、ホントに情無いと思った。
昼休みの谷口、国木田と食う弁当は何の味もしなかった。
ふと目をやると、ハルヒは自分の席で食べている。会話はしてないが朝倉も一緒のようだ。
ハルヒに対して笑顔で語りかける朝倉が、なんだかすごく腹立たしかった。
704 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 00:52:16 ID:ONQ0Ypag
午後の授業中、俺の携帯に朝倉からメールが届いた。
【涼宮さん、食い付いてきた?】
あぁ、朝倉さん。貴女の思惑通りですよ。
【そ、よかった♪ちょっと心配してたのよね。じゃ上手く部活結成までもっていってね。それまではイジメも抑えめにしとくね☆】
……止める気はねぇのか、この腹黒。もう止めたいと思ったが、結局“了解"と打ち込み、送信ボタンを押した。最低だ、俺。
五限目の休み時間に「早く放課後にならないかな~」と俺に気を使い、周り(主に女子)には独り言に聞こえるように、意地らしく言っていたハルヒを思い返し、やりきれない気分になった……。どうすりゃいい?誰か代わってくれよ。
放課後、ハルヒは先に行くねと言って屋上に向かって走っていった。
一人残された俺の元に朝倉がやってきた。何の用だ?
「随分嬉しそうだったわね。ちょっとムカついちゃった。フフフ」
なんて奴だ、黒いにも程があるぜ。俺はお前の方がよっぽどムカつくね。
ま、口にだして言えるわけもないがな。
「あら?どうしたの。何か気に触ることいったかしら?」
いや、何も。少し体調が悪くてな。で、何だ?
「いえ、上手くやってくれてるからね。どこに行ったの彼女?」
屋上さ。俺と部活のことで話があってな。
「クス、なるほど。可愛いじゃない?あなたを気遣って教室を避けるなんて。でも、ちょうどイイわ」
……何がだ?
「ちょっと待っててね。」
そう言うと、朝倉は携帯を取りだしメールを打ち出した。
何をしてる?
「んーだって涼宮さん、屋上にいるんでしょ?確かあそこは七組の掃除場所だっけ?フフフ」
そんなことを聞いてない。何をする気なんだよ?
「……分かってる癖に。」
そう言って微笑む朝倉を見て、安易にハルヒの居場所を伝えた自分の判断を後悔した……。
714 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 01:52:40 ID:ONQ0Ypag
俺はすぐにでもハルヒのいる屋上まで行きたかった。目の前のこの女さえいないならな。
「まぁまぁ、そんなに慌てなくていいじゃない?心配しなくても、そんな酷い事しないわ。
簡単に潰したら面白くないでしょフフフ。最初は転校させたかったんだけど最近楽しくってさ」
なんて奴だ……。今すぐ張っ倒してやりたい。なんで皆こいつの味方なんだ?なんで俺はこいつに従ってるんだ?
理由なんて簡単だけどな……自分が可愛いからさ。
「とにかく掃除終わるまでここにいてねフフフ。たまには私とも話しましょうよ。」
「そいつは光栄だな。クラスのアイドルと話せるなんて。」
いつもメールで話してるがな、いや報告か?まったくお前なんかと話したくないさ。ホントはな……
朝倉と話してる間も俺は上の空だった。今日は雲みたいになってるな、俺。
掃除が終わるまであと十数分か……十分そこそこが、こんなに長いとは思わなかった。
頼む、時計よ、もう少し速くその髭を回してくれよ!!イライラしたときの癖、貧乏揺すりがついついでてしまう。
「でね、そのとき私は言ったのね、、、」
朝倉はお構い無しに話を続ける。
今、ハルヒに何がされてるか考えれると俺の腸は煮えくりかえりそうなのに、何でこいつは顔色ひとつ変えずに会話ができるんた!?
そうこうしているうちに掃除時間がおわった。
「じゃ俺、行くわ。」
そう言って立ち上がった俺の足を、朝倉が踏みつけた。
「誰が行っていいって言ったのかしら?」
「でも、掃除時間は、」
「まだよ。あの子達からメールが来ないもの。フフフ座りなさいよ。」
俺は逆らうつもりなんてなくて、ただ言われるままに席についた。
「あんまり私を怒らせないでね。あなたを潰すことなんて、三日もいらないのよ?」
そう言って微笑む朝倉に俺は言葉を失った。正直朝倉の言う通りだし、俺はやっぱり自分がやられるのは怖かった……。
「悪かったな。気を付けるよ。だから踏むのやめてくれ。」
「フフフ。あなたは利口だわ。だから大好きなの」
そうかい、そりゃ光栄だね。だったらその大好きな男の足から、お前の足をどけてくれ。
「ごめん、ごめん。」
そう言って足をどける朝倉にメールが来たようだ。
「行っていいわ、くれぐれもさっき言ったことを忘れないでね。」
分かってる。俺は裏切らないさ。いや、裏切れないって言った方がいいか……。
微笑みながら俺を送り出す朝倉に目をやりながら、教室を出た。
屋上へ急ぐ俺の脳裏にはハルヒの悲しそうな笑みと、朝倉の妖しい笑みが浮かんでいた。
716 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 02:37:44 ID:ONQ0Ypag
屋上に上がろうとすると、ちょうど七組の女どもが笑ながら降りてくるところだった。ちっ、忌々しい奴等だ。
そいつらを見送りながら、入れ代わりで俺は屋上に上がっていった。
がらんとした踊り場に、ハルヒの姿はなかった。
「ハルヒ、いないのか?」
俺の呼び掛けに対して、ロッカーの扉が静かに開いた……
中にいたハルヒは全身がズブ濡れ、雑巾を被せられ、制服は乱れ、太股にアザができていた。
顔にはヤリマン、bitch、馬鹿、ブスと書かれ涙で滲んでいる。
やつらに対する怒りとともに、自分に対する怒りが胸を焦がした。俺の安易な判断がこの結果かよ……。
「ハハ、あんたのこと驚かせようと思って隠れたらさ、なんか……ハハ」
そう言って笑い、ハルヒはうつ向いた。泣いている。
その姿に俺が泣きたくなった。馬鹿、誰が信じるんだよ、そんな話。俺にまで気を遣わなくていいんだ。こんなになってまで強がるなよ……。
「顔みせろよ。水性だからすぐ落ちるよ。」
そう言って俺はハルヒの顔の落書きを落とそうとしたが、ハルヒはこちらを向きたがらず、自分で拭き取ったようだ。
やれやれ、どこまでも強気だな。……ほんと強いよ、お前は。
「さ、部活の相談しましょ!!まずは部室とメンバーね」
顔を上げたハルヒは笑顔で話し始めた。ホントに強いな、コイツ。
ハルヒの輝く瞳をみながら、俺は次第に心が救われていく気がした。
何でだろうな?なんでこんな風に俺を元気づけてくれるお前を、俺は傷付けてしまうんだろう。なんでこんな出会い方をしたんだろうな……。
「聞いてる?キョン」
「あ、あぁ。聞いてるよ。」
「そう、良かった。でね、、、」
そう言って楽しそうに話を続けるハルヒを見つめながら、俺はハルヒに上着を貸してやった。
「寒いだろ?」
ハルヒは少し驚き、照れ隠しなのか強い口調で言った。
「別に、もう初夏だし、たいして寒くないけどね。でも、ま、せっかくだから借りといてやるわ!!」
そう言ってハルヒは俺の上着をはおった。
少し嬉しそうにしているハルヒをみながら俺は、心の中で呟いた。
ハルヒ、今はお前の味方だからな。
718 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 02:57:27 ID:ONQ0Ypag
二人で話をするうちに部室をどうしようか?という話しになった。
「うーん。困ったわね。しょうがない、明日また考えましょ!!」
「あぁ、明日は先に来て隠れるなよ。俺と一緒にな。」
「そうするわ。」
そう言ってハルヒは笑った。底抜けに明るい笑顔だ。
「ありがとう、上着。少し臭くなっちゃったかも……ごめん。」
そう言うと済まなそうに上着を差し出した。
「気にするなよ。もとからイイ香りなんかしやしないんだからさ。」
「それもそうね。ハハ」
そう言って二人で笑い合った。
二人で階段を降り、校舎をでて、下校した。西門からだったが、いつかのように朝倉の手先の女子はいなかった。
もうすっかり西に傾いた太陽に照らされるハルヒの横顔が眩しくて、俺は謝罪の言葉を何度も心の中でつぶやいていた。
朝倉にもハルヒにも何も言えない俺を、ハルヒは責めることもせず、部活ができてからの計画を嬉しそうに話している。
それが、俺には余計に辛かった。
けど、やっぱり朝倉には逆らえなくて、ただ笑って相槌をうつくらいしかできない俺が……歯がゆくて、悔しくてどうしようもなく悲しかった。
ハルヒ、お前は今何を考えてるんだ?俺を責めたくないのか?
答えの返ってくるハズもない問いを心の中で反芻し、俺は長い長い坂道をハルヒとおりてゆく。
ハルヒ、お前は今、心から笑ってるのか?
721 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 03:43:01 ID:ONQ0Ypag
その日の下校中は何もなく、ハルヒと別れ俺は家に帰った。
家につき、部屋に入った俺は何もない虚空をじっと眺めながら考えていた。
何を考えていたのか分からない。ハルヒのことかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ分かるのは俺の心を、何か分からないモヤモヤが包んでいた。
その日、母親が用意した晩飯を食べてる時も、俺の心はモヤモヤしたままだった。ちくしょう、大好きなチキンカレーなのに味がしねぇよ。
カレーをさらい用意されたサラダを平らげた俺は風呂に入り、俺の心と同じようにモヤがかった壁を見つめていた。
今日、ハルヒがみせた、悲しそうな顔、とびきりの笑顔、そして夕日に照らされた眩しい笑顔が脳裏に浮かんだ。
部屋に戻り携帯をみると朝倉からメールがきていた。何なんだ?
【今日は可愛いデコレーションがされてたでしょ?涼宮さん☆】
こいつは、涼宮をなんだと思ってやがる。
【で、部活の方はどこまで話が進んだの?】
疑問形で終わってるし、返さないわけにもいかないよな……。俺は今日、相談したことをメールに打ち込み送った。
少し間をおき、朝倉からメールが返ってくる。
【教室ならアテがあるの。文芸部なんだけど、あそこ使っていいわ。大丈夫、部員は私の友達一人だけらしいから。】
友達?手下の間違いだろ?俺は素直に“わかった。そう伝える"とだけ書き、メールを返信した。
ま一人だけなら、それほど無茶しないだろうから、イイだろう。
そう自分に言いきかせながら、俺は目を閉じた。明日は少しでもハルヒに笑顔でいて欲しい、そう思いながら……
723 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 04:06:49 ID:ONQ0Ypag
次の朝、俺の上で飛びはねる妹に起こされた。キョンという俺のあだ名を広めたのがコイツだ。
妹の頭を軽くこ突き俺は起き上がった。少し憂鬱な気持ちで一階へおりてゆく。
飯を食い準備を終え、妹と一緒に家を出て、学校へ向かう。
「あーおはよぅ~♪」
と妹は友達を見つけた走っていった。ハルヒにもあんな時があったのかな?
俺は重い足取りで一人、学校へ向かう。いつもなら谷口と会うのだが、今日は会わないな?ま、ウザイトークを聞かされるよりはマシだね。
そうこうしてるうちにハイキングコース、最後の坂道の麓まできた。 と、あれは涼宮か?
ハルヒはこっちをみるなり少し嬉しそうな顔をし、すぐに不機嫌そうな顔になり、こっちに近付いてきた。
毎度毎度、照れ隠しでやる顔はなんとかならんのか?
「遅かったわね、ほら部活の計画話し合いながら行きましょ!!」
そう言って俺と歩きだした。待ってたのか?
「昨日、あれから考えたんだけどね、、、」
そう言ってハルヒは、いつものように目をキラキラさせながら話し始めた。
眩しいばかりのハルヒの笑顔をみてると、俺は何も言えなくなった。
いっそのこと、何もかもバラして謝ろうかとも思ったが、そんな俺の動揺を見透かしたかのように朝倉が話かけてきた。
「あ、二人ともおはよう。仲良く登校?羨ましいわ。」
よく言うぜ。
「私、日直なの忘れててさ。ごめん、先行くね!!」
あぁ、早く行ってくれ。
ハルヒは一度も朝倉の方を見ようとはせず、その後どうしたわけか何も言わなかった。
結局、俺はつまらないトークを展開しながら教室まで歩いた。
そして見てしまった。教室の黒板に書かれた、ふざけた言葉を……。
725 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 04:34:08 ID:ONQ0Ypag
黒板にはハルヒを模したと思われる落書きと、目も当てられないような言葉が書き列ねられていた。
「あ、キョン君おはよう!!」
そう俺に挨拶したのは、朝倉とよく一緒にいる女子だった。あの活発な女子は、その面影もなくオドオドしたいる。
今ではこいつが表のリーダーなわけね……。
「キョン君、こっち来てよ~。」
そう言った目をには力がこもっていた。
「いいよ、私のことは。」
ハルヒは目線を俺から反らしたままそう言うと、自分の席に歩いていった。
俺はやり切れない気持ちで女子達の方へ歩いていった。
「涼宮さんて、身体中からイヤらしい匂いさせて、発情期のメス犬みたい。」
「男みたら誰でも股開くらしいよ。」
「キャハハ、じゃあもう何回堕ろしたか分からないんじゃない?」
下品な言葉を発し笑う女子の中から、俺はハルヒの方に目をやった。
窓の外をみて聞こえないフリをしてる。そんなハルヒに俺は何もしてやれないでいた。
「ね、キョン君も淫売に誘われたの?」
そう言った女子の目は、無言で俺に分かってるわね?と問掛けていた。
分かってるよ。
「あ、あぁ。実は参ってるんだよ、俺も。ハハハ…」
そう言って笑う俺に合わせて、周りにはいっそう大きな笑いが起きた。
何でこんなことしてるんだ、俺もこいつらも……。
そんな中、日直の日誌を職員室に取りに行っていたのだろう朝倉が入ってきた。
全員が静まった。やれやれ凄い統制だ、おそらく朝倉の指示だろう。
何も言わずに黒板の落書きを消し、朝倉は皆の方に向き直った。
そして俺達の方に近寄るや否や、俺に平手打ちをかまし、叫んだ。
「いい加減にしなよ!!みんなも。涼宮さんの気持ちになったことある!?」
そう言うとみんな済まなそうな顔をする。やれやれ凄い演技力だね、全員で宝塚に行くとイイ。すぐそこだ。
「キョン君!!」
そう詰め寄られ、俺はなんだか謝ってしまった。
なんで殴られた上にあやまらにゃならんのだ?
席にもどると後ろからハルヒが話かけてきた。
「私のせいで、ごめん。」
いつかと同じで少し震えた小さな声だった。
だが俺の心はあの日の何倍も苦しかった……。
729 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 07:08:17 ID:ONQ0Ypag
その日、俺の胸はずっと締め付けらていれるような感じだった。
朝倉からはさっさと文芸部室の話を切り出すようにメールが来たが、今の俺にはとてもじゃないが言えない。
適当な言い訳をしながらやりすごしていたが、昼休みに朝倉に呼び出された。
「裏切る気?」
そう言って朝倉は俺に微笑みかけた。言ってることと表情があってないとこはハルヒ並だ。
「ねぇ、どうなの?」
俺を取り囲む女子の一人が語気を強めた。
「分かってるよ。ただ中々キッカケがなくてさ、怪しまれるわけにもいかないだろ?」
「ま、それもそうね。」
どうやら納得してくれたらしい。
「とにかく、今日中にはお願いね☆裏切ったら許さないから♪」
そう言うと、朝倉と女子達は教室に戻っていった。
こっそり見ていた谷口と国木田が顔をだす。
「何話してたんだ?まったくAAランク+の朝倉らが、なんでB-のお前なんかと」
羨ましいなら代わってやるよ、喜んでな。だいたい、いつ男子にまでランクをつけたんだ?っつか俺はB-かよッ!?
「キョン、谷口の言うことなんか気にしないでいいよ。それより、早くお昼食べようよ。」
そう言って笑う国木田と、未だに悔してるような顔をしている谷口を見ながら俺は少しホッとした。
昼休みが終わり、午後の授業が始まってしばらくすると、ハルヒからメールがきた。
【部室なんだけど、何かイイ案ある?】
俺はかなり動揺した。
勿論ハルヒは昨日のことがあって聞いてきたんだろうが、朝倉に脅されたばかりの俺を動揺させるには十分だった。
「文芸部は今部員が一人しかいないらしいから、頼めば使わせてくれるんじゃないか?」
迷いながらも、結局俺は朝倉の言うとおりにメールを送っている。
あいつらが俺を手駒扱いするのに反発しつつも、結局駒として動いているじゃないか。そう自嘲しつつ、ハルヒからの返信を待った。
【ホント?じゃさっそく今日の放課後、頼みに行きましょ!!】
騙されてるとも知らずに、楽しそうだな。イジメられても文句が言えないぜ、そこまで馬鹿正直だとさ…。
そんなことを考えていたところに、もう一通ハルヒからメールが届いた。
【放課後が楽しみね、キョン。】
心が、引き裂かれたような気がした……。
730 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 07:44:37 ID:ONQ0Ypag
ハルヒの純粋な返信に、俺はただただ申し訳ない気分になった。
ハルヒは俺を信用してて、精一杯の元気で俺に接してるのに……。
また、授業は上の空だった。
放課後、ハルヒは掃除が終わるまで黙って、教室の隅にいた。誰とも口をきこうとしないで。
俺が話しかけても、悲しそうな笑顔で横に首を振るだけだった。
結局俺は何もせず、掃除が終わるまで窓によっかかり、空をみていた。
俺も雲になりたいね。真っ白なさ。今の俺は、朝倉と同じで真っ黒なのかもしれないな……。
掃除が終わりクラスの奴らが部活や帰宅の為に教室を離れ始めると、ハルヒは俺に近付いてきた。
「さ、部室調達に行くわよ!!モタモタしないで!!ほら、ほら」
「わかったよ、急かすなって」
大きな目で俺を見つめながら、待ってましたとばかりに腕を引くハルヒに連れられ教室を出ながら、
俺は朝倉涼子が俺達を見つめていることに気付いた。
何を企んでるんだ?朝倉。
文芸部室は旧館にある。他にもコンピ研やらなんやら色々あるみたいだ。旧館はその名の通り古く、ところどころ壁が削れていたり、窓にヒビが入っている。
そんな建物の中をズンズン進んでいたハルヒが足を止めた。
「ここね。」
文芸部室の前で立ち止まったハルヒはおもむろに扉を開いた。ノックはどうしたんだよ?図々しい。そんなだから……いや、やめとこう。
「あなたが文芸部員?」
そうハルヒが問掛ける先には小柄で眼鏡をかけた女子の姿があった。
その眼鏡少女はチラりとこちらに目をやると
「そう。」
と一言だけ答えた。
「実はあなたにお願いがあるの。私達、新しく部活を作りたいんだけどさ、この部屋貸してくれない?」
単刀直入だな、おい。
「どうぞ。」
で、またこちらもアッサリしていらっしゃる。
「ホントに?ヤター!!
キョン、これからはここが私達の部室よー。」
そう言ってハルヒは、子どもっぽく両手を広げてみせた。無邪気だな、ホント。
「明日から、ここに集合ね!!絶対来なさいよ!!
来ないと、死刑だから☆」
そういって笑うハルヒをみていると、俺は嬉しかった。
朝倉の友達とやらも、意外と大人しい感じだし少しは朝倉も抑える気になったのかもしれないな。
そんなことを考えながら、俺はハルヒと下校していた。
長い長いハイキングコースを、ハルヒはいつもよりお喋りになりながら下りている。
もしかしたらハルヒも、このまま楽しい学校生活が送れるかもな……。
そんな風に考えさせるくらい、その日のハルヒの声は弾んでいた。
736 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 12:15:59 ID:ONQ0Ypag
その日の夜、朝倉からメールが届いた。見たくもなかったが、見ないわけにもいかない。
【涼宮さんと仲良くやってるみたいね☆ホント羨ましい。部活も上手くいったんでしょ?よかったわね。】
思ってもないこと書きやがって、いきなり本題を書けばいいのに。
【彼女は、メンバーを増やそうとすると思うのね。メンバーについてはとやかく言わないけど、涼宮さんと仲良く出来る人を探してあげなさい】
……何だよ、それ。今までさんざん追い込んどいて。
【計画も順調で安心しちゃった♪貴方の頑張りのおかげ。もう少し頑張ってね】
分かりましたよ、朝倉さん。
【おやすみ、キョン君。また明日ね!!】
なんで、お前が涼宮のイジメなんかやってんだろうね。
次の日、昨日と同じように涼宮は坂の麓で待っていた。
昨日と違って、とびっきりの笑顔で……。
二人で並んで歩く間にハルヒはメンバーを増やそうね、と結婚式の内容を決める新婦のように話ていた。
よっぽど自分の場所を手に入れたのが嬉しかったのかな?
俺は昨日の掃除時間のことを思いだした。自分一人だけしかいないのかもしれない、こいつの教室には。
そうこう考えるうちに教室が見えてくると、ハルヒは俺に笑かけ、一人で先に走っていった。
昨日もホントは辛かったのか、ハルヒ?
改めてハルヒの気丈さを感じながら、俺も教室に入った。
そして見てしまった。
ハルヒの机だけが教室の隅に押しやられ、ゴミを被っているところを。
そしてそれを悲しそうに見つめる、ハルヒの顔を……。
737 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 12:43:57 ID:ONQ0Ypag
「ハルヒ、、」
そう声をかけた俺に、ハルヒは笑顔をみせた。
「ハハ、掃除しなきゃ。何でかな?
未来人か超能力者の仕業かも…ハハ」
そう言って、掃除用具入れから箒とちり取りを出してハルヒは掃除を始めた。
「バーカ、何が未来人、超能力者の仕業だよ~」
「私らがやったのよー涼宮さん」
「あれー?シカト?」
……わざわざ言わなくていいだろ!!俺は目の前が真っ赤になるほどに腹が立ったが、気持ちを落ち着けて席についた。
手伝おうか?とハルヒに声をかけようとした瞬間、またあのリーダー格の女子が俺を呼んだ。
小声で
「早く行った方がいいわよ。あんたなんかどうせ助けになりゃしないって」
と笑って言うハルヒに後ろめたい気持ちになりながらも、
俺は女子等が囃し立てる方へ行った。
「どうしたんだ?」
「これ。」
そういった女子の手には、教室の前に置いてあるゴミ箱が掴まれていた。
「どうするんだ、これ?」
「後ろのゴミ箱に捨ててきて。おねが~い。」
俺は少し乱暴にゴミ箱を奪うと、教室後ろにある備え付けの大きなゴミ箱に捨てようとした。が、
「キョン君?ゴミはゴミがあるとこにまとめなきゃ。」
……そういうことか。
「ほら、そこで“ゴミ"が“ゴミ"を整理してるじゃん」
そういうと大きな声で笑っている。
ハルヒの
「いいよ、キョン。気にしないで、言われた通りにしなさい。」
という気丈な言葉の通りに、俺はハルヒの席にゴミをぶちまけた。
ハルヒは顔色変えずに黙々と掃除している。
ゴメンな、ハルヒ
俺は口に出して告げられない謝辞を心の中で呟きながら、ゴミ箱を教室の前に設置した。
席についた俺の後ろで、女子数人が涼宮にからんでいる。
「あれ?分別されてない!!」
「大変、リサイクルリサイクル~♪」
そういうと、ゴミの中にあった空き缶を涼宮の制服の中に入れ始めた。
「あ、これ再生資源よ」
と言いながら、生ごみをハルヒの顔にぶつける。
ハルヒはただ黙って掃除している……。
女子は飽きたのか席に戻り談笑しはじめた。一人、掃除を続けるハルヒを後ろに感じながら
俺は自分の無力さを呪っていた。
743 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 13:41:44 ID:ONQ0Ypag
ハルヒはホームルームまでに掃除を終えていた。
何事もなかったかのように、ホームルームは終わり、一限目が始まった。
午前の授業中、ハルヒはずっとメールしてきた。
新しいメンバーのこと、部室の飾り付け、部活の名前……
メールの文面から、あいつのワクワクが伝わってきた。
あんなことされた後で、どうしてお前はこんなに明るいんだ。お前が明るいから、俺が泣きたくなるじゃねーか……。
昼休み、ハルヒは部室で食べてくると言って教室を出ていった。
嬉しそうにしてたな、ハルヒ……
俺は、弁当を持って俺の席に集まってきた谷口、国木田の二人と飯を食った。
くだらないトークをする谷口に、適当な返事ばかりの国木田。
なんかこいつらはこの異常なクラスの清涼剤みたいだね。
飯を食い終わると二人はトイレにいくとかで教室から出ていった。
俺は特に行きたくもなくて、窓から外の景色を眺めてぼーっとしていた。
ハルヒは一人で飯食ってんのかな?あの部室でなら、あいつもきっと嬉しそうに飯食ってるだろうね。
そんなことを考えながら、俺はウトウトしてしまっていた。
目を覚ました、俺はいつの間にか帰ってきていたハルヒに気付いた。
「よ、ハルヒ。いつ帰ってたんだ?」
そう尋ねる俺に向けられたハルヒの目は、輝きをなくしていた。
「ハルヒ……!!」
俺はハルヒの暗い瞳の理由を理解した。
ハルヒの机に目をやった俺が目にしたのは、
いつか黒板に書かれたものと同じ、無数の中傷文だった。
745 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 14:41:47 ID:ONQ0Ypag
「ハハ、今日は不思議なことがたくさんあるわね。」
そういってハルヒは何も見なかったかのように席につき五限目の準備をはじめた。
「ハルヒ……」
何と声をかけていいのか分からなかった。
一生懸命笑顔をつくっているハルヒに、何を言ってもつらい思いをさせるのは分かっていたから。
結局、落書きは掃除時間に朝倉に注意された男子数名が消していた。
涼宮を慰めるフリをすり朝倉をみながら言いしれぬ後悔、悲しみ、怒りを感じていた。
ハルヒは掃除時間が終わると朝倉を無視し、俺の手を引き部室まで歩き始めた。
「早く、部室に行きたい…」
消え入りそうな小さな声でハルヒが言うのを、俺は耳にした。
部室にはもう長門が来ていて、椅子に腰掛け読書していた。
「あら有希、早いのね。そうそう、キョン。
あの子の名前は長門有希よ!!まだ言ってなかったよね」
そういやそうだったか?まぁいい。
今日はどうするんだ?
「新しいメンバーが来てくれることになってるんだけど……。」
ハルヒがそこまで言ったところで扉をノックする音が聞こえた。
「あ、きたきた。どうぞ~」
ハルヒの元気な声に反応して、扉が開いた。
そこに立っていた女子生徒は可憐で小柄な美少女だった。
「こ、こんにちわ。朝比奈みくるです。あの涼宮さんに誘われて…」
と控え目な自己紹介をしながらお辞儀する姿も愛らしい。おまけに声は天使の歌声のようだ。
「こちら、朝比奈みくるちゃん。」
さっき聞いたよ。
「仲良くしましょ!!」
それだけかよ!?
なんでまた、この人なのか説明してくれよ。
「前に書道部に一日だけいたときに仲良くなった二年生なの。それで部活作るんで、もしよかったらって誘ったわけ。」
なるほどね。しかし朝比奈さんはイイんですか?
「え、ええ。」
なんか良くはなさそうだけど、まぁいいか。で新メンバーを加えてどうするんだ?
「そうねぇ……とりあえず名前を決めましょ!!部活の名前。」
やれやれ……ここにいる時はホント楽しそうだな。
しょうがない、付き合ってやるよ。
その日、下校時間までダラダラと会議した結果、部活名はSOS団と決定した。
世界をおおいに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、を略したものらしい。
やれやれ小学生みたいなセンスだな。
部活名を黒板に書き、嬉しそうに活動予定を書くハルヒが、すごく可愛かった。
772 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 18:24:50 ID:ONQ0Ypag
「明日も遅れずに集合しなさい!!いいわね?
じゃあ本日はこれにて解散。帰りましょ♪」
そう明るく言うハルヒとイジメを受け、悲しそうな顔をしていたハルヒが同一人物とは思えなかった。
帰り道でも、ハルヒは年上の朝比奈さんに向かってタメ口で何やら話かけているようだ。
やっぱり教室でのハルヒとは別人だね。ただすごくハルヒらしい気がした。
別に意味はないさ。俺がそう思っただけなんだ。
後ろから黙ってついてくる長門や、苦笑いで「そうなんですかぁ」と相槌を打つ朝比奈さんがハルヒを傷付けるようには思えない。
どうやらSOS団はハルヒの居場所になりそうだな。
そう思った俺の顔が緩んでいる。ハルヒに居場所ができたことが、俺も嬉しかった。
773 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 18:46:11 ID:ONQ0Ypag
朝比奈さん、ハルヒとは既に別れ、長門もどうやら次の角で曲がるらしい。俺は真っ直ぐだから、そこでお別れだ。
夕日に照らされる街中を歩き、曲がり角まできた。
俺は黙って帰ろうとする長門に後ろから声をかけた。
「じゃあな長門。また明日、学校で。」
「気を付けて。」
振り返った長門の言葉は予想外のものだった。長門のことだからてっきり会釈する程度だと思ってたしな。
「ん、あぁ家は近いから心配すんな。お前こそ、気を付けてな。」
そう言って、俺は長門と別れた。
長門があんなこというなんて……意外だったな。ぼーっと自転車を押しながら家にたどりつき、俺は玄関の扉に手をかけた。
家に入ると、奥の部屋から妹がヒョッコリ顔をだした。
「キョン君、ただいま~」
「おかえり、だろ。」
生意気な幼稚園児のような間違いを指摘された妹は、テヘッと全く正す気のない様子で顔をひっこめた。
やれやれ……。
783 :いじめカッコ悪い :2007/03/04(日) 19:57:16 ID:ONQ0Ypag
その日の夜、ハルヒが電話をかけてきた。すごく明るい声で、謎の転校生がくるらしいの!!とか言ってる。
何が謎なのかよく分からないが、どうやらSOS団に勧誘するつもりらしい。
「明日の放課後に誘いましょ!!忘れちゃダメよ。」
そう言ってハルヒは電話を切った。
元気なハルヒの声に、ハルヒがSOS団をどれだけ大事に思ってるのか分かった気がした。
ハルヒとの電話を終えた俺に、また電話がかかってきた。誰からかなんて見なくてもわかる。
「今日は仲良く部活に行ってたね。計画のために頑張ってくれて嬉しい♪
今度デートしようか?長門さんのほうがいい?リクエストある?フフフ」
余計なお世話ですよ、朝倉さん。毎度毎度前置きがながいな。
俺が黙っていると朝倉は続けて喋りだした。
「実は明日、転校生がくるはずなのね。涼宮さんにも伝わるようにしておいんだけど、彼女のことだから、きっと部員にしたがると思うの。」
……
「だから貴方は、涼宮さんの手伝いをしてあげて。」
何を企んでるんだ、こいつ
「いいのか?手伝って。」
「いいのよ、好都合だし。むしろ頑張ってあげて!!私も涼宮さんの喜ぶ顔が見たいな♪」
だったらイジメんの止めりゃいいと思うぜ。アイツの笑顔は一級品なんだぜ?お前はしらないだろうがな。
「まさかお前の口からそんな言葉がでるなんてな。さすが委員長だな。」
俺はせめてもの反抗に嫌味を言ってやった。
「だって、喜ばせた後に地獄に叩き落とすほうが楽しいじゃない?
あ、ゴメン。男子にエサあげなきゃ駄目なの。今度は二組の子なんだけどね。あなたも来る?フフフ」
そう言って、朝倉は電話を切った。
俺は、どこにも繋がっていない電話を握り締めたままでいた。
嬉しそうに明日の計画を練っているハルヒを想像すると、、辛かった。
何から何まで朝倉の計画通りなんだ。
ハルヒの笑顔までもが……。
821 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 00:02:59 ID:ONQ0Ypag
次の日、学校に行くとハルヒはもう来ていた。
俺の姿をみると、パッと顔を輝かせ
「おはよう!!」
と言った。
「おはよう。いつも早いな」
「今日は特にね。謎の転校生が来るんだもん、ワクワクして眠れなかったわ」
「何が謎なんだか。」
そんな感じで談笑していた。
この日、午前の授業が始まり昼休みになっても、ハルヒに対するイジメはなかった。
ハルヒは周りに女子が近付いてくる度に、緊張した顔になりうつ向き加減になっていたが、
誰一人としてハルヒに何かをすることはなかった。
ハルヒもそれに気付いたのか、
「今日はキョンとゆっくり話ができてるね」
と冗談を言って笑っていた。
「そうだな。明日からもきっとそうさ…」
俺がそう言うと、ハルヒは
「だといいな」
と言って、また笑った。
何だか、やりきれない。
俺がどれだけハルヒの笑顔を大事にしても、ハルヒの笑顔がどれだけ増えても、
昨日朝倉の言った言葉が、トゲになって俺の心に刺さったままだ。
ハルヒを傷付けても、笑顔を見ても……今の俺には辛かった。
824 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 01:14:25 ID:6tcUmGex
放課後、俺たちは二人で転校生が編入された九組へと出向いた。
教室の後ろの席に、女子が集まっている。どうやらあそこにいるらしい。
チラッと見えたその顔は、えらく整ったものだった。
「なんとか連れて行きたいんだけどね。」
どうやらハルヒもあの輪の中から連れ出す勇気は無いようだ。
下手な事したらどうなるかわかってるようだ。
と、その男と目が合ってしまった。するとそいつは静かに立ち上がり、
取り囲んだ女子たちに向かい「失敬」というとこちらに歩いてきた。
「はじめまして。古泉一樹です。今日九組に転校してきたんですよ。
涼宮さんですよね?どうです僕を部活にいれていただけませんか?」
「ホント?よかった!!誘おうと思ってたの」
そういって無邪気に喜ぶハルヒを尻目に、古泉は俺の耳元でささやいた。
「話は聞いてますよ。」
誰からだよ。大体何の話だ?お前も朝倉の手下か?俺は胡散臭さを感じたが、ハルヒは喜んで迎え入れていた。少しは警戒ってもんをしろよ、ハルヒ…。
その日新たに古泉を迎え、ハルヒは目をきらきらさせながら、週末の予定を話し始めた。
その瞳には楽しい週末の計画が浮かんでいるようだった。
825 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 01:47:18 ID:6tcUmGex
ハルヒの話によると、土曜も日曜も市内の不思議探索を行うとの事だった。
不思議探索って…何をするつもりなのかね。
駅前に九時集合、遅れたら死刑。死刑って…
休日の無駄遣いはしたくないんだがな。ハルヒの命令じゃしょうがないか。
そう諦めて九時十分程前に駅前に到着した俺だったが、ハルヒをはじめとするほかの面々はもう集合していた。
「遅い!!罰金!!」
そういうハルヒの顔は起こっている風を作ってはいたが、嬉しそうだった。
コイツも、ホントはただ友達とこうやって市内散策したかったのかな?
俺のおごりでファーストフードを食べながら、ハルヒは班分けをしようと言い出した。
「とりあえず、午前の班分けね。午後はまた連絡するわ。」
そういってわざわざ準備してきたクジを俺たちに引かせた。
寝る前にイソイソとクジを作るハルヒの姿を想像して、思わず俺は笑ってしまった。
「何がおかしいのよ?」
「別に、なにも」
そういって引いたクジは無印だった。
どうやらハルヒと二人らしい。まぁ古泉や長門と二人きりで市内散策しなくてすんでよかった。古泉はともかく長門とふたりっきりってのは間が持ちそうに無い…。
ハルヒは、私といけるんだから光栄に思いなさい!!などと嬉しそうに威張っていた。
こんな複雑な感情表現をできるのは、お前くらいだろうよ。
こうして俺たちは駅の西側を探索する事になった。
「さ、行くわよ。」
そう言って俺の手を引くハルヒ。
「どこへだよ?」
尋ねた俺にいつもの笑顔で答えた。
「お楽しみ♪」
826 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 02:12:21 ID:6tcUmGex
ハルヒの言うお楽しみってのは、たいしたもんじゃなかった。
いわゆるまぁ、その、デートコースの定番だった。
二人でアイスを食べながらどこに行くか話したり、手を引かれながらウインドウショッピングをしたり。口では奇狂な事言ってことがおおいけど、やっぱり普通の女の子だね、コイツも。
「あら、もうこんな時間ね。」
そう言って時計を見たハルヒは、電話で朝比奈さん達のグループと連絡を取っている。
「めんどくさいから、午後もこのままで回りましょ。お昼も班毎で済ませるの。」
電話で朝比奈さん達にそういうハルヒは、すこし声が大きいみたいだ。
わかりやすい照れ隠しだね。可愛い我侭をいうハルヒをみて俺はまた少し笑ってしまった。
電話を終えたハルヒはこちらに向き直り、顔を赤らめながら言った。
「さ、午後もこのままで行く事に決まっちゃったから私たちで昼食をとりましょ。」
お前が決めたんだろ。何で不本意そうな顔してるんだ?
なんだか滑稽さを感じて、可笑しかった。
午後からも、似たようなもんだった。同じように二人で街をぶらついていただけ。
けどハルヒはすごく楽しそうにしていた。
この笑顔が消えるような事はあってほしくなかった。
そう考えるたびに、自分がその笑顔を奪う事に加担している事を思い出してしまう、
自分が許せない気持ちになる。
このままハルヒを連れてどこかに逃げてしまいたかった…。
829 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 02:47:15 ID:S57B7q8l
その日、何も不思議は見付からなかった。
当然だけどな。でも、ハルヒはとても満足気だった。
「今日は不思議が見付からなかったわね。明日は何か見付けましょ!!じゃあねー」
駅前に集合したSOS団の面々にそう告げると、ハルヒは帰っていった。
疲れたけど、ま、悪くない土曜だったね。明日もあるってのが若干憂鬱ではあるけどな。
さて、俺も帰ろう。
そう思い、古泉や朝比奈さんに別れを告げた俺を呼び止める声がした。か細い声の主は、無機質な瞳でじっとこみらを見つめていた。
「どうしたんだ?長門」
「来て。」
なんだかよく分からなかったが、一人歩きだした長門の後を俺はついていった。
結構歩いたところで、長門は立ち止まった。
なかなか高級そうなマンションだな…ここに住んでるのか?
俺の問掛けに僅かにうなずいた長門はまた歩きだした。どうやらついて来いってことみたいだ。
長門はそのマンションの五階に住んでいた。ガランとしたその部屋の窓から見える景色はなかなかのものだった。薄暗くなた街にチラホラ灯りがつき始めている。
「で、どうしたんだ?長門。わざわざ部屋まで連れてきて。」
そう問掛ける俺に、お茶を出しながら長門は淡々と答えた。
「話しておくことがある。」
843 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 13:10:14 ID:S57B7q8l
「何を?」
長門のいきなりな言葉に、俺はわけが分からなかった。
「涼宮ハルヒのこと、朝倉涼子のこと、そして私のこと。」
そう答える長門に俺はつっかかった。
「何だよ、ハルヒのイジメの事か!?だったら知ってるよ、お前が朝倉の手下だってことはな。」
「それだけじゃない。」
長門はまだ淡々と話を続ける。なんて奴だ。こいつも朝倉も、感情がないんじゃないか?
「私達は人間じゃない。」
「お前と朝倉は鬼蓄だからな。」
俺は怒りにまかせて言い放った。いや、ホントはずっと心の中思っていたんだ。
「そうじゃない。私と朝倉涼子は、貴方と同じような人間とは言えない。」
「?」
何を言ってるんだ?頭がイカれてるのか?ふざけるな。
「通俗的な用語を使用すると、宇宙人になる」
……は?
決定、こいつ頭がおかしい。
847 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 14:15:18 ID:17gx6fQW
「情報統合思念体により生み出された、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス、それが私達。」
「何を言ってるんだ?」
俺は苛立ちを隠せなかった。ハルヒを苛めながら、こんなふざけた事を言っている長門に。
「いい加減にしろよ、長門。お前がどんな理由で朝倉に従ってるのかは知らない。だがそんなわけのわからない言い訳をするのは何のつもりだ?」
「情報統合思念体は実体を持たない、知性だけの集合体。情報統合思念体は自立進化の可能性を模索していた。結果、発見されたのが涼宮ハルヒ。彼女は意識的にしろ無意識的にしろ、周囲の環境情報に影響を与える。」
「……」
「彼女の行動にはすべて意味がある。それが私がいる理由、朝倉涼子がいる理由、そしてあなたがいる理由。
851 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 14:46:15 ID:17gx6fQW
こいつ俺の話を聞いてるのか?
「大体、もう少し詳しく話してくれないか?はっきり言おう、意味がわからない。」
長門は、そういった俺をじっと見つめ、お茶を一口飲んだ。
「あなたの知能レベルでは、おそらく理解できない。」
…悪かったな。お前が朝倉とつるんでなかったら殴ってるとこだぜ。
「…情報統合思念体は相反する意識を持っている。私は観察者。現段階では、それ以上のことを行うことは無い。朝倉涼子には刺激を与える役割が与えられている。彼女は強硬派に属しているから。情報統合思念体の中で主流派は強硬派。私は朝倉涼子のバックアップ。」
…こいつ、まともに話す気はなさそうだな。
「朝倉涼子はあらゆる手段を持って、涼宮ハルヒに刺激を加えている。しかし、現段階で確認された情報爆発は皆無。おそらく朝倉涼子は更なる刺激を加えようとするはず。
あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。情報爆発を確認する為に利用するなら、まずあなた。」
だからハルヒをいじめてるってのか?その情報爆発とかいうのを確認する為に。
そんなわけのわからない理由で俺が納得すると思うか?そんなことでハルヒを苦しめてるのか?お前たちは…
「伝える事はある程度伝わった事を確認した。」
そう言って長門はお茶をすすり始めた。へー宇宙人がそんなにお茶が好きだったとはね。驚きだ。NASAにでも教えてやろうか?
「…もう、ハルヒをいじめるなって言っても無駄か。」
帰ろうと立ち上がりながら、俺は長門に聞いてみた。
「無駄。観察者である私にはどうする事もできない。」
「そうかい。」
何を言っても無駄なようだ。俺は黙って長門のマンションを後にした。
855 :いじめかっこ悪い :2007/03/05(月) 15:15:46 ID:17gx6fQW
長門のマンションから出て、自宅に帰ると、玄関に古泉がいた。
なんか用か?このニヤケ顔。
「いきなりな挨拶ですね。」
悪かったな、今日はチョット機嫌が悪いんだ。
「そうですか。ところで、少しお時間いただけますか?あなたにお話しすることがありまして。」
「…待ってろ。」
俺は家に入り、母親に少し出かけてくると言い、荷物を置いた。
「ここでいいのか?」
そう問いかけた俺に対し、古泉は相変わらずの笑顔で答えた。
「少し歩きましょうか。」
古泉と二人で、日が沈み暗くなった街灯の点いた街道を歩いていた。
「涼宮さんのことですが、ずいぶん酷いいじめにあってるようですね。」
何で知ってるんだ?お前が来てからは、それらしい事は無かったはずだぜ。
「クラスの仲間に聞いたんですよ。聞いてるこっちが辛くなるような内容でしたが。」
…で、それがどうしたんだ?
「今日、あなたはどこに行ってました?」
何だいきなり。別に、一人でブラブラしてただけだ。
「おや、長門さんのマンションに行かれているのかと思いましたが?」
知ってるなら聞くな。気に入らないな。
「すいません。長門さんのマンションで、何をお話に?
あの無口な少女が愛の告白、なんてことは無いでしょうが。」
そう言って古泉はわざとらしい笑いを浮かべた。
言っても良いが、どうせ信じられないと思うぜ。俺も信じてないしな。
「長門さんが宇宙人だというお話をですか?僕は信じますよ。」
…何で知ってやがる。どこで聞いていた?
お前は何者なんだ?
「超能力者、とでも言っておきましょうか。」
そう言って古泉は肩をすくめて笑った。
超能力者だって?
861 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 16:08:39 ID:S57B7q8l
超能力者だって?
「えぇ、そう言ったほうが分かりやすいでしょ?
三年前、僕はある能力に目覚めました。そしてその能力をどう使うべきかもしっていた。僕の他にも数多くの仲間がその能力に目覚めたこともね。
何故かは分かりません。分かってしまうからしょうがないんです。」
意味が分からないね。大体その能力ってのは何だ?
「今、僕はある機関に所属しています。同じ能力に目覚めた者達のね。」
俺の質問に答える気はなさそうだな。で、その機関とやらは何を目的としているんだ?
「涼宮さんの精神に出来るニキビの治療薬とでも言いましょうか。」
なんだ?最近はワケの分からないことを言うのが流行ってるのか?
「いきなり言っても信用してもらえないでしょう。しかしこれは事実です。」
もぅ何でもいいさ。しかし、精神にニキビが出来るなら、今のハルヒの精神はニキビだらけじゃないのか?
「えぇ、普通なら。ただ今の涼宮さんは活動を休んでいる火山のようなものなんです。いつ噴火するか分からない。
なぜ活動が抑えられているのかすらも分からないんです。」
噴火したらどうなるんだ?
古泉は静かに溜め息をつき、憂いを帯た笑みを浮かべ言った。
「世界が終わる、と言っておきましょうか。」
884 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 19:27:01 ID:S57B7q8l
世界が終わるだって?
「ええ。彼女の能力を考えれば、考えられないことではありません。」
能力だと?ハルヒに何があるんだ。長門は自律進化だの、情報爆発だの言っていたがな。
「涼宮ハルヒには願望を実現する能力があるんです。」
どうやら、北高では怪しいクスリが流行っているらしいね。
それともエイプリルフールの日付が変更になったのか?
だが、古泉は大真面目な顔をしたままで話を続ける。
「彼女は本来、自分の考える通りの世界を創り上げる能力を持っていた。
事実、彼女に望まれたために長門有希という宇宙人がいる。
そして超能力者である、僕達がいる。
おそらく、朝比奈みくるも……。」
「じゃあお前は、ハルヒが今の状況を望んでいるとでも言うのか!?
あんな悲しい顔を、ハルヒが望んでいるとでも思ってるのか!?」
無意識のうちに語気を強めていた俺に対し、古泉は落ち着いた様子で続けた。
「言ったでしょ?涼宮さんの能力は眠っている状況にあると。
彼女は今、普通の少女です。しかし、間違いなく能力を宿している。僕達には分かるんです。」
分かるんです、か。便利な言葉だな。
じゃあ普通の少女に何でお前達は張り付いてるんだ?オカシイだろ?
「僕達には噴火の前の前兆が分かるんですよ。地震の前に動物が“何か"を感じるようにね……。」
まさか,,,
「その僕達が前兆を探知したのが、数日前です。」
919 :いじめカッコ悪い :2007/03/06(火) 00:26:30 ID:e2NSyaVO
そう言うと、古泉は急に真面目な顔をみせた。
「前兆があったとはいえ、すぐに世界が終わるのかは分かりません。
何せこんなことは初めてですからね。最初にも言ったでしょ?いつ噴火するのかは分からないんですよ。
ただ、その時が近付いているのは確です。」
朝倉達のせいか?防ぐ手段はないのか?
「恐らくはあなたのご想像の通り。朝倉さん達のいじめに原因の一端があるはずです。
しかし、それだけでない。数日前に涼宮ハルヒに大きな影響を与えたできごとがあります。」
周りくどい言い方をするなよ、何なんだそれは?
「SOS団ですよ。彼女はあなたと二人で部活を立ち上げたんです。」
それだけか?部活を立ち上げたくらいで、世界がひっくりかえるってのか?
「えぇ、そうなんですよ。おっと、大真面目ですよ。そんな怖い顔しないでください。
説明しましょう。涼宮さんは、理由は分かりませんがその力を眠らせている。
それが外部的要因からなのか、本人の意識からなのかは分かりません。
しかし、SOS団という組織がそれを目覚めさせようとしているんです。
おそらく、文芸部室とも深く関わっている。あの空間は異質なんです、通常空間とは違う臭いがします。」
そうかい。俺には異臭は感じられなかったがね。
「わけのわからない歯車が噛み合い始めているんです。」
お前達は何を目的に動いている?その噴火を阻止したいのか?
「もちろんですよ。僕はこの世界に愛着を感じてますからね。」
ならどうする?
「実は、どうも出来ません。下手に刺激を与えたら、その瞬間に世界が終わる可能性だってありますから。」
だったらどうするんだ?大体、そんな話を俺にしてどうする。
「実は今日、久々の仕事が入ってるんですよ。それをご覧に入れようと思いまして。」
「仕事だって?」
いぶかしがる俺に対し、古泉はこちらを見ずに答えた。
「えぇ、今の段階で僕達が出来るほとんど唯一のことです。噴火の前兆に関係してるんですよ。
それを見てもらえれば、少しは僕の言ってることが分かってもらえると思いますよ。
とある場所に行く必要があるんですが、そこでお見せします。」
とある場所?
「ご案内します、閉鎖空間へ……」
925 :いじめカッコ悪い :2007/03/06(火) 01:16:30 ID:e2NSyaVO
閉鎖…空間?
「少し、目を閉じて頂けますか?」
俺は言われるままに目を閉じた。目を閉じた俺の腕を引き、古泉は歩き始めた。
なんの真似だ、気色悪い。
「もういいですよ。」
目を開いた俺の目に、信じられない光景が飛込んできた。
辺り一面、灰色の世界。太陽はなく、街灯も街の光もないのに不思議と周りの光景を捉えられる。
「ここが閉鎖…空間なのか。」
「えぇ。閉鎖空間、地表にできたドーム型の空間をイメージしてください。
半径は5kmほどでしょうか?」
わけがわからん、何だここは?ハルヒの精神にできたニキビってやつか?
「普通の人がここに迷いこむことは、まずありません。」
「何なんだよ、この世界は……」
「おっと、始まったようです。ご覧ください。」
そう言う古泉の視線の先には信じられない光景が広がっていた。
光輝く巨人達が、灰色の街を破壊している。七体はいるだろうか?ビルが轟音を発てながら崩れてゆく。
巨人達の破壊は止まらない、周りに立つ高層ビルを次々に薙ぎ倒してゆく。
「我々は神の人、神人と呼んでいます。そして僕達に与えられたのは閉鎖空間に侵入し、神人を消し去る役割なんです。」
おいおい、落ち着いてやがるな。毎度毎度七体も消してるのか?
「七体という数は前兆ってやつですよ。ちょっとしたイライラなら一体、せいぜい二体くらいが暴れるんですけどね。
ただ、最近の涼宮さんはちょっとしたイライラでは神人を暴れさせずにいた。
結果、溜りたまったイライラは巨大な噴火になってしまう。
その噴火の前兆で暴れる神人の数は…ご覧の通りです。」
「分かってしまうのか?」
「えぇ。
見てください。僕の同士です。」
神人に目をやると、赤い光の玉が飛び回っている。どうやら神人に攻撃しているようだ。
「さて、僕も参加しなければ……。」
そう言うと古泉は宙に浮かび、赤い球体となり神人へと向かって飛んでいった。
他の赤い球体とともに神人に次々と攻撃を加え、消しさっていく。
全ての神人を消し終えると、古泉はこちらへ戻ってきた。不思議な光も消えている。
「お待たせしました。最後にもう一つだけ。」
まだ何かあるのか?
「神人の消滅にともない、閉鎖空間も消滅します。ちょっとしたスペクタクルですよ。
そう言って古泉が指差す閉鎖空間の灰色の空にヒビが入り、光が差し込む。
そのまま激しい音を発てながら崩れさってゆく世界を見ながら、俺は不思議な感覚に浸っていた。
926 :いじめカッコ悪い :2007/03/06(火) 02:55:12 ID:e2NSyaVO
帰り道、古泉は何か言っていたようだが、俺は上の空だった。
これは夢じゃなさそうだな……。
玄関の前までくると古泉は笑顔で別れを告げ、行ってしまった。
その日の夜、朝倉から電話がかかってきた。
「今日は市内散策楽しかった?フフフ涼宮さんと二人っきりだったんでしょ?」
「何でしってるんだ?」
まさか見てたんじゃないだろうな?
「長門さんに聞いたの。
ま、そんなことどうでもいいんだけどね。」
だったら早く用件を言えよ。なんでお前はそう前置きが長いんだ?
「で、次は何をすればいいんだ?」
「フフせっかちね。明日も探索があるんでしょ?貴方にしてもらいたいことはね、そこで涼宮さんに告白をしてもらいたいの。」
「告白?」
何考えてるんだ、こいつは。てか今までで一番タチが悪い。
「そ、愛の告白♪」
「何でまた?」
「あら?涼宮さんのこと嫌い?嫌いじゃないわよね?嫌いだとしても、してもらわなきゃならないけど。」
そんなこと最初から分かってるよ。お前のよからぬ企みにこれ以上加担したくないんだ。
「だが、明日二人で時間を取れるとは限らないぜ?」
「それなら大丈夫。長門さんが上手くやってくれるハズだから。」
「告白の結果はどうなってもいいのか?」
「成功させて♪まぁその後は任せる。なんなら最後までいっちゃってもイイよ。きっと可愛いわよ、涼宮さんフフフ」
「まてよ、そんなこと保証できないぜ?
俺のことを嫌ってはないと思うが、確実に上手くかなんてわからない。」
携帯の向こうで溜め息が聞こえた。そして朝倉は、俺に静かに言った。
「何のために、貴方を涼宮さんに近付いてもらったのか覚えてる?
ったでしょ?仲良くなってもらうため、私の計画のためなの。」
いつになく朝倉の語気が強い。心臓の鼓動が、自分で分かるほどに激しくなった。
「私の計画のゴールはもうすぐなのね。今更失敗なんて許さないよ。必ず成功させてね。」
口調はいつも通りだが、忘れかけた恐怖心を呼びさまされた。携帯を握る手が汗ばんでいる。
「分かった。必ず成功させるよ。」
俺にはそう言うしかなかった。
「そう言ってくれると思ってた。さすがキョン君。
じゃあ、月曜に学校でね。」
そう言って、朝倉は電話を切った。
もし、朝倉が宇宙人だっていうのが本当なら
俺にも、ハルヒにも、逃げ道なんて無いのかもしれない。
929 :いじめカッコ悪い :2007/03/06(火) 10:43:18 ID:e2NSyaVO
次の日も、我等がSOS団による市内散策が催された。
集合時間の二十分前に来たってのに、みんなもう来てやがる。いつから待っているのやら。熱心なことだね。
そりゃ、俺だっていつも悲しそうな顔してるハルヒを喜ばせてやりたいが、日曜の朝早くから集合ってのは勘弁してもらいたい。
ハルヒは昨日と同じように怒っている風で罰金を宣告した。
目が嬉しそうだぞ。
そこからも昨日とたいして変わらない。ファーストフードを食べながら、ハルヒの大好きな班分けだ。
朝、まだ客の少ない店内で、ハルヒの元気な声が響く。やれやれ…。
クジを引いた俺達は互いに誰とペアなのか確認しあった。どうやら俺は可憐な上級生と二人のようだ。まだ一度もじっくり話したことが無いが、嬉しくないわけはない。むしろ昨日のこともあるし、長門や古泉と二人きりってほうが嫌だ。
そんなことを考えているとハルヒがこっちを睨みながら不機嫌そうに言った。
「キョン!!デートじゃないのよ、遊んでたら殺すわよ!!」
そう言うと、ストローに口をつけジュースをズズッと飲み干した。見張ってる気か?それに、昨日お前とした市内散策は一般的にデートと呼ばれるもんだと思ったが、違ったか?
別れ際にもデートじゃないと強調したハルヒは長門、古泉の二人と駅の北側へと消えていった。
「どうしましょう?」
ハルヒ達を見送る俺に、朝比奈さんが可愛らしく尋ねてきた。
「適当に、そのへんブラブラしましょうか?」
「はい。」
そう言って微笑む朝比奈さんの可愛さはまさに、アイドル顔負けってやつだ。
934 :いじめかっこ悪い :2007/03/06(火) 19:46:14 ID:71dvXPVe
駅前の商店街抜け、公園を二人で歩いていた。
まだ汗ばむほどの暑さでもなく、心地よい散歩日和といっていい。
おまけに隣には誰もが振り向くような美少女。
ほらみろ、今すれ違ったやつも振り返ってる。
こんなに愛らしい人とデートできるなんてついてるね。
俺と肩を並べて歩く小柄で可憐な上級生を見てつくづく思った。
「私、こんな風に出歩くの初めてなんです。」
「こんな風にって?」
「男の人と、二人で。」
「甚だしく意外ですね。朝比奈さんだったら付き合ってくれとか
よく言われてるでしょう?」
そう問いかける俺に朝比奈さんは少し複雑そうな顔をした。
「私、誰とも付き合うわけにはいかないの。」
厳しい家のお嬢様なんだろうか?確かに育ちはよさそうだ。
なんだか触れないほうがよさそうな気がするし、深くは聞かないでおこう。
「キョン君は誰かと付き合ってないの?」
朝比奈さんの言葉に、俺は動揺した。
昨日の朝倉の言葉が脳裏によみがえる…
涼宮さんに告白して
どうすればいいんだ…俺
ハルヒを助けるには、どうすればいい?
ョンく…キョ…君
キョン君
見ると、朝比奈さんが俺の顔を覗き込んでいる。
「どうしたの?キョン君。」
「あ、すみません。ボーッとしちゃってて。」
「何だか辛そうな顔してましたよ?気分が悪いの?」
「大丈夫です。ホントになんでもないんですよ。」
「ならいいけど…」
そういいながらも、まだ訝しげな表情をしている。
「何かあったら相談に乗りますよ。」
そういって朝比奈さんが微笑んでくれるだけで十分ですよ。
「ありがとうございます。本当に大丈夫ですから。それより喉渇きませんか?
さっきの自販機で何か買ってきますから、そこのベンチで待っててください。何がいいです?」
「いいんですか?じゃレモンティーお願いします。」
朝比奈さんの注文を聞き、俺はさっき通り過ぎた自販機まで走って戻った。
え~っとレモンティーだっけな。朝比奈さんらしいセレクトだと思うね。
とか考えながら、取り出し口に出てきたレモンティーに手を伸ばした。
「レモンティー?私も大好きなのよね。」
背後から聞こえるその声は、聞き覚えのある声だった…
938 :いじめかっこ悪い :2007/03/06(火) 20:26:13 ID:71dvXPVe
朝倉、こいつが何でここにいるんだ!?
「こんなところで何してるんだ?」
「いい天気ね、キョン君。今日はあの人と一緒なんだ?
可愛い人。フフ、餌に欲しいくらい。」
そう言って、朝比奈さんのほうをみて朝倉はクスクス笑った。
「質問に答えろ。」
「そんなに怒らないでよ。血の気が多いのね。
私が来た理由はね、あなたに念を押すためなの。昨日言ったこと、忘れてないよね?」
あぁ、忌々しいことに記憶には残っているみたいだな。
俺が裏切らないように、わざわざ確認しに来たのか?
「ま、そんなところね。
それから、付け加えることがあってさ…」
「何だ?」
「もし裏切ったら、涼宮ハルヒを気が触れるまで男子に犯させたうえ
その映像をネットに流すからね♪
フフフ、薬漬けにして犯すとどんな子も可愛いのよ。」
「お前っ」
そう言うと、俺は朝倉の胸倉をつかんで、もう一方の拳を握り締めていた。
朝倉は顔色一つ変えずに言った。
「そうだ、どうせならあの子にも手伝ってもらおうか?」
そう言って朝倉は、ベンチで待つ朝比奈さんにも一瞥を加えた。
「あの子は大人気だろうな。大勢参加したがると思う♪楽しみ」
「ふざけるな!!」
「ふざけてなんていないよ?それに、あなたが涼宮さんに告白すれば問題ないじゃない。」
俺は怒りを抑え、朝倉から手を離した。
「やってくれるでしょ?」
「ああ」
「よかった。期待してるね。じゃ、明日学校で♪」
そう言い残し、朝倉は行ってしまった。
朝倉の後姿を見ている俺の心は、絶望感でいっぱいだった。
948 :いじめカッコ悪い :2007/03/07(水) 02:41:46 ID:ip+VRugj
「どうかしたんですか?」
レモンティーを渡す表情が曇っていたのだろうか、朝比奈さんが俺に尋ねてきた。
「いえ。何でも。」
「嘘です。何でもないならそんな顔しないハズです。」
「……。」
「良かったら聞かせて?力になれるかもしれないし……」
そう言って、心配してくれる朝比奈さんに、俺は全てを話してしまいたくなった。誰かに聞いてほしくてたまらなかった。
けど何も言えなかった。
ハルヒを傷付けるつもりはない。けれど傷付けてしまっているのは事実だ。立ち向かう勇気のない自分をさらけだすのが怖かった。責められるのが怖かった。
イジメに加担する自分を直視したくなかった。自分も被害者でいたかった。
なんて情けないんだろう、俺は……
「言えない悩みですか?分かりました。もう聞きません。でも、言いたくなったらいつでも言って下さいね。」
「ありがとうございます。」
「そろそろお昼の集合時間ですね。戻りましょうか。」
そう言って微笑み、歩き出す朝比奈さんの後ろを暗い気持ちでついていった。
949 :いじめカッコ悪い :2007/03/07(水) 11:00:35 ID:ip+VRugj
集合場所まで戻ると、ハルヒ達はもう帰ってきていた。
全員でファミレスに入り、昼食をとっていると、ハルヒはまた班分けしようと言い出した。
クジを引いた俺の手に握られていたのは印あり。ハルヒと二人だった。
「午後は必ず不思議を見付けるわよ、キョン!!」
ハルヒは俺と同じ班であることを確認すると、ツチノコ探しにでも行くかのようなことを言った。
多分、昨日みたいに普通のデートになるんだろうね。
しかし、長門は俺とハルヒが違う班になったらどうするつもりだったんだ?ハルヒのことだ、自分でクジを用意したに決まってる。細工したようには見えないし……
別に結果としてハルヒと一緒になったから、いいか。
朝比奈さん達は三人で、図書館の方へ歩いていった。どこへ行くつもりなんだ?
しかし古泉のやつ、毎回両手に花だな。俺も味わってみたいもんだ。
「さ、私たちも行きましょ。」
「今日はどこで何をするつもりなんだ?」
「そーねぇ……ボーリング。」
やれやれ、また普通だな。何が不思議なんだ?いやいや待てよ、ハルヒのことだ。いきなり地面を堀りおこし、徳川の埋蔵金探しを始めかねん。ボーリングってそっちか?
「ほら、またストライク。これで三連続!!こーゆーのなんて言うんだっけ?ターキー?うーん……。」
普通のボーリングだったな。当たり前か。
しかし色々と奇狭な振る舞いをして、エキセントリックなことを言ってるわりには、普通のデートを楽しんでるみたいだな。
「ほら、キョンあんたの番よ。」
「あ、あぁ。」
ハルヒに言われ、ボールを投げたが、まぁ六本という何とも言えない本数だ。
「嫌な残りかたしたわね。」
「だな……どうすりゃいいかな?」
「右からボールをいれる感じにすればいいのよ。ちょいカーブ気味に。」
「なるほどね…。」
カーブなんて技術持っちゃいない俺には無理ってことか。
結局下手にカーブさせようとした俺の球は、一本もピンを倒すことなく消えていった。
「何やってんのよ~」
そう言って、ハルヒは大笑いしている。心から笑ってるみたいだ…最高の笑顔だな。
次はガーター見せてやるか。
970 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 02:01:28 ID:S2hLKOz0
ボーリングを終えると、ハルヒがドーナツを食べたいとか言い出した。
「ほら、あそこにあるし。」
見ると全国展開しているチェーン店がある。
「ほら、行きましょ!!」
そう言うハルヒに手を引かれ店に入った。休日だというのに割りかし空いている。
「私は、ハニーチュロとね……あとは……あ、カフェオレおかわり自由なんだって♪」
ふーん、甘いものが好きだなんていかにも女の子っぽくて可愛いじゃないか。
「あんたはどうするの?」
「んーどれにするかなぁ…。お薦めとかあるか?」
「これなんかイイんじゃない?抹茶が入ってるんだって!!」
「お、確に旨そうだな。」
「でしょ?」
注文を終え、ドーナツを受け取るとハルヒは二階にあがってゆく。それについて俺も階段を登った。
二階にあがりハルヒが選んだのは、街を見下ろせる窓際の席だった。
「さ、食べましょ。あ、抹茶のやつ少し分けなさいよ、食べてみたいから。」
そう言ってハルヒはカフェオレを飲み始めた。
その後交したのは、たわいのない談笑だ。これからの活動方針のこと、どこに不思議は隠れているか等々。
「あ、おかわりお願いします。」
話しのキリがいいところで、ハルヒは、おかわりをついで回っていた店員に声をかけた。薦められたので俺も頂いた。
一瞬間が出来たことで、しばらく二人の間に沈黙が生まれた。
その沈黙を破り、ハルヒが静かに口を開いた。
「ありがとう、キョン…。」
972 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 02:24:57 ID:S2hLKOz0
「何だよいきなり?」
意外な言葉に驚き、問いかえした俺に、ハルヒは静かに話し始めた。
「感謝してるの、キョンには。
クラスで嫌われ者の、あたしといつも一緒にいてくれる……。」
「ハルヒ……」
「あたしね、ずっとドキドキすることに出会いたいって思ってたの。宇宙人や未来人や超能力者……。
もし、一緒に遊べたら、きっと毎日ワクワクすることの連続のはずだって。」
「だから入学式であんなこと言ったのか?宇宙人や未来人、超能力者がいたらここに来い!!だとか。」
「そう。何かしないと、平凡な日常は変わらない気がしたから。分かってた、あんなこと言ったり、変わったことしてたらイジメられることくらい。
でも、諦めたくなかった。仮にイジメられても、あたしは不思議に出会いたかった。どうしようもなかったの……」
俺は何も言わずに黙って聴いていた。ハルヒの言葉全てが、何故か俺の心に強く訴えかけてくるようだった。
「正直辛かった…。毎日学校に行きたくないって思った。でも、キョンと話す様になって少し変わった気がする。
学校に行くのは嫌だったけど、キョンと会えないのはもっと嫌だったの。
キョンがどんな気持ちで私と話してたのかは分からないけど……あたしにとっては賭けがえのない時間になってた。
今ではあなたが、あなたと一緒にいられるSOS団が私の全てなの……。
今、すごくドキドキしてる。
ねぇ、キョン。、、私あなたのことが…」
「ハルヒ、俺、お前が好きだ!!」
ハルヒの言いかけた言葉を遮り、俺はハルヒに告白していた。
973 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 02:51:42 ID:S2hLKOz0
「キョン…」
「俺、お前のこと好きだ。ホントに大好きなんだ。いくらでも不思議探しに付き合ってやる、SOS団で世界を盛り上げていこう。」
そうさ、お前が一緒なら楽しいに決まってる。
「ちょ、キョンてば、」
「今まで傷付けたこともあったよな。でもこれからは違う、絶対にしない。
俺はずっとお前の笑顔を大切にするから、だから…」
「キョン、声大きい!!」
ハルヒにそう言われ、俺は初めて自分が周囲の注目を一身に集めていることに気付いた。
周りが見えなくなって、自分の心がそのまま叫んでるみたいだった。
朝倉に言われたからじゃない、俺がハルヒを好きなんだ。大切にしたいと思ったんだ。
「でも、ありがとう。あたし…嬉しい」
そう言ってハルヒは泣いた。その姿を見て、俺は決意した。
仮に一年全員を敵に回そうが、学校中から敵視されても、ハルヒの味方でいよう。そう決意した。
974 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 03:26:02 ID:S2hLKOz0
ハルヒはしばらく泣いたままだったが、顔をあげ俺に笑顔をみせた。
「キョンがそう思っててくれたのが分かって、すごく嬉しい。ありがとう。」
そう言って100万ドルの笑顔を見せるハルヒに、俺は聞いた。
「俺と付き合ってくれないか?」
それを聞いたハルヒは、驚きの表情をみせた。
「付き合いたいけど、キョンまで酷い目にあうのは見たくないから……。」
そう言ってハルヒは笑ってみせた。
「そんなの気にしないでいい。いじめだって俺がなんとかするから。」
「いいの。無理しないで。それにキョンが酷い目に遭うほうがずっと辛い…。
あたしを好きって言ってくれたキョンの言葉で……私はずっと、どんなことがあっても頑張れるから。」
そう言うと、ハルヒは時計を見た。
「さ、みんなを待たしても悪いし、集合場所に行きましょ。」
店からでて、集合場所に向かって歩き始めた。いつかと同じような夕日。その時もハルヒと一緒だったっけ。
隣を歩くハルヒが俺の手を握ってきた。ハルヒと目が合うと少し照れたように笑った。それにつられて俺も思わず笑ってしまう。
これがハルヒにとっては精一杯の近さなんだろうな。俺は自分がハルヒを守れる男だと思って一人で熱くなってたけど、ハルヒは分かってるんだ。
自分が近付けば、その人までイジメられることに。俺はそれでもイイと言った。勿論嘘じゃない。それでもハルヒは必要ないと答えた。
きっと自分のせいで誰かが傷付くことのほうが辛かったんだろう……誰より傷付く辛さを知ってるハルヒだから余計に。
俺はハルヒが好きだ。クサイ言い方だけど、自分の想いでハルヒを救えるような気になってた。
でもそうじゃない。愛なんかで救えるほど、ハルヒの傷は浅くなかった。愛や恋で人が救えるなんてのは、漫画や小説の世界だけなんだ。
そう……俺は、自分の独りよがりの愛に自惚れて、舞い上がってるただのピエロなんだ。
21 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 10:59:28 ID:S2hLKOz0
俺たちは集合場所である、駅前広場まで戻ってきた。朝比奈さん達のグループはもう集合していて、俺たちを待っていたようだ。ハルヒは照れくさかったのか手を離した。
「じゃみんな、今日は解散!!でも、油断しちゃ駄目よ。家に帰るまでが不思議探索なんだからね!!」
ハルヒがそう宣言すると、朝比奈さんが俺の方に近付いてきて小声でいった。
「悩みがあるなら聞きますから。あまり思いつめないでね。」
そう言うと、笑顔で手を振り帰っていった。
長門はいつものように無言で去って行く。あいつは何を考えてるんだかな。昨日あれだけ訳の分からないこと言っておいて、今日はまた黙って…。
「じゃ、また明日学校で。」
そう言うと、長門に続いて帰る古泉を見送る俺に、残っていたハルヒが尋ねてきた。
「あんた、先みくるちゃんと何話してたの?」
なんか不機嫌そうだな、さっきまで嬉しそうだったのに。
「朝何かあったわけ?」
どうやら妬いてるらしいな。唇をつきだしたムスとした表情でそう聞いてくるハルヒはなんだか可愛い。
「ちょっと悩みを相談したんだよ。」
「だったら私に言いなさいよ。すぐに解決してあげるのに。」
「お前じゃダメさ。だってどうやって告白するかの相談だしな。」
そう言うとハルヒはメチャクチャ顔を赤くして固まってしまった。
「顔、真っ赤だぞ。」
「バ、バカ!!」
俺の一言にハルヒは背を向け逃げるように走っていった。照れ隠しの才能がねぇなアイツは。
しばらく行くとこっちを振り返り大声で言った。
「キョンーーまた明日学校でねーー」
手を振りながら、満面の笑みを見せるハルヒはホントに可愛い。
声がでけぇよ。
そう心の中で呟きながら、俺も手を振り返す。照れ隠しは俺の方が上手いみたいだね。
22 :いじめカッコ悪い :2007/03/08(木) 11:54:00 ID:S2hLKOz0
ハルヒが見えなくなるのを確認し、俺も家路についた。なんだか今更ながらドキドキしてきた。
家に帰っても落ち着かず、夜もなかなか寝つけなかった。
次の日、眠い目をこすりながら登校する俺を、聞き覚えのある声が呼んだ。
「何か用か?朝倉」
「おはよう、キョン君。昨日はうまくやってくれたみたいね。」
「別にお前のためじゃないさ。」
「そんなこと、どっちでもイイの。」
「そうかい。」
朝倉はいつものように笑顔を見せている。こいつがあの陰湿なイジメの黒幕だなんて、普通誰も考えないだろうな。
「じゃあね、キョン君。」
そう言って手を振ると、朝倉は行こうとした。
「待てよ。」
朝倉を呼び止め、俺は言った。
「俺はもう、お前の最低な計画の手助けなんかしないからな。」
俺の言葉を聞くと、朝倉は俺の方に向き直り、いきなり顔を近付けて囁いた。
「フフフ。この段階で、あなたが裏切るだなんて簡単に予想できた、もう手遅れだよ。
今までありがとうキョン君。あなたには一番近くで涼宮ハルヒの泣き顔を見せてあげるから。」
そう言うと、朝倉は前を歩く同じクラスの女子に声をかけ、走っていった。
朝倉いなくなったことを待っていたかのようなタイミングでハルヒが声をかけてきた。
「おはよう、キョン」
「よう」
「今日は、探索の反省会やるからね!!」
そう言うハルヒは、朝から全開モードだ。ハルヒは、昨日俺が言ったことを、どう思ってんのかな?まぁいきなり聞けやしないが。
ハルヒと適当なことを話ているうちに学校についた。
40 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 12:45:56 ID:xdcePMa6
その日、俺が想像していたようなことはなかった。
朝倉もあれだけ言っておきながら、何もしてくる様子はない。
何か企んでいるんだろうが、とりあえず俺はホッとした。
昼休みが終わっても何もなく、六限の授業の体育になった。
体育は男女別に行われるから、少し心配だったけれど
ハルヒが笑って大丈夫と言っていたので、なんとなく安心できた。
「お前涼宮と何かあったのか?」
目ざといな、谷口。自分は何もないくせに人の変化には目ざとい奴だ。
大体今は体育の授業中だろ。DFのお前がそんなだから五組は弱いんだ。
勿論俺にも責任はあるだろうがね。
「別に。」
「そうなの?僕も何かあったのかと思ったんだけどさ。」
国木田まで話に参加し始めた。
体育の授業中はいつから人の色恋沙汰に突っ込む時間になったんだ?
大体DFが固まって動いてるサッカーチームなんて聞いたことないぜ。
「ホントに何もねえよ。さっさと持ち場にもどれ。」
「ホントかよ?うさんくせぇな」
「何かあったら教えてよ、キョン」
やれやれ、平和な奴らだね。
体育が終わり教室に戻ると、ハルヒが体操着のままでいた。
…まさか
「ハルヒ、どうしたんだ?」
「ん?あ、これ。違う違う、そういうんじゃないよ。
今日から私掃除当番だから。このカッコのほうが動きやすいでしょ?それに暑いしね。
ほら、制服はこっち。」
そう言ってハルヒは自分の鞄を指差した。
「そうか…。」
「心配してくれたんだ。ありがと。」
「なんかあったら言えよ。」
「…うん。」
少し顔を赤らめて、ハルヒが小さく頷いた。
ハルヒの掃除場所は職員室の近くで、監督教員もいることだし心配ないだろう。
俺は先に文芸部の部室、まぁつまりSOS文芸部室へと向かった。
43 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 13:18:53 ID:xdcePMa6
部室に入ると、長門だけがいた。
「早いな長門。」
そう言って俺は鞄を机に置き、椅子に腰掛けた。
「気をつけて。」
いつかと同じ台詞を長門ががつぶやいた。
何に気をつけるんだ?この状況で。お前が突如発狂して俺に襲い掛からない限り、危険はない。
「何に気をつけろって?」
長門は、問いかける俺を見つめ、口を開いた。
「今日の正午、朝倉涼子が情報通信を行っていた。おそらく行動に移すときが来たと思われる。
あなたと涼宮ハルヒの状況から見て、あなたに危機が迫る可能性が高い。」
またか…そんな話は妄想ですましといてくれないか?
「朝倉涼子はとても優秀な端末。自分の計画を確実に遂行する。」
「いい加減にしろよ。」
自分の声が大きくなるのが分かった。
「もういい、うんざりなんだ。」
俺がそういったところで、朝比奈さんが入ってきた。
「あ、ごめんんさない。私、」
「いいんですよ。」
そう言って朝比奈さんを迎え入れると、後に続いて古泉も入ってきた。
俺はハルヒが来るまで古泉とオセロをすることにした。
その横で朝比奈さんはお茶を準備してくれている。
長門は、何も無かったかのように、部屋の隅で読書を続けていた。
44 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 14:11:15 ID:xdcePMa6
「遅れてごっめーん」
そう元気に言って、ハルヒが勢いよく部室に入ってきた。
「今日は熱いわねぇ~」
ハルヒは団長用に持ってきた机に鞄を置き、椅子に腰掛けた。
「どうぞ。」
そういって朝比奈さんがハルヒにお茶を出している。
いつもの風景だった。平和なSOS団のモラトリアムな日常。
「ねぇ、みくるちゃん。ちょっとここに座って。」
「え、なんですか?」
そう言いながら座った朝比奈さんの髪を、ハルヒがなにやら弄り始めた。
どうやら三つ編にしたいらしい。
「仲のいい姉妹みたいですね。」
二人を見ながら、古泉が言った。
「そうだな。ま、そんなことよりもお前の王将のこと気にしたらどうだ?」
「参りましたね。」
そういって古泉は、将棋盤に目をやり苦笑した。
コン、コン
扉をノックする音がする。誰だ?
「ハ~イ」
そう言って扉を開けた朝比奈さんに隠れ、誰なのかよく分からなかったが
次の瞬間、朝比奈さんがぐったりと倒れ、ソイツの姿が見えた。
まさか、ここまで来るとはな…
「こんにちわ、涼宮さん。」
朝倉が微笑みながら立っていた。
45 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 14:26:29 ID:xdcePMa6
「何しに来たんだ、朝倉。」
「あら?あなたは知ってるはずでしょ、キョン君。
そうだ、不思議そうな顔してる涼宮さんに教えてあげれば。」
ハルヒの方を見ると、複雑そうな顔をしている。
「朝倉さん、止めていただくわけにはいきませんか?大体のことは見当がつきますが、
あなたのしようとしている事に、僕達は賛成できないんですよ。」
そう言って立ち上がった古泉はいつになく真剣な顔をしている。
「あら?私に勝てるとでも思ってるの?この空間ではあなたの力は閉鎖空間の半分程度。
もっとも、完全に力を発揮しても、あなたでは私に勝てないわ。」
こいつ、古泉の力のことも、閉鎖空間のことも知ってのか?
俺は思わず長門のほうを見た。長門がいってたことは嘘じゃなかったみたいだな。
こいつらはホントにただの人間じゃないみたいだ。
「だから、お願いしてるんですよ。僕のほうが強ければ、最初から力ずくでやってます。
ただ、勝てないと分かってても僕は…」
そこまで言うと、朝比奈さんと同じようにぐったりと倒れた。
「二人に何をした?」
「フフフ」
問いかける俺に、朝倉は微笑みかえした。
ハルヒは青ざめた顔で震えている。
こんなことになるなんて、考えてもいなかった…。
46 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 14:53:57 ID:xdcePMa6
「二人に何したのよ!!何だか知らないけど、さっさと出て行ってよ!!」
突然ハルヒが叫んだ。
「ずいぶんなご挨拶ね、涼宮さん。ホント人をイライラさせる人ね…
せっかくあなたの作った馬鹿みたいな部活に遊びに来たのにさ。」
「何が!?あんたが影でこそこそやってること知ってるんだから!!」
「あら、知ってたの?」
そういうと朝倉は微笑んだ。
「朝倉、もう出て…」
そこまで言うと、俺は急に金縛りにあったように動けなくなった。
何だ、これ?声がでねぇ…
「どうしたの、キョン!?、キョン!!」
そう言ってハルヒは俺のそばに駆け寄ってきた。
朝倉の仕業なのか?だとしたら、こいつ…
「ごめんね、そこで寝てる二人と一緒で邪魔だったから。
ホントは眠らせてあげてもよかったんだけど、約束したもんね?」
何をだよ?
「涼宮さんの泣き顔を見せてあげるってね。」
何をするつもりなんだ、朝倉…
「キョン君に告白されて嬉しかった?幸せだった?」
「何でそのこと知ってるの?」
驚くハルヒに朝倉は続けて言った。
「フフフ、どうしてだと思う?知る必要は無いよ。
あなたはここで、情報爆発を引き起こしてくれればいいの。
あなたがキョン君に恋をして、キョン君があなたに告白する。
そして、この部屋に二人がいる。
鍵はあと一つで全てそろうの…そして、これが最後の鍵。」
朝倉の手が白く輝き、俺を突き刺した。
何だこれ…俺の体から血液が流れ落ちる。
「キョン!?キョン、キョン!!」
ハルヒが涙を浮かべ、必死に俺の名前を呼んでいる。
やべ、ぼんやりしてきた…白い?
ハルヒ………泣かないでくれよ…
もう、お前の泣き顔は見たくないんだ。
61 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 17:46:35 ID:+3lf+V67
キョン君!!
ん?
キョン君、おきて…
誰だ?
「キョン君!!おきて~」
ベッドで眠る俺の上で、妹が飛び跳ねている。
おい、おきるから止めろ。結構痛てぇんだから。
「あ~起きたぁ~。キョン君早く起きないと遅刻するよ?
今日からコーコーセーなんでしょ~?」
そういうと、妹は走って下の階へと降りていった。
そうか…今日は入学式じゃないか。
でも変だな?なんでか分からないけど。
それにしても寝覚めが悪い。きっといやな夢を見てたに違いない。
…夢?
何か変な感じがする。何故だ?
「キョン君、お母さんが早くしなさいって~」
下から聞こえる妹の声に急かされて、俺は下の階へ降りていった。
64 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 18:08:41 ID:+3lf+V67
何だか訳の分からないモヤモヤを抱えたまま、俺は家を出た。
今日から通うことになる高校は結構遠くて、途中まで自転車で通っている。
陽気な天気だ。空にある太陽がいつもより気合入れてるよう泣きがするね。
町を行く人々の中には、俺と同じ制服をしている人もいる。
もしかしたら同級生なのかもしれないな。
高校前の長い坂道を上ってると、桜の花びらが上から舞い降りてくる。
何だか、桜に包まれていると、別の空間にいるようだった…。
別の空間?何か頭に引っかかる…今日はどうしたんだ、俺?
入学式は滞りなく終わり、クラスへと入った。
いろんな奴がいるな。
お、国木田もいるじゃないか。さすがに知らない奴ばかりだと緊張するしな。
ちょっと安心だ。
国木田と話していると、担任になる岡部とかいう先生が入ってきた。
そのあとは全国共通の入学式風景。
先生の自己紹介に続き、各人の自己紹介。いや~緊張するね、こーいうの。
何とか、自分の考えていた自己紹介を終えた俺は、席についてホッとしていたのだが…。
俺の次の奴が、立ち上がって自己紹介を始めた。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味がありません。
この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところまで来なさい。
以上」
これ、笑うとこ?
65 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 18:25:07 ID:+3lf+V67
その出会いはたまったもんじゃなかった…。
何せ、可愛いけどぶっ飛んだ奴なんだ。
いつもイライラしてる様子だし、話を振っても無愛想だしな。
これならいつの間にか仲良くなってた、谷口がAA+と言っていた朝倉のほうが魅力的だ。
が、不思議なもんだ。これはもう、世界の七不思議に余裕で入ってしまう。
俺は、いつの間にやら涼宮ハルヒと話すようになっていた。
それだけならいいんだが、さっきの授業中に何やら部活を作るとか言いやがる。
そのときぶつけた頭がまだいてぇ…おまけに屋上の踊り場まで引っ張っていって、
俺に協力しろとか言いやがる。
その日の放課後、涼宮は俺を引っ張ってどこかへズンズン進んでいく。
連れてこられたのは、旧館の文芸部室だった。
どうやら、ここを部室にするらしい。長門有希という大人しそうな文芸部員がいたが
ハルヒにそんなことは関係ないようだった。
しかし、長門とやらもあっさりしたもんだな、絶対迷惑なのに…。
そんな俺の思いをよそに、涼宮は飛びっきりの笑顔で言った。
「明日から、ここに集合ね。絶対来なさいよ!!こないと死刑だから♪」
分かったよ。死刑はいやだからな…。
67 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 18:48:55 ID:+3lf+V67
次の日の放課後、ハルヒは先に部室に行くようにと言い残し
どこかへ走っていった。
どこに行ってるんだろうね?
部室の扉を開けると、もう長門が椅子に座って本を読んでいた。
「何読んでんだ?」
とりあえず何か話そうと思い問いかけた俺に、長門は本の表紙を見せた。
無口だとは思ってたけど、まさか、声も発しないなんて想像以上だ。
「面白い?」
「ユニーク」
「どうゆうとこが?」
「全部」
「本が好きなんだな。」
「割と…」
「そ、そうか。」
ごめん、耐えられない。帰っていいかな、俺…
そんな空気を切り裂くように、ハルヒが部屋に入ってきた。
なんか美少女を連れてるようだ。
ビクビクしながら入ってきた人は、二年生の朝比奈みくるさん。
可愛くて、ロリで巨乳だからマスコットとして連れてきたらしい。
アホカこいつ…。
呆れる俺を尻目に、ハルヒは朝比奈さんに尋ねた。
「みくるちゃん?あなた他に何かクラブ活動してる?」
「あの、書道部に…」
「じゃあ、そこ辞めて。我が部の活動に邪魔だから。」
おいおい…いくらなんでも勝手すぎるだろ。
と、俺は思ったのだが朝比奈さんはそうでなかったらしい。
「分かりました、書道部を辞めて、こっちに入部します。
でも文芸部って何するところなのか、よく知らなくて…」
「我が部は文芸部じゃないわよ。」
ハルヒに文芸部じゃないといわれキョトンとする朝比奈さんに、
俺がまだ名前も活動内容も未定だと話した。
するとハルヒは親指を立てて言った。
「大丈夫、名前なら今考えたから。」
「言ってみろ」
「SOS団!!」
その時、入学式以来忘れていたモヤモヤが蘇り、一瞬目の前が真っ白になった。
そして、俺は全てを思い出した…
68 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 19:08:01 ID:+3lf+V67
その日、俺はハルヒが帰った後、適当な理由を言って部屋に残っていた。
ハルヒが帰ったのを確認し、俺は長門に声をかけた。
「お前は、全部知ってるんじゃないのか?」
「そう」
やっぱり…。何故、俺が何事も無かったかのように生きているのか…
いや、それだけじゃない。俺の知っている世界の姿とはまったく異なっている、この世界のこと。
そして俺がこの世界にいるのかも、お前は知ってるんだろ?
「知っている。」
こんな会話が成立するってことは、どうやらホントみたいだ。
あっちの世界のことも夢ではなさそうだな。
「話してくれないか、こうなった理由。」
「分かった。」
そう言うと、長門は本を閉じ、俺のほうに向き直った。
そしていつかと同じように静かに話し始めた。
「この状況を作り出したのは、私…」
77 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 21:24:12 ID:+3lf+V67
「お前が?」
「そう。あなたが朝倉涼子に刺された時、私が世界を改変した。」
「何もしないって言ってたのに?」
「朝倉涼子を使い、涼宮ハルヒに刺激を与えることを危険と感じた意思の要求。」
「どうして急に?」
「私には分からない。」
長門は表情を変えない。改変された世界でも、お前は相変わらずだな。
「どうやったんだ?その改変って。」
「それは説明できない。言語では理解できない。」
いつかも似たようなこと話したっけ。あの時、俺は全然信用してなかったけど。
「じゃ、どう改変したのか教えてくれないか?」
「全てをリセットした。入学式の日からやり直し。」
「でもまったく同じじゃないぜ?」
「朝倉涼子を作った意思は、主流派ではなくなっている。
現在、彼女は私のバックアップ。メモリーも消去されている。」
出来るんなら、もっと早くしてくれればいいのに。
信用して無かった俺に、そんなこという資格は無いか…
「しかし、こんなすごい能力があるお前らが注目するハルヒの能力って何だ?」
「私たちの行えるのは改変。涼宮ハルヒには改変だけでなく、創造する力がある。
それこそが私達の注目している力。自律進化の可能性」
やれやれ、よく分からないな…とにかくこうしていられるのは長門のおかげか。
ハルヒも虐められてないみたいだし、いい世界作ってくれたな。
「ありがとな、長門。」
俺が礼を言うと長門は、一瞬戸惑ったような気がした。
多分こいつのことだから、俺の気のせいなんだろうけどね。
とりあえず、今日は帰ろう。
「じゃあな、長門。また明日。いつかは悪かったな。」
そう言って俺は足元の鞄を取り、立ち上がって部屋を出ようとした。
「待って。」
何だ?まだ何かあるのか?
やはり長門は表情を変えずに、淡々と言った。
「あなたの記憶を消さなければならない。」
83 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 22:30:39 ID:1CC7uk+4
「どうして消す必要があるんだ?」
「あなたの自我が保てない。世界の調和が崩れる可能性もある。」
「それって危険なことなのか?」
「かなり」
「そうか…。」
参ったな。でも、どうやら長門の言うとおりにするしかなさそうだな。
「なぁ、それって今すぐじゃなきゃダメか?」
「二十四時間以内に操作を行う必要がある。」
「じゃ、明日の部活まで待ってくれないか?」
「…分かった。」
「ありがとう。」
「いい。」
「一つ聞いていいか?ホントはお前が情報統合何とかに言ってくれたんじゃないのか?」
俺の問いに、長門は何も答えなかった。
この質問には答えてくれないらしい。
家に帰り、俺はすぐにハルヒに電話した。
何だか、ハルヒと話したくてしょうがなかったから。
「何よ!?あんたが電話してくるなんて?」
「いや、特に用は無いんだけど…」
「ふ~ん、暇なのね。あんたらしいわ。
そうだ、どうせ電話してきたんだし、私の考えを聞きなさいよ。」
「何のだよ?」
「SOS団の活動方針よ!!」
携帯からうるさいくらいに聞こえてくるハルヒの声が、とても弾んでいた。
やれやれ、こいつの話すことはいつもこれだね。
何度聞かされたことだか。でも、そんな何気ない話が嬉しかった。
何だか、胸がいっぱいになっているのが分かった。
84 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 22:48:11 ID:1CC7uk+4
次の日、朝からハルヒは元気一杯で、一人で楽しそうに話している。
よかったなハルヒ、今のお前は毎日心から笑ってるんだな…
あの悲しそうな顔は、もうなかった。
その日の放課後、俺はクラスの用事で少し遅れるといって、ハルヒを先に部室に行かせた。
そして、長門にこの記憶を消してもらうために部屋を出た。
部屋を出ると長門はもう廊下で待っていて二人で並んで歩き始めた。
どうやら人目につかないところのほうがいいらしい。
旧館と本館をつなぐ渡り廊下まで来たとき、大きな声がした。
こんな明るい声の奴はそうはいないね
「こらーーキョンーーー、有希ーーー早くしなさーーーい!!」
立ち止まって上を見上げた。窓から大きな声でハルヒが呼んでいる。
口では怒ってるけど、顔はめちゃくちゃ笑顔だ。やっぱりハルヒだな。
てかそんなに乗り出したら危ないぞ。
長門は俺を見上げると、何も言わずに先に行ってしまった。
悪いな、長門先に行っててくれ…
俺はもう一度上を見上げた。
ハルヒ、やっぱりお前には、笑顔が一番似合ってるぞ。
おわり
.. -_―:,.―--...
__ r、___ .イ´: : : _Y∠二 : : :`ヽ、____
r┴‐ 、|/ /:/:/´ ___ \:.、ヽ:\ |
T ー-、{ /__/://斗 7: : : : : :\ヽ.ヽヽ.L:ム |
`.i7 リく ̄,ィ //:/ / ./ : !{: . . :\ ヽ:ヽ}ハヽ.__ `ア!
[_Y´ ,ノz/ !':./:/:/ハ: :l.:ヽ\:.. :ヽ::i: :|: :! VY.|
ト.、〃/勹Z!.:|丁{.:ト、ヽ:ト ::ト、ヽ;: イ!:丁:.:ヒK_ヽ|
|ヽ.`7,.イ.リ ,| :ト:{z≧ミ\ヾ\ ベ>|=く|: :.:l! {:.:ト.ヾ、
| {{メ|/ィ´|:..l《トォ::..:lヾ 禾i:::.トリ|: :.:lヽヽト| } ヽ
|ヽ ヽX:.ト、l .:ヽVjzリ ヒzリ´j: :l:.レ:ト、\! }
| /トヽ!小:..ド\ _:! _, /:}.:|/ リ::ト、 ∨
|_\ | | |/l.:|:..、:ヽ、 {´ `} .イ:/.:/ .:/.:リ小 〉
| `|| |{ト:ヽ:ヽト:ト .. ヽ __ ノ ..イノイ:./:_:/:.//〉! }′
| └-ヽ!.|:l\トトト}-`ミ ニ ´__/ イ:./{´ノァ':// |
| j!.l::! . . . ヒ_ー-、`ー/.― 介:ト /:// |
| |l. l:.l. . . .|{ `Tト.ニ/. . . . . . ./:/イノ |
| _..ヘヽヾ、. . l! .:i /. . . . . .//-‐ r‐|
| ノ. {. . ト.\ヽ: :l rr、 / . . . ./'//`\_/ヽ_}
|./--‐ー...ー、 丶ミ|lj∠_..-=‐..イ ノ j≧、j}、
| . . . _ニヽヽミ:.>‐ァ不ォ‐<_=ァT´ ト ―=く
|. ./ . __ . . .ト:「__:.ィ:|Tヽー/. . リ ` ー┬ ′
| . . . ´. . .`ーl { ヽ:.|:.|ハ:\.:. ./ }、 |
トj´ . . . . . . .:l! ヽ :.|:.ト..:.ー‐`<__\ |
|{.: . . . . . . .__}! .:.:.:ヽト、:.:丶: :/ . ̄ヽー-.、 |
ノ:.: . . ._. -――- 、:. ヽ.\:.ヽ{、: : . :..ヽ:.:.〉 |
`ー、:.:∨ }: : :ト、 ヽ:}:.\ : : : }V |
|. 丁ヽ ハ: :|:.:.\:ヽ . .ヽ:.:ノ |
 ̄ ̄ \ ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄
85 :いじめかっこ悪い :2007/03/08(木) 22:52:46 ID:1CC7uk+4
読んでくれた人ホントありがとうクマー
最後のほうはイジメとか関係ナッシングでもうしわけないクマー
他の職人さん、なんか書き込みにくい空気作っちゃって申し訳ないクマー
クマーの作品はこれで終わりクマ
賛否両論あると思いますが、読んでくれた人全てにもう一度お礼を
ありがとうございました
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/ / , ' , ' |‐'´ ヽ
/ヽ / / / //ヽ,.'ヽヽ ヽ \
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〈 ヾ| i ヽ_lyz七リ> | | / | l
/`ハレレ|,,r==ミ ム,Lハ / ! !
//,' r | l |`V::ソ ~∨ / /
// | ヽ|│!.  ̄ , r=z、 /∨l/
// │ ヽ! | rーy / 〃
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// !! ! `ノノ )7 </ル' !
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,',ヘ ヾヽ|| / ∠- ァ! \| !__ヽ
/! ヽ | |||/ r--'ヽヽ `ー、ヽ ¨ァ
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! / / | ィ´ ! ! | \_ |_ !
| ! ,,.イヾ \ 」〉 |│ ! /| / ハ|
! | / ヽヾ ´/ | ! ,、,、 |〈 ヽイ//ヽ
ほんとありがとう!!
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900 :いじめカッコ悪い :2007/03/05(月) 20:34:38 ID:S57B7q8l
もし載せてもらえるなら、読んでくれたお礼も兼ねて、皆にこの小説の名前を決めてもらいたいクマー。
涼宮ハルヒの○○って感じで。
902 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/05(月) 20:42:56 ID:c5RmMnud
涼宮ハルヒの孤独
涼宮ハルヒの絶望
涼宮ハルヒの地獄
なんか鬱っぽいのしか浮かばないマッガーレ
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108 :いじめカッコ悪い :2007/03/09(金) 00:26:13 ID:6hVKX/ay
おぉ、なんか色々感想&意見を言ってくれてありがとう。
このスレの人はイキナリけなしたりしないから優しいクマー(*´∀`*)
意見・感想は次に活かします。
それから、まとめサイトの管理人さん見てます?
作品名は前スレで誰かが言ってくれた、「涼宮ハルヒの孤独」でお願いします。
110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/09(金) 00:37:06 ID:hXYzs+nr
「涼宮ハルヒの孤独」か。
シンプルだけどすごくいいタイトルだね。
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(舟)
まとめサイトはこちら「涼宮ハルヒ【いじめSOS団】まとめサイト」
各レスの、キョンの内心を吐露した最後の一行がいいよなぁ。助けたいけれど、助けようとすればもっと酷い目に遭うことが分かっているから、自分の非力さを悔やむのが。
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(追記)
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288 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 02:13:53 ID:XJaW86nq
今なら投下しても大丈夫ぽいクマー
てなわけで、「涼宮ハルヒの孤独(悲哀)」(なんか孤独が定着してるから)のハッピー?エンドです。
何人かに、見たいと言ってもらえたので投下します。
場面は古泉がぶっ倒れたトコから。
はじまりクマー↓
古泉も朝比奈さんもぐったりして動かない。まさか死んだのか?
「心配しなくていいよ。眠ってるだけ。私の狙いはあなただけ。」
「俺が何だって?」
「あなたに死んでほしいの」
そう言う朝倉の手には、ナイフが握られていた。笑顔を崩さず、朝倉が俺との距離を詰める……ヤバイ、なんか知らんがコイツはヤバイ。
「フフフ。何で後退りしてるの?死ぬのが怖い?」
「キョンに近寄らないで!!」
不意にハルヒが叫んだ。
「逃げろ、ハルヒ、コイツ普通じゃない。」
「心配しなくてもいいわよ。涼宮さんを殺したりしないから。」
そりゃ、よかった。って全然よくねぇ。何で俺が殺されなきゃならない。
「あんた、頭どうかしてるわよ!!キョンに何かしたらタダじゃすまさないんだから!!」
「フフフ。私はその“タダですまない”に期待してるの。」
ハルヒの言葉に対し妖しく笑い、朝倉は腕を上げた。
その瞬間、SOS団部室が全く身に覚えがない空間に変わる。何だこりゃ?
「この空間は完全に私の制御下にある。もう逃げられないわよ。」
そう言って、ニッコリ微笑んだ朝倉が一瞬で俺との距離を詰め斬りかかる。
俺は思わず倒れこんだが、それが幸いし、朝倉の突進をギリギリでかわせた。
朝倉のナイフは俺の左腕をかすめ、制服を切り裂いている。
赤く血が滲んでやがる。冗談じゃない。
すげぇ勢いで突進した朝倉はそのまま、不思議な空間を数メートルほど進み止まった。
朝倉と距離ができてることを確認し、倒れている俺に、ハルヒが駆け寄ってきた。
「ハルヒ、離れろって!!」
お前まで巻き込まれたらどうするんだ。こいつはマジ危ないんだ。
「いや、いや、絶対いや。離れない。」
「バカ、早く逃げろ。どこかに逃げ道があるかもしれないだろ?お前まで死ぬことはない、だから…」
「だから何?あたしに逃げろって?
そんなの絶対嫌よ。あたしが辛かったときキョンは助けてくれたから、側にいてくれたから。
だから、あたしも逃げない。側にいるの!!」
涙を流しながら、そう強く叫ぶハルヒの言葉には迷いがなかった。
289 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 03:02:00 ID:XJaW86nq
「強いわね、涼宮さん。フフフ素敵だわ。」
相変わらずの笑みを浮かべながら、朝倉が近付いてくる。
「キョンを殺すなら、あたしを殺しなさい。」
そう言って、朝倉の前にハルヒが立ち塞がった。
「邪魔なの。」
そう言うと、朝倉はハルヒの顔の前に手をかざした。
「な、何?え?」
次の瞬間、ハルヒが消えた。
「ハルヒ!!」
「後ろよ。」
後ろには、目を閉じたハルヒが横たわっている。
「心配しなくてもいいって。眠っただけ。
あなたの最期の瞬間はちゃんと見せてあげるから…」
そう言うと、朝倉は再びこちらに向かって歩き始めた……
「じゃ、死んでね。」
朝倉が攻撃体勢に入った時、あのか細い声が聞こえた。
「そこまで。」
突如、朝倉に無数の槍の様なものが突き刺さった。朝倉の体から赤い血が吹き出した。
「!!」
「おまけ。」
その声に合わせ、無数の光が朝倉に降り注ぐ。光に周囲の空間が螺子曲げられているせいか、朝倉の姿が確認できない。
と、気付くと目の前に長門がいた。光の中から抜け出し、俺にナイフを向ける朝倉をシールドの様なもので受け止めている。
「まさか、あんなので私が倒せると思ったの?」
「思わない。」
「そいつを守りながら、私を倒せる?」
「無理。」
そう言うと、長門は俺の前から姿を消した。待ってくれ、俺にはシールドを張る力なんかねぇぞ、死んじまう……。
あれ?なんかシールドっぽいのに包まれてるな。長門のおかげか?
「成程。これで思いっきりできるわけ?」
「そう。」
そう言うと、長門は右手をふりかざした。無数の光が朝倉を突き刺す。
いいぞ、長門やっちまえ!!
「……まだ、終わりじゃない」
長門の言葉に反応するように、地面から巨大なツララのようなものが突きだし、朝倉を貫通する。
辺りを鮮血が赤く染める。
……あのー長門さん?やりすぎじゃありません?
「それだけ?」
朝倉の声だ。マジかよ!?死んだと思ったのに……。
朝倉が長門の方をみて笑うと全ての光の槍も、ツララも消えてしまった。
「所詮、あなたはバックアップ。空間を完全に制御した私を、殺すことなんて出来ないわ。」
「……」
あれだけ喰らったのに、ケロッとしてやがる。てか何なんだ、こいつら。
「サヨナラ、長門さん」
朝倉がウインクすると、青白い光が一閃、長門を貫いた。
続け様に、長門を光が襲い、長門の身体中から血が吹き出す。
「長門!!」
「 」
こちらを向き、何か言おうとした長門の頭に朝倉の腕がひかり、吹き飛ばした。
長門の首から噴水のように血しぶきがあがる……
俺を包むシールドが消えた。
朝倉が俺を見て嬉しそうに笑う。
「さ、次は貴方の番よ。」
290 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 03:23:08 ID:XJaW86nq
「な、長門?」
「無駄よ。完全に消したから。」
何なんだ?夢なら醒めてくれ、冗談ならやめてくれ。ちっとも笑えない!!
「フフフ、じゃ死になさい」
朝倉の手が、白く輝く。何か知らんが、確実にヤバイことだけは分かる……
ちくしょう、死ぬのか、俺……ハルヒ……
「そ、そんな!?どうして?」
覚悟を決め、瞑った目を開くと朝倉が消えていっている。何があったんだ?
「まさか、長門さんが!?……私が、彼女に負けるはずないのに……」
朝倉の姿はみるみるうちに消えてゆく。信じられない、何が起きてるんだ?
「フフフ、残念。せっかく計画通りだったのにな。よかったね、延命できて。」
朝倉の体はもう完全に消えてしまっていて、顔だけが辛うじて残っている……
「じゃあね、キョン君。」
そう言っていつもの笑顔を見せると、朝倉は完全に消え去った。
同時に奇妙な空間は、元のSOS団の部室に戻った。
部屋を見回すと、活動計画の書かれた黒板、机に椅子、ぐったりと倒れてる朝比奈さんと古泉、ハルヒ
そして、窓際で何事もなかったかのように本を読む
文学少女の姿があった。
291 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 03:46:15 ID:XJaW86nq
「朝倉涼子は完全に消滅した。彼女が利用していたナノマシンも全て消滅。」
「長門、無事だったのか?」
「朝倉涼子の制御下にある空間で、私が彼女を消去できる確率は限りなく0に近い。」
「でも、お前はあの空間にいただろ?」
「あれはコピー。崩壊因子を仕込んでおいた。スイッチは崩壊因子の消去。」
何言ってるのか分からないが、お前に助けられたことだけは分かるよ。
「ありがとな、長門。それから、お前の言うこと信じなくて悪かったな」
「いい。」
しかし、古泉はともかく朝比奈さんやハルヒは混乱するだろうな。だいたい消えちまった朝倉はどうするんだ?
「平気。涼宮ハルヒは何も覚えていない。朝倉涼子は転校したことにする。」
お前がするのか?
「そう。心配しなくていい」
お前がそう言うなら、安心だよ。
夕日が窓から差し込んでいる。長門が言ったとおり、ハルヒは何も覚えてないようだった。古泉は長門に礼を言ってたみたいだから、多分覚えてるんだろうね。
朝比奈さんはよく分からないが、とにかく皆無事だ。今でもどこか信じられないが、ホントによかった。てなことを考えてると、ハルヒの声が響く。
「こら、キョン!!今の聞いてた!?」
「わりぃ聞いてなかった。」
「はぁ?もう、時間がないのに!!」
赤く染まる教室で、声を弾ませるハルヒを見てると、さっきまでのことは夢みたいに思えた。
292 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 04:08:06 ID:XJaW86nq
あれからハルヒに対するイジメはすっかり姿を消してしまった。
長門は、あのイジメは朝倉の何とかマシンによる思考操作がどうのとか言っていたが、俺にはよく分からない。
でもハルヒが笑顔でいる、それが悪いことなわけない。
当然、あれからもSOS団は活動を続けている。毎日部室に集まり意味のない会議を繰り返す。週末は“土曜日”に皆で市内不思議探索。勿論未だに不思議は見付かっていない。
ハルヒに対するイジメが無くなり、ハルヒが毎日笑うようになった頃に、俺は改めて告白した。
何を言ったかなんて覚えていない、いつかと同じで自分の制御が効かなかったからな。
結果は俺とハルヒだけの秘密さ。
今日は日曜日。俺は朝早くから家をでる。
駅前広場につくと、こっちに向かって笑顔で手を振ってる人影がある。
「遅いぞーキョンー罰金ーー!!」
“そいつ”の最高の笑顔を見ながらつくづく思う。
まったく、いつから待ってるんだよ。
せっかくの日曜日
今日も市内探索
ハルヒと二人で……
293 :いじめカッコ悪い :2007/03/13(火) 04:11:37 ID:XJaW86nq
以上でハッピー版は終わりクマー。
なんか長門がやられる表現グロくて申し訳ない。
これがハッピー?
期待してたのと違う。
結局長門かよ。
という感想の方はなかったことにして下さい(;・ω・)
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コメント
朝倉の描写なしなら、もう一つの改変世界の話になるね。やはり頼みの綱は長門か。
Posted by: SPS | 2007年03月09日 23:12
この物語が憂鬱の前に存在していたら神だな。つーかこのまま小説化してもいい気もする。あーでもいじめ嫌いな人考えたらやめた方がいいかな(どっちなんだよw
Posted by: キラ | 2007年03月10日 07:01
最初の方は嫌な作品だと思ったけど(すいませんw)最後の方はすごく心に響く…素晴らしい作品だと思いました!
Posted by: ポス | 2007年03月15日 20:30
古泉に超能力者の証拠を見せられたら、長門の言うことを全く信じないなんていうのはありえない。そういった心情の変化がちょっと下手だと思う。いじめよりもそっちのほうがちょっと許せないw
Posted by: Anonymous | 2008年03月30日 17:31