2007年02月21日

(SS)ハルツキ2

勝手に今日輝いていたハルヒのレス:

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733 :ハルキョン SS ハルツキ2:2007/02/21(水) 00:10:05 ID:dIm98YU9
 今僕は部室で涼宮さんと2人きり。
 これは存外珍しいこと。
 僕にとっては至福の時間。彼女にとってはなんでもない時間。

 「ねえ古泉君、付き合ってる人とかいる?」
 突然の質問。でも急な発言ではなくその内容に一瞬動揺する。
 それを…僕に聞くか。「好きな人はいます。あなたですよ涼宮さん」そう言えたらどんなに楽になることだろう。
 「残念ですが…いません」
 いつものように微笑を絶やさず、余裕のある態度で返す。これが古泉一樹だから。
 「そうなんだ。古泉君モテそうなのになんで?」
 「バイトなどが忙しいもので時間が取れないんですよ」
 「もしかしてSOS団のせい?だったら古泉君は少し早めに終わってもいいけど」
 「な…」
 それはまずい。組織の一員として彼女の監視に当たっているというのに。そして何より涼宮さんに会えない。
 「団長として団員を幸せにする義務があるじゃない?だから…」
 「いえ大丈夫です。それに僕はここで皆さんと一緒にいるほうが楽しいですよ」
 彼女の奇妙な責任感は時々…というかいつもおかしな方向に向かう。
 「ふーん?あ!さてはSOS団の中に好きな人がいるんじゃない?」
 鋭い。いやおそらく適当に言っているだけなのだろうけれど。ただし事実でもあったので反応が遅れてしまう。
 「あ!今動揺した。さては図星ね。へぇ~、ふ~ん、古泉君は誰狙いなのかしらね~」
 意地の悪い笑い方。ニヤニヤといえばわかりやすいか。ただそんな顔も魅力的だった。
 しかしわかっている。涼宮さんは自分を勘定に入れていない。ありえないと、思っている。
 「そうね~。やっぱりみくるちゃんでしょ!まあまあ似合ってると思うし」
 鈍い…とは違う。純粋に消去法だろう。やはりありえないことなのか。
 「どうでしょう?ご想像にお任せします」
 いつもの通りのらりくらり。どこかキザでミステリアスなのが古泉一樹。
 「む、ごまかしたわね。まあいいけど」
 土足で踏み込んでおきながら、奥まで踏み込まないのが彼女の流儀。
 考察はいくらでもできる。傷つくのが怖い。深く関わりたくはない。逆に踏み込まれたらどうしよう。
 「ところでさ、古泉君はわかったけど、えーと、んー」
 涼宮さんが口ごもるとは珍しい。内容は大体予想がつくが。
 「キョン…は、その、誰かと付き合ってたりとか、そういうの聞いてない?」
 ほらやっぱり。僕の話は前座。結局彼女の本命は彼でしかありえないのだ。
 ここで嘘をつくのは簡単だ。「長門さんと付き合っているようですよ。もう自宅へお邪魔しているようですし」
 そんな風に言えば彼女は深く傷つくだろう。世界改変が行われてしまうほどに。
 僕は説得する自信がある。彼女を癒してあげられると思っている。ほらこれで願いどおり。
 でもそんなことは許されない。組織の意思でなく、僕の意思だ。彼女を傷つけることは許さない。
 もしも彼が涼宮さんを傷つけるようなことがあれば、僕は彼を許さない。
 しかしそれは杞憂だ。彼はきっと初めから彼女をことを…。
 最初から僕は部外者なのだ。
 「付き合っている方…ですか。いえ、いないようですよ。少なくとも僕は聞いていません」
 「…そうなんだ。まあキョンのことなんて別にどうでもいいけど」
 嬉しいのか、それとも残念なのか複雑な表情。涼宮さんにこんな顔をさせるのは世界でただ一人。せめてもの仕返しを。
 「彼もこのSOS団に好きな人がいるのかもしれませんね」
 一瞬喜んだもののすぐ悩みだす涼宮さん。まあ3択ともなれば複雑なところだろう。
 その姿がおかしく、またかわいらしかったのでしばらく拝見するとしよう。
 ………そろそろ頃合か。
 「聞いてみましょうか、彼に」
 ビクリと固まる涼宮さん。僕がいることすら忘れていたかのよう。
 「そ、そんなのしなくていいわ。キョンが誰と付き合ってたって関係ないし」
 怖いのだろう、自分の名前が彼の口から出なかった場合のことが。
 今彼に聞いてもきっと涼宮さんの名前は出さないだろう。彼女は賢明だ。

 だから僕は彼を変えよう。彼が素直になるように。彼が涼宮さんに心から好きと言えるように。
 涼宮さんが言っていた幸せにする義務。団員が団長を幸せにしたって問題ないだろう。
 だから僕は彼女を幸せにする。例え相手が僕でなくとも。

 今は、この2人きりの時間を楽しもう。
 切なくも楽しく時間を、狂おしくも愛らしい無邪気な神と共に。
 「わかりました。仰るとおりにいたします」


734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/02/21(水) 00:13:43 ID:Ugsv3TVE
 >>733
 乙!
 まっがーれ!スペクタクル聞きながら読んでたらすげぇ切なくなった・・

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(舟)
 古泉キャラソンと相まって、タイムリーな「古泉→ハルヒ」のせつなさ炸裂SSですな。

関連アーカイブ:
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(追記)
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842 :ハルキョン SS ハルツキ3:2007/02/22(木) 00:42:51 ID:MLSARaFQ
 またも2人きりの時間ができた。今日はいい日だ。
 「ねえ古泉君、聞きたいんだけどさ」
 「何でしょうか?」
 「前、彼女いないって言ってたじゃない」
 「はい」
 組織、バイト、片思い、様々な事情で僕は自身の感情のまま動くことが出来ない。
 「あれってさ…もしかして片思いしてるとかじゃない?」
 息を、飲む。必要ない所で嘘はつきたくなかった。ただでさえ多くの嘘をついているのだから。
 「さあ、どうでしょう?」
 あいまいな笑顔でごまかすしか手はなかった。
 涼宮さんは僕を見ている。気付かれたのだろうか、僕の気持ちが。
 気付かれてはいけない。………本当に気付かれてはいけないのだろうか。
 この場合涼宮さんが鋭かっただけで僕に非はない。不可抗力だ。だったら…良いのではないか?
 「もしかして、その相手って…」
 言いにくそうに視線を逸らし、頬を赤らめていた。僕はただ涼宮さんの言葉を待った。
 「キョン?」
 一瞬理解できず呆けた顔をしてしまう。
 「この頃、流行ってるらしいじゃない、そういうの。古泉君やけにキョンに近いし。もしかしたらと思ったんだけど、どう?」
 その瞳はキラキラと輝き、期待に満ちていた。そう彼女はここで僕が「YES」と言うことを期待してるのだ。
 きっと「おもしろそうだから」という理由以外はないのだろう。ただの興味本位。
 否定したかった。「違います」と即答し、あわよくばそのまま告白したいくらいだった。
 でも、でも僕は自分の役割を果たさねばならない。僕は涼宮さんに逆らってはいけないのだ。
 「こ、好意は持っています」
 ギリギリの妥協点。きっと顔は引きつっていただろう。
 「好意」とは様々な意味を持つ。友情としての好意なら確かに持っている。
 だから涼宮さんの期待に答えつつ、自分を騙せるベターな発言だったと思う。
 「やっぱり!」
 でもこの心底嬉しそうな涼宮さんを見ると決定的に間違った気がしてくる。
 「そうだと思ったのよ。古泉君けっこうかっこいいのに彼女の一人もいないなんて明らかにおかしいもん」
 涼宮さんは一人で納得している。必死で反論したかった。
 「謎の転校の理由も実は前の学校でその趣味がバレちゃって仕方なく…。どう?正解?」
 「言いたく…ないです」
 言葉を濁す。嘘はついていないが涼宮さんに色々と想像させる答え。こんな時に良く回る自分の頭が恨めしい。
 「安心して古泉君!誰にも言ったりしないし、差別だってしないから。愛の形は人それぞれだもんね」
 眩しい、眩しすぎる。そんな眩しい笑顔を向けないで欲しい。涼宮さんの笑顔が…辛い。
 きっと涼宮さんは確信している。この誤解を解くにはちょっとやそっとではどうにもならないだろう。
 下手をすれば涼宮さんの願望により世界が改変され本当に「そう」なってしまうかもしれない。
 今すぐ逃げ出したい。この場から消え去りたい。でも
 「古泉君。何かあってもあたしたちが守ってあげる。SOS団の仲間だもんね!」
 この方はとても仲間思いでいらっしゃるのだ。
 「あ!でもキョンになんかしちゃダメよ。あいつはあたしの…じゃなくて、えーと、とにかくダメだからね!」
 どちらにせよ僕は片思いし続けるしか選択肢はなくなった。

 「うお!なんだ古泉、近い!離れろ!」
 「いいじゃないですか。男同士です。何かあるというわけではないんですから」
 彼の耳に息がかかるくらい近づく。
 「お前はなんかありそうなんだよ。はーなーれーろ!」
 「はは、冷たいなあ、もう少し優しくしてくれてもいいんじゃないですか?」
 「だから気色悪いんだよ。こっち来るな!」
 こうなったら道化でも何でもやって見せよう。こうして彼に近づくと涼宮さんは険しい目で僕を見る。
 嫉妬しているのだろう。どんどん嫉妬してほしい。
 「ちょっとキョン!こっち来なさい」
 そう言って彼の腕を捕まえて連れて行った。
 「ちょ、おい当たってるって」なんて声が聞こえた。
 そう、この調子でどんどん進展して欲しい。そうすれば僕はこんな役回りからは逃れられる…はず。
 見守っていられれば満足と思っていたがこんなことになるなんて。
 こういうのも失恋というのだろうか。だとしたらなんて残酷な結末だろう。
 彼が本気で僕に転んだらどうしようという不安もある。そんなことはない、と信じていますからね………。
 兎にも角にも頼むから彼には涼宮さん一筋でいて欲しい。
 世界の為にも、涼宮さんの為にも。ついでに僕の為にも。

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