研究論文:『涼宮ハルヒの憂鬱』の世界は架空の時間平面上にある
表題について、『涼宮ハルヒの憂鬱』は虚構の世界を描いた作品なのだから、「架空の世界」であるのは当たり前である。しかしここで言う「架空の時間平面」とは、現実の世界をモデルにしているようで、実は“架空になってしまっていた”という意味である。
それをこれから証明する。
1.西暦2001年~2014年
まず、『涼宮ハルヒの憂鬱』における描写を、3点ほど記す。
「一縷の期待をかけていた一九九九年に何が起こるわけでもなかったしな。」(p.7)
「二十一世紀になっても人類はまだ月から向こうに到達してねーし、」(p.7)
「人生の転機が訪れるには、十五年と数ヶ月は少々早すぎの気がしやしないか?」(p.203)
3点とも、キョンのモノローグである。この文章を読みとるに、
・キョンは1999年の時点で「(世界が面白くなることに)一縷の期待をかけ」るほどの認識を持っていた。
・キョンが高校1年生になった時点で、既に21世紀に入っている。
と考慮できる。
上記の考察から、まずキョンの1999年時点の年齢を0~15歳と仮定する。1999年の時点でノストラダムスの大予言に期待をかける年齢となると、0歳や1歳は除外しても良さそうだが、とりあえずは含める。
次に、キョンが高校生(15歳)になった時点で、少なくとも2001年になっていると考えられる。キョンがダブっていたり、病気で長期療養していたことも考えられるが、上述の通り、キョンが入学した時点での年齢は15歳と決定できる。
よって、キョンが高校に入学した年は、現実世界の西暦でいうと2001年~2014年の間であると考えられる。
2.2月12日(土)・13日(日)
次に、『涼宮ハルヒの陰謀』。
この物語は、キョンが高校に入学した(同一年度の)翌年2月7日から2月15日までの8日間の出来事を軸にした内容である。この作品の中で、2月11日は祝日(建国記念の日)、12日・13日は土日であることを示唆する描写がある。これについては、特定の箇所を抜き出す必要がないくらい、作品を一読すれば自明であるので、引用は省略する。
以上のことから、2月11日~13日が金・土・日に当てはまる年が、該当年となる。では、2002年~2015年の、2月12日が何曜日かを見てみよう。
| 2002年2月12日 | 火 |
| 2003年2月12日 | 水 |
| 2004年2月12日 | 木 |
| 2005年2月12日 | 土 |
| 2006年2月12日 | 日 |
| 2007年2月12日 | 月 |
| 2008年2月12日 | 火 |
| 2009年2月12日 | 木 |
| 2010年2月12日 | 金 |
| 2011年2月12日 | 土 |
| 2012年2月12日 | 日 |
| 2013年2月12日 | 火 |
| 2014年2月12日 | 水 |
| 2015年2月12日 | 木 |
以上の表より、「1.」で記述した推定年の範囲で2月12日が土曜日であるのは、西暦2005年か2011年。よってキョンが高校に入学した年は2004年か2010年であると推察できる。
3.12月18日(土)・19日(日)
さて、範囲を大幅に絞り込めたところで、最後に『涼宮ハルヒの消失』。
この作品は『涼宮ハルヒの陰謀』の前年12月の出来事を描いた話である。そしてこの作品の中では、12月17日~20日まで、(世界改変という異常事態が起こったものの)キョンをはじめ北高の生徒は、平常通り学校に登校している。この描写についても、作品を一読すれば自明であるので、引用は省略。
では、この日の曜日を確認してみよう。
| 2004年12月17日~20日 | 金・土・日・月 |
| 2010年12月17日~20日 | 金・土・日・月 |
そう、「2.」の内容を踏まえると、北高の生徒たちは、土日に登校していることになるのである。
とまあ、ここまでわざとらしく書いてきたけれど、2月12日・13日が土日の場合、その前年の12月18日・19日は土日になるのである。『涼宮ハルヒの消失』における登校日と、『涼宮ハルヒの陰謀』における土日には、矛盾が生じているのである。12月18日・19日は、土日でも登校日だったのでは、という好意的解釈も考えられるが、わざわざ土日に登校しているのに一切説明が無いのは不自然である。
最初にわざわざ『涼宮ハルヒの憂鬱』を出したのは、『涼宮ハルヒ』シリーズが21世紀初頭の話であることを強調するため。カレンダーの休みが異なる近未来or遠い過去、という逃げ方を封じるため。
以上、『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズは、我々が日常で用いるグレゴリオ暦とは別の暦を用いている“架空の時間平面上の世界”であると結論付ける。
もっとも、2010~11年辺りに、現在採用されているグレゴリオ暦が別の暦に取って代わられ、記述通りの曜日になる可能性もあるけれど。
年表作成の副産物で、ネタ的に「時期特定」ってなことをやれればいいなと思ったら、妙な結果になったものだ。


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コメント
「エンドレスエイト」で15497回繰り返している内に“エラー”が生じた、つうのはどうでしょうかね?
というか、長門がSOS団サイトで活動記録を15498回まで書く気満々というのも凄いですけど(^^;
Posted by: R | 2006年05月22日 16:07
>R様
なるほど、「エンドレスエイト」で600年近く経過した結果、「~消失」の段階でカレンダーがおかしくなっていたと。
活動記録を15498回まで予定している公式サイトの文字反転ネタ、あれも面白い仕掛けですよね。一見、何の変哲も無さそうなしょぼくれサイトなのに、ニヤリとさせられます。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年05月22日 21:21
「憂鬱」の最初の方、キョンが髪型に関して話しかけるシーンの「連休明け」が現行の休日制度だとすると、5月6日が水曜日になります。
これも消失・陰謀の曜日配列と異なりますね。
地理的な舞台はかなり具体的に言及しているわけですから、深読みすれば作者がわざと年代特定不能なようにしているのかもしれません。
Posted by: ニオカイト | 2006年07月04日 23:49
>ニオカイト様
情報の補足、ありがとうございます。
「わざと年代特定できないようにしている」という説に半分同意しつつ、半分くらい「作者が実際のカレンダーを失念していた」うっかりミスもいいかなぁと思っております。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年07月05日 05:18
ニオカイト様の
> 5月6日が水曜日になります。
に基づく、キョンの入学年の考察が以下のblogにあります。
http://blog.syu-ta.jp/archive/001067.shtml
これによるとキョンが高校に入学した年が2009年の4月という事で、
「笹の葉ラプソディ」の七夕がなんと今年2006年の7月7日と言うことに(^^;
で、「涼宮ハルヒの情報フレア≒今年のアニメ化によるネット上での大ブーム」であると……
それはそれで偶然とはいえ、とても面白い話ではあります。
Posted by: R | 2006年07月08日 07:33
>R様
参照先のURLが当方のブログになっていてよく分からなかったのですが、もしや先の七夕で話題になったこちらのブログでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/choiota/20060603
私の場合、陰謀&消失からのアプローチをしましたので、この憂鬱&退屈からのアプローチは非常に面白かったです。それに「年代特定不能」に至るだけでなく、現実の話題とリンクさせている点も上手いなと思いました。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年07月08日 23:59
> 参照先のURLが当方のブログになっていてよく分からなかったのですが、
> もしや先の七夕で話題になったこちらのブログでしょうか?
その通りです。
そのURLをコピー&ペーストしたつもりだったのですが、どうやら失敗していたようで、申し訳ありませんでした。
> 現実の話題とリンクさせている点も上手いなと思いました。
私もその点がとても面白いなぁと感心しました。
本当に皆様色々考えてらっしゃるのですね。
Posted by: R | 2006年07月09日 22:19
>R様
参照元の件、了解しました。推測が的中して良かったです。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年07月10日 20:30
論文、面白く読ませていただきました!こういった「設定」の追求モノは大好きなので、そういった研究は大歓迎です☆
ただ少し疑問が。これは揚げ足を取る、とか重箱の隅をつつような、とかいった悪意のあるものではないのでそこのところを了解して聞いてもらえるとありがたいです。
まず、そもそも1.の段階の証明が明確ではないような気がします。なぜなら引用されている3点の文から言えることは、
「モノローグのキョンの存在年代が二十一世紀である」ということのみだからです。この証明には「モノローグを語っているキョンが高校一年生である」というまた別の証明が必要なのです。
つまりモノローグは成人したキョンが回想したもの、と
も言える可能性もあるのです。
もしかしたら原作に「モノキョンは高1」と断定できる文があるかもしれません。もしあるならば、それを引用するべきです。そうすればこの証明はより強力に、完全になります。
不確かな要素の多い物語の設定を追及する以上、ある程度の「可能性」に対しては目をつぶるのは仕方のないことですが、この問題は根本的なことなので、少し気になってお便りした次第です。
Posted by: ラム国長 | 2006年08月11日 22:09
>ラム国長様
う~ん、作中のキョンが「成長した大人キョンの過去語り」という考え方は今まで思いつきませんでした。ただ憂鬱のモノローグを含めて、作中のキョンが「成長した大人キョンの過去語り」であることの証明もできません。保留って事で、今回は手を打ちませんか? 谷川流がすべての真実を語ってくれるなら別かもしれませんが。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年08月14日 19:09
ハルヒが小6の時の人口が一億数千っていうことが書いてあった気がするんですが
日本の人口は1970年に104665人です
ちなみに1975年には111940になっちゃってます
もしかしたら人口が減り始めたあとの近未来の話なのかなぁ・・・
Posted by: ぶなしめじ | 2006年09月11日 17:25
>ぶなしめじ様
まぁ19070年代以降、日本の人口はずーっと1億数千万人なので、それ以前ということは無いみたいですね。
Posted by: 鈴木舟太 | 2006年09月11日 19:57
アニメのミステリックサインを見る限り、PCのデスクトップデザインはXPスタイルを使用している様です。これってWindows2000以前にはありませんでしたよね?
XPのHome及びProが発売されたのが2001年の……10月頃でしたっけ、確か。
となると、キョン達が入学したのは少なくとも2002年以降ではないでしょうか?
まぁ、Beta版を入れている、となるともう少し前かもしれませんが……自分がPCを持ったのはXP Proが初めてなので分かりません;
射手座の日や、先日の公式での消失を見る限り、この辺りはしっかりしてそうだなぁ、と思ったのですが……どうでしょう?
Posted by: キリギリス | 2006年12月29日 04:51
↑ >>OSがXP
もしアニメが原作どおりの世界観だと仮定して、、、
あのパソコンはコンピ研の最新機種であり、新しい物好きのハルヒならOSの新ヴァージョンが出たら、コンピ研にアップデートさせるでしょう(原作でもそれらしい記述が)。
ともするとVistaがでた2007年から1,2年内にXPは卒業すると。
ならば、キョン1年次は2002-2008年のどれかになると。
一応、考えてみました。
Posted by: 道産子 | 2007年11月09日 22:24