2006年06月26日

あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある? - 『涼宮ハルヒの憂鬱』#13「涼宮ハルヒの憂鬱V」

 時系列での前話「涼宮ハルヒの憂鬱IV」からの続き。涼宮ハルヒがキョンを連れて下校。二人が、朝倉涼子の住んでいたマンションを訪ねる所から。
 今回は、ひたすら説明。「涼宮ハルヒの憂鬱VI」へのつなぎの回とも言える。普通にやったら単調になりそうな内容を、なるべく緩和するよう苦慮した印象がある。
 OP後のねこマンは、額に「爺」の文字を記した、よぼよぼのおじいちゃんねこマン。どうやら管理人さんを模したねこマンっぽい。

 先日のSOS団不思議探索では実現しなかった、ハルヒ&キョンのペア。キョンは「女子と肩を並べて下校」という、夢にまで見たシチュエーションを現実のものとしたが、ちぃとも楽しくないという。贅沢言うなコノヤロウ。不思議探索時、キョンは朝比奈みくる、長門有希とペアを組んだわけだが、その時の様子と比べると、明らかに今の状態は楽しくなさそう。ハルヒもその点を敏感に感じ取って、「自分とのペアじゃ楽しくないのか?」と、不満を募らせつつあるようにも取れる。
 先生に教えてもらった住所を頼りに二人が朝倉宅へ向かうと、そこは長門有希が住んでいるのと同じマンション。同じヒューマノイドインターフェースが、同じマンションに住んでいたことに、キョンは「なるほどねぇ」と得心。
 「朝倉涼子の急なカナダへの転校」という謎を探るため、二人はマンションに侵入。朝倉が住んでいた505号室の前まで到着。当然、鍵がかかっている。外の様子から、室内はもぬけの殻であることを察することができる。
 続いて管理人室へ向かい、管理人さんに対し、朝倉についての聞き込み。聞き込みをするハルヒ、普段の突飛な行動とは異なり、非常に礼儀正しい接し方。こういう対外交渉もできたのかと、驚き半分・呆れ半分のキョン。しかも手際よく朝倉の情報を引き出す様子に、「うまく聞き出すもんだ、探偵にでもなればいい」と、心の中で一言つぶやく。この時の出来事が、「ミステリックサイン」でコンピ研部長宅を訪ねた時や、「孤島症候群」でのミステリーにつながってくるわけだ。
 ハルヒは管理人さんから、朝倉に関する様々な情報をゲット。「引っ越しの様子など無かったのに、いつの間にか部屋の中はカラッポに」「転居先は聞いていない」「3年前に引っ越してきた時、菓子折を持って挨拶してくれたが、両親には一度も会ったことがない」「高額なマンションなのに、一括ニコニコ現金払いで入居」と、この管理人には個人情報保護法をレクチャーした方がいいのではないかと思うくらいの情報を獲得。しかし、管理人から得た情報では“妙だなぁ”程度の内容に留まり、核心に触れるまでには至らず。キョンはハルヒに対し、核心に触れる情報を与えることができるものの、当然、話すことなどできず。
 ハルヒとキョンがマンションを出ようとしたところ、管理人が「その娘さんは今にきっと美人になるでぇ」とキョンを冷やかす。
 不完全燃焼の状態で朝倉が住んでいたマンションを後にするハルヒとキョン。マンションを出て少し歩くと、下校途中の有希と遭遇。有希が朝倉と同じマンションに住んでいたことを知るや、ハルヒは様子を尋ねてみるも、首を少し横に振るだけ。ハルヒは、有希からは大した情報を引き出せないと判断したのか、特にしつこく聞かずに切り上げる。代わりにハルヒは「メガネどうしたの?」と質問。これに対しての有希は、キョンを無言で見つめるだけ。きちんとした返答が来るとは思っていなかったのか、ハルヒはさして気にせず先へ進む。キョンと有希がすれ違おうとしたところ、有希が「気を付けて」と小声で忠告。キョンは「今度は何に気を付けりゃいいんだ?」と、しごくまっとうな疑問を頭に思い浮かべるも、その答えは返ってこず。

 踏切を渡り終えたところで、ハルヒが突然の独白。キョンに対し、自分がこの地球上で、いかにちっぽけな存在か、自覚したことがあるかと問う。そしてキョンの返答を待たずに、自分は自覚したことがあると発言。以下、自分がちっぽけな存在であることに気付いてしまったことの回想。
 小学6年生の時、家族で野球場に野球を見に行った時のこと。野球場には人がいっぱいおり、ハルヒは日本中の人間がここに集まっているのではないかと思った。しかしオヤジから聞いたところによると、球場にいるのは5万人。日本の人口を1億人と仮定しても、2000分の1。この数字にハルヒは愕然。自分は野球場に集まった人混みの中のたった一人でしかなく、しかもこれほどの人混みが日本全体の一握りでしかないということに。
 自分がいかにちっぽけかを思い知ったハルヒには、この世界が色あせたものになってしまった。自分が通う学校のクラスは、世界で最も面白い人達が集まっていると思っていたが、実は世界中どこにでもありふれたクラスでしかない。自分がやっていることは皆がやっている、普通の日常なんだと。その一方で、世界には、ちっとも普通ではない、面白い人生を送っている人がいるのだと思うようになった。そしてそれが、自分ではないのはなぜ? そんなことをずっと考えた。考えた結果、面白いことは、待っていてもやってこない。中学生になった時、ハルヒは自分を変えようとしたが、結局何も変わらなかった。高校生になってしばらく経過したが、今も何も変わっていない。
 このハルヒの独白、クるものがあるよな。ラノベではよくある、いわゆる「セカイ系」な語りではあるけれど、世界における自分というちっぽけな存在について考えさせられる語りだ。歩んできた道の良し悪しは別にして、「自分は、他の人より面白い人生を送っている」と、心の底から断言できる人間なんてのは、滅多にいないかと。私自身はというと、「他の人が通らないような道」を歩んでいるつもりだが、結局のところ、凡百の域を出ていないような。
 さて、そんな真に迫ったハルヒの長ゼリフを聞いたキョンが取ったリアクションはというと、「そうか」と一言だけ。お前、いくらなんでもそれは無いだろう。その一言を聞いただけでハルヒはキョンと別れ、別々の道で帰宅。「ハルヒに振り回されている」という面を差し引いても、キョンのハルヒに対する態度が酷すぎる。

 キョンが自宅に戻ると、古泉一樹が待っていた。以前話した超能力を披露する機会ができたという。良すぎるタイミングで通りがかったタクシーに乗り、目的地へ。時系列順ではキョンはまだ面識を持っていないが、タクシーの運転手はやっぱり執事の新川さん。
 目的地までの道のり、一樹は長々と小難しい講釈を垂れる。ハルヒの独白に続いて、今度は一樹か。
 一樹は人間原理を引き合いに出し、「宇宙がどうして存在するのか」「宇宙はどうして人間にとってこうも都合の良い状態で創造されたか」を講釈。続いてハルヒについての説明。「ハルヒには願望を実現する能力があること」「ハルヒ自身は不思議なことや存在を希望しているが、常識的には存在しないことを分かっている、矛盾した心の持ち主であること」と講釈。キョンが「何でそんなことが分かるのか?」と問うたのに対しては、一樹は3年前のある時、自身に異変が起こったことを説明。その際、超能力が備わるのと同時に、その能力の使い方、そしてそれに付随するハルヒに関わる情報を、なぜか分かるようになったと。一樹を含む超能力者にとっては「分かることだから」としか説明の仕様がないわけだ。
 一樹によると、ここ数ヶ月、ハルヒは安定した精神状態であったが、ここに来てトルネードを起こしているという。理由は、キョンが怪しげなクラブを作ることを吹き込んだため。その結果として、宇宙人、未来人、超能力者の各勢力の末端が一堂に会する「SOS団」なるクラブが出来上がってしまったと。
 目的地に到着したので、話はひとまず中断。横断歩道の途中で、一樹はキョンに目をつぶるよう促す。目をつぶった状態のまま数歩歩き、目を開けると、世界が灰色になっていた。これが随所で語られてきた「閉鎖空間」である。一樹をはじめとした超能力者はこの閉鎖空間の発生場所を感知し、次元断層の隙間を縫って自由に侵入できるという。一樹が“分かり易い能力ではない”と言っていた理由も納得。「百聞は一見にしかず」を地で行く超能力ですな。
 一樹はキョンに対し、しばし閉鎖空間について説明。ハルヒが不機嫌になると閉鎖空間が出現することなどを述べていると、青白く発光した体を持つ巨人《神人(しんじん)》が姿を現した。神人は物理法則を無視した動きで、灰色の世界を壊し始める。神人の出現は閉鎖空間の発生に伴うもので、破壊活動を行うことでハルヒのストレスは発散されるという。ところで、アニメーションで動く神人を見て、ザケンナーとかウザイナーを想起してしまった。いやだって、似てるじゃん。
 一樹が持つ、もう一つの超能力。それはこの神人を狩るための力。すでに神人めがけて、いくつかの赤い玉が攻撃を開始しているところ。一樹によると、神人を攻撃している赤い玉は“同志”だという。続いて、キョンが見ているところで一樹も力を発現させ、全身が赤い玉に包まれる。赤い玉(in古泉一樹)もまた神人に攻撃を開始。しばらくすると神人はにより切り刻まれる形となり、崩壊。いくつかのは飛び去り、そのうちの一つがキョンのもとへ。は少しずつ光を弱め、最終的に元の古泉一樹に戻った。
 一樹は戻って来るや「最後に面白いものが見れますよ」とキョンに語りかける。神人の消滅に伴い、閉鎖空間も消滅するのだという説明をした直後、閉鎖空間に亀裂が生じ始める。亀裂は次第に大きなものとなり、最後には空間全体が破砕。と同時に、世界が明るくなる。閉鎖空間が消滅し、元の世界に戻ってきたことを理解。
 「ミステリックサイン」でその一端を見ることができた超能力の本領を、視聴者はようやっと拝む事ができたわけだ。異空間に侵入し、その異空間に出現する未知の巨人を倒せる能力。これを理解してもらえるよう言葉で説明するのは難しいわな。
 帰りのタクシーでも、一樹はキョンに対して講釈を垂れる。神人の活動をあのまま放置してしまうと、閉鎖空間は拡大するという。そして閉鎖空間が世界中を覆い尽くしてしまうと、この世界が閉鎖空間に取って代わられてしまうのだという。『機関』の人達が、これまで何であんなに必至こいてハルヒのご機嫌取りをしていたのかがよく分かる。
 別れ際、一樹はキョンに対し、ハルヒの動向に注意するよう促す。夕方、有希に「気を付けて」言われたのに続いての忠告である。宇宙人と超能力者に注意するよう言われたが、キョン自身、自分が注意していてもしょうがないのでは? と、今の事態を軽く見ている様子。自分に予知能力があり、翌日途方もない事態が到来することが分かっていたら、とても呑気にしていられなかっただろうと、意味深な言葉を残して。
 エンディング。今回のキャスト、一枚目は涼宮ハルヒ(平野綾)の名前だけにして、孤独感を出してますな。「涼宮ハルヒの憂鬱III」では、一枚目にハルヒとキョンだけにしていたことから、このエンディングのキャスト表示は、ハルヒの精神状態を反映させているみたいだ。あと今回、ゴトゥーザ様の名前がナッシング。朝比奈みくるの出番が全く無い回って、今回が初めてか。そういや今回、サービスらしいサービスカットも無かったな。あと管理人を演じた声優って、青野武だったのね。このアニメ、必要とする声優数が少ないせいか、チョイ役の声優が豪華だよなぁ。

 次回予告。いよいよアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の最終回となる「涼宮ハルヒの憂鬱VI」。キョンとみくるがパソコンの前でいちゃついているところに、体操着姿のハルヒが仁王立ち。また有希を抱え起こしているキョンなど、久々にストーリー展開を想像しやすい映像がちらほらと。その中でも、すごく不機嫌な表情をしたハルヒに注目すべきかと。
 アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を見る前、私にとって同作は「数十本ある新作アニメの一本」でしかなかったが、3ヶ月を経て「自分に色々なモノを与えてくれた名作」となった。長いようで、過ぎてしまうと短いものだ。アニメが終わってしまえば自分自身の中での関心度が薄れ、他のアニメの話ばかりをするようになるだろうが、この名作に出会ったことは忘れずにいたい。こういう文章は最終回に書くべきかもしんないが、最終回に書くとカッコつけすぎな気もするので、最終回の1話前の今、書いておくことに。

 現段階で放映済み&判明している回。最終回の1話前で、ようやっと全部埋まったのう。


時系列順
ハルヒ予告
タイトル放映話数
キョン予告
第1話涼宮ハルヒの憂鬱I第2話
第2話涼宮ハルヒの憂鬱II第3話
第3話涼宮ハルヒの憂鬱III第5話
第4話涼宮ハルヒの憂鬱IV第10話
第5話涼宮ハルヒの憂鬱V第13話
第6話涼宮ハルヒの憂鬱VI第14話
第7話涼宮ハルヒの退屈第4話
第8話ミステリックサイン第7話
第9話孤島症候群(前編)第6話
第10話孤島症候群(後編)第8話
第11話朝比奈ミクルの冒険
Episode00
第1話
第12話ライブアライブ第12話
第13話射手座の日第11話
第14話サムデイ イン ザ レイン第9話

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