2006年06月04日

『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズにおける、本文と口絵・挿絵の差異

 ライトノベルにおいて、本文の内容と、口絵・挿絵の内容との間に、たまに差異が生じていることがある。これは、文章の書き手とイラストの描き手の間に、情報の伝達に齟齬が発生しているせいであろう。『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズにおいてもそれは例外ではなく、いくつかの口絵・挿絵において、本文との内容に差異が生じているものがある。ここに情報の齟齬を挙げてみる。

1.
『涼宮ハルヒの憂鬱』
挿絵内容:p.151、「禁則事項です」と言いながら微笑んでいる、朝比奈みくるのイラスト。みくるが着ているのは北高の制服
本文内容:p.139の描写によると、この時の朝比奈みくるは「白いノースリーブワンピースに水色のカーディガン」を羽織っている。

(舟)初めて読んだ時から違和感を覚えたイラスト。最初は気付かなかったけれど、後で制服と私服の差異に気が付いた。


2.
『涼宮ハルヒの消失』
口絵内容:メガネをかけていない長門有希が、キョンに対して文芸部への入部届けを渡そうとしている場面。
本文内容:p.56の描写によると、この時の長門有希はメガネをかけている

3.
『涼宮ハルヒの消失』
挿絵内容:p.97、メガネをかけていない長門有希が、キョンの袖をそっと指でつまんでいる場面。
本文内容:p.90の描写によると、この時の長門有希もメガネをかけている

(舟)この2点は「実はイラストの状態になる直前、有希はメガネを外してキョンに接している」と考えられなくもなかったりする。


4.
『涼宮ハルヒの暴走』
挿絵内容:p.37、3人娘が夏祭りを満喫中のイラスト。朝比奈みくると長門有希は、特に髪を結っていない、いつもと同じ髪型
本文内容:p.34の描写によると、祭りが始まるまでに時間があった涼宮ハルヒは、朝比奈みくると長門有希の髪を結ってやり、いつもと違う髪型へと変化していた

(舟)これも「実はイラストの状態になる直前、みくると有希は髪をほどいた」と考えれば。


5.
『涼宮ハルヒの憤慨』
口絵内容:SOS団メンバー+阪中が、阪中家へ向かう途中の、電車の中での場面。朝比奈みくるはメイド服を着用している。
本文内容:p.198の描写によると、朝比奈みくるは文芸部の部室にて、涼宮ハルヒの命令により、メイド服から巫女へと着替えている。電車には巫女装束で乗っている。

(舟)挿絵ではちゃんと巫女装束なのに、何で口絵だけミスっているのだろう。


 あと、差異とは言い切れないものを一点。

*.『涼宮ハルヒの退屈』
挿絵内容:p.121、キョンと朝比奈みくるが寝るための布団が、一組だけ描かれている。
本文内容:p.119の描写によると、布団は二組敷かれている。

(舟)これについては「イラストで描いたのは一組分だけ」と素直に解釈でき、「本文とイラストの差異」として勘定するのはいささか乱暴なため、別扱いに。


 というわけで、私が把握しているだけで、本文とイラストに差異がある箇所は、8作品中5点。これが多いと見るか、少ないと見るか。


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(2007/02/12追記)
ウェブページの方に、改訂版をアップしています。

コメント

面白い話でした。

小説ならメインが文字で挿絵はあってもなくても
関係なさそうですが、
ライトノベルとして考えると
いささか問題のような気もしますね。

文章からの想像が難しいライトノベルでは
イラストも重要なのではないかと思います。

といいながら絵をさくっと飛ばして読んでいたので
提起されるまで気づきませんでした。

>akito様
ライトノベルで、本文内容と挿絵に差異が生じているケースは「よくあること」で流しがちですが、確かに、もうちょっと重要視すべき問題ですね。

個人的にはやっぱり消失の長門が一番惜しいですねぇ、シリーズ中ある意味一番の見せ所なのに。

口絵とカラーとで違うのは、カラーの方が締め切り早いせいかと。カラーの締め切り状態だとラフ設定のみしか無いので色々本文とズレがちなんじゃないかな、と邪推。

本文より先にイラストが仕上がってるんでしょうね
まーよくあることですが。

>oz様
>(匿名)様
消失長門は人気のあるキャラクターだけに、メガネの有無について議論する方は、かなり多いですよね。
本文とイラストの関係については、やはりカラーの口絵は締め切りが早いため、より少ない情報で完成させる必要がある分、本文内容と差異が生じてしまうケースがあるんでしょうね。

[憤慨]の挿絵の差異について:
P.217の一番後ろにいる阪中の服装が、制服になっていないでしょうか?
よくみると、胸元にラインが見えます。
その2ページ前に、普段着に着替えたとの記述があり、ハルヒがリードっぽいものを握っていることから散歩中であるはずなのに、坂中の服装が制服というのはちょっとおかしいことになります。
これって、差異になりませんか?(トリビアの種風に)

>R_wind様
「今思うと、本当は最初からお付き合いしていなかったようにも思える、それは遠い記憶です。鈴木舟太です。」(高橋克実風に)

さて本題ですが、これ、よく気が付きましたね。感心してしまいました。普段着に着替えた後の阪中の服装、チラリとしか描かれていませんが、ご指摘通り、胸元のラインが北高の制服っぽいです。かといって挿絵ミスと断言できるほどの自信も無いので、トリビア風に「差異“っぽい”」というグレーな判定で御勘弁願います。

「憂鬱」の口絵にあるハルヒの自己紹介シーンについてなんですが、小説では男女交互に着席しているように書いてあるのになぜかキョンの後ろに男の子が座っています。これも差異なんでしょうか? 気になって夜も眠れません。

>syunta様
これは初めて気が付きました。確かに、本文中では「出席番号順に男女交互で並んでいる」という記述があるのに対し、口絵でキョンの前に座っているのは、明らかに男子生徒ですね。これほど明らかな差異に今まで気付かなかったのは「迂闊」でした。シリーズ6点目の差異と言って差し支えないと思います。

細かいけどまだ出ていないようなので。涼宮ハルヒの退屈、
P45の文で”朝比奈さんはびっくり顔で左手で耳を抑えて”
P47のイラストでは両手で耳を抑える朝比奈みくるが描かれている。
アニメ版では文の通りになってました。

>art様
う~ん、まだまだあるものですね。耳をおさえる動作に目が行って、左と両耳の違いに気付きませんでした。
新しい情報、ありがとうございました。

イラストをすべていとうのいぢさんに任せているか。
それとも、谷川流さんの読者への挑戦状か。
何せ相手はこの小説で角川スニーカー大賞を手に入れている非凡の人ですから。

いとうのいぢさんが
巫女服は陰謀で口絵で書いたのだから
メイド服を一度書いておこう
と思って憤慨のイラストを書いたのかもしれません。

「分裂」でキョンが佐々木、周防、橘と対面するシーンにおいて本文では周防は佐々木から見て橘とは反対側にいる(P125「佐々木は一人ではなかった。両脇にあわせて二人の少女を随伴している。」、P128~129「佐々木は橘京子とは反対側の手を挙げて、」より)のに、冒頭口絵では周防と橘は二人とも佐々木から見て右後ろにいます。

それと、手元に「消失」が無いのではっきりと確認できないのですが、キョンが病院で目を覚ますシーンにおいて本文ではみくるはずっと花瓶を抱えたまま涙を流していたのに挿絵では手ぶらだったと思います。

>Y様
情報ありがとうございます、遅ればせながら確認しました。

『分裂』の方は、本文の内容からして立ち位置は

  橘 佐々木 周防
  周防 佐々木 橘

のどちらかになるはずなのに、口絵では

  橘 周防 佐々木

になっていますね。本文と口絵の差異として捉えさせていただきます。

そして『消失』の方も、
花瓶を離すのを忘れて泣き続けるというみくるの本文内容に対し、
挿絵のみくるは何にも手にしていませんね。

2件とも、「本文と口絵・挿絵の差異」ページの方に付記させていただきたいと思います。
重ねて、情報ありがとうございました。

http://www.syu-ta.com/haruhi/haruhi-difference.shtml

「憂鬱」を読み返していてもう一つ差異を発見しました。
閉鎖空間でのキスシーンにおいて本文では「俺は肩にかけた手に力を込める。(p288)」と書かれていますが、p289の挿絵ではキョンの左手はハルヒの右手を握っていますし、ハルヒの体で隠れている右手の方も肩に手をかけているようには見えません。

2期祭りもあり、笹の葉読み返してて見つけました。
カラーの口絵ではみくる(小)はベンチに寝てますが、
文章では「子供みたい」とみくる(大)の発言前後、みくる(小)はキョンの左肩によりかかってますね。

さらにもう一つ見つけました。
「溜息」の口絵ではホワイトボードに「SOS団的文化祭」「映画上映」と書かれていますが、本文では何も書かれていないホワイトボード(「なにも書いていないのだが、どこを見ればいいんだ(p33)。」)にみくるが「映画上映」とだけ書き込んでいます(「朝比奈さんが元書道部とは思えない丸まっちい時で『映画上映』と書くのを見て、(p34)」)。

連続投稿になってしまいますが退屈でも二カ所差異を発見しました。「ミステリックサイン」でカマドウマと対面した際、本文ではみくるはキョンの左側にいる(p160「飛びついてきたのは朝比奈さんで、俺の左腕を両手で抱きしめてくれた。」より)のに、p165の挿絵ではキョンの右側にいます。
それと、「孤島症候群」の口絵では多丸圭一さんの遺体(?)が発見されたときみくる、長門、ハルヒは部屋の中にいますが本文では部屋の外にいます(P184「脅えきった小さな悲鳴が、破壊された向こうから聞こえた。振り返ってみる。朝比奈さんが両手で口元を押さえていた。よろめくように後ずさるその肩を、背後にいた長門が押さえてやっている。」「朝比奈さんの横から部屋に顔を突っ込んでいたハルヒは、」より)。

失礼します。[消失]P97のイラストなんですが、本文では小皿の上に箸、カラシのチューブを載せているとなっています。上、というところから皿は横になっている状態でしょうし、普通は両手にしろ片手にしろ胸の前で抱える様にして持つと思うのですが、開いているほうの手は下に伸ばしています。腕と体の間に隙間があるので横で抱えるようにしていたのかも知れませんが、それでは不安定ですし、消失長門のような性格なら得にそんな持ち方はしないのではないかと。

打ち上げ花火のときは浴衣に衣替えしたとは書いてあるけど髪を結ったなんて書いてなくね?
髪を結ったのは夏祭りのときでしょ?

「孤島症候群」で間違いが(今更ながら)
口絵と船を確認するシーンの絵で、
ハルヒの服装に大きな差異があります。
他にもありました。
「陰謀」では、口絵で古泉が升を持ってる他、長門が作ったサラダが消滅してます。
「消失」では、文章では昔のハルヒの髪を
「腰まで届くようなロングヘア」と表現してますが、絵では明らかに腰より長いです。
また、よく作中の絵でセーラー服に付いているMの字みたいなマークが消滅しています。

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