アニメ『俗・さよなら絶望先生』で紹介された
「絶望文学集」をまとめています。
#1 語り:木津千里(声:井上麻里奈) 逝国トンネルを抜けるとトンネルだった。そのトンネルを抜けるとまた、トンネルだった。 そのまたトンネルを抜けるとまたまた、トンネルだった。 どこまでもどこまでもトンネルトンネルずーっとトンネル 私の人生、 トンネルを抜けるとトンネルだった。 絶望文学集 第一集より |
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#2 語り:新井智恵、糸色倫、糸色交(声:矢島晶子) 走れエロス……メロスは激怒した。ビール2杯で7万円てなんだよ、追加料金無しって 言ったじゃん。 いやウチはこの料金でやらせてもらってますから。 じゃあ、お金とってくるから。 友達ひとり預かっておくから帰って来ないと埋め ちゃうよ。 メロスは走った。………ごめん、帰らないかも。 絶望文学集 第二集より |
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#3 語り:糸色望、糸色命(声:神谷浩史) 没ちゃん親譲りの死にたがりで子供の頃から死ぬことばかり考えていた。 小学校の時分、2階から飛び降り自殺を図ったが 死ねなかった。 翌年、ペーパーナイフで手首を切ってみたが やはり死ねなかった。 さらにその翌年、こよりで首吊り自殺、 アスパラガスでガス自殺を図るもやっぱり死ねない。 そんな人生。 絶望文学集 第三集より |
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#4 語り:藤吉晴美(声:松来未祐) 弔問の多い料理店Restaurant 河豚軒‥‥●「当店は弔問の多い料理店ですからどうかご承知下さい」 故人の料理長は生前多くの方と親交があったのですね。いや、免許の 無い者が河豚をさばいてるもので、弔問客が多いのではなくて、亡く なられたお客様を弔問する事が多いのです。「うわあ」がたがたがた。 二人は泣き出しました。 ●「ここでは砂に埋まって解毒して下さい。救急車は15分とお待たせ しません」 絶望文学集 第四集より |
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#5 語り:関内・マリア・太郎(声:沢城みゆき) 伊豆のロドリコロドリコはプエルトリコ出身。32歳くらいに見えた。ほの暗い湯殿の奥から、 突然裸のロドリコが走り出して来たかと思うと 両手をいっぱいに伸ばして何かを掴んできた。 手拭いもない真っ裸だ。 それがロドリコだった。 絶望文学集 第五集より |
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#6 語り:小節あびる(声:後藤邑子) 金策寺金策寺ほど苦しいものは此の世にない。金策に焼かねばならぬ。金策に焼かねばならぬ。 保険金目当てに焼かねばならぬ。 柱一本残ると半焼扱いになりかねぬ。 きっちり全焼させねばならぬ。 私自身の人生を生きられないと決意し、金策に火を放った。 おびただしい火の粉が飛ぶ。 その火の粉が江川家の豪邸に‥‥「生きよう」と思った。 絶望文学集 第六集より |
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#7 語り:常月まとい(声:真田アサミ) 吾輩はネロである。吾輩はネロである。命はもう無い。 どこで死んだか見当はついている。 なんでも寒い寒い教会の床の上、あの駄犬と。 そうそう、あれほど見たかったルーベンスの絵が 意外にアニメ絵だったのにはびっくりしたよ。 絶望文学集 第七集より |
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#8 語り:木村カエレ(声:小林ゆう) 24のhitomi岬の分校に若い先生が赴任してきた。先生の担当はそれぞれ個性的なひとみさん。 島谷さんに黒木さん、矢井田さんに金原さん、 真中さんに吉澤さんに、まんまhitomiさん。 この瞳をどうして濁して良いもの…ん? すでに濁っ‥‥。 無理もありません。芸能界の荒波に……いやいや、 そう見えるのは私の瞳が濁っているからに違いないのです。 もう吉澤さんだけが頼りです。あなたの瞳は本当にきれいです。 クラスをまとめてください。「無理です。私、卒業ですから。」 そんな辞めないで、辞めないで、ヨッスィー! 絶望文学集 第八集より |
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#9 語り:日塔奈美(声:新谷良子) アニメ・ミゼラブル(あぁ苦情)たった一編のアニメーションになるために、苦渋に満ちた17年間の収監漫画生活を強いられたマンガルジャン。 過去にシモネタの経歴が記されているために、 どのアニメ会社にも門前払いされた。 司教の慈悲でやっとの思いでアニメになるも、 一回目のアフレコ時点で動画ミゼラブル。U局なので本放送ミゼラブル。 アニメになるのはなんでもない、本当に恐ろしいのは動かない事だ。 一回目吊ったら、あぁ苦情。吊らなくても、あぁ苦情。 どうかPTA関係者ミゼラブル。もう過度な夢はミゼラブル。 絶望文学集 第九集より |
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#10 語り: 前半:久藤准(声:水島大宙) 後半:臼井影郎、甚六先生(声:上田陽司) 罪とボツアンケート上位に選ばれた人間は、道徳や倫理や出版コードを踏み越える権利がある。目的が売り上げならば手段が悪でも許される。 そういう人々が出版界を動かしていくのだ。それ以外の漫画家は 凡庸な作品を産み続け、単に連載を維持していくだけだ。 自分はいつまで後者でいるのだろうか?
非現実的な計画だったが意を決し、罪を承知で一気にペンを振り下ろした。 絶望文学集 第十集より |
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#11 語り:小森霧(声:谷井あすか) 裸ショウ悶或日の暮方の事である。一人の下人がステージの下でかぶりついていた。 悶々悶々・・・・。どうにもならない事を どうにかする為には手段を選んでいる遑はない。 どうせステージの上は女人ばかりだ。 下人は素早く駆け上がり女人の下着を剥ぎとった。 と同時にこわいお兄さん登場。 「お客さん困りますね」「こちらへ」 下人の行方は誰も知らない。 絶望文学集 第十一集より |
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#12 語り:加賀愛(声:後藤沙緒里) あしなまおじさんフルスモークの車のドアの下から靴下を履いていない足だけが見えた。 それはまるで石田純一さながらの 気品に溢れる生足だった。 「あしおなまおじさん」 ジュディーはその紳士をそう呼ぶことに決めた。 彼女は毎月メール(添付ファイル付き)を送る事を条件に 資金援助を受けているのだった。 おじさんは生足の画像が大好きだった。 絶望文学集 第十二集より *注:文中の「あしおなまおじさん」は原文ママ |
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#13 語り:風浦可符香(声:野中藍) アニメニモマケズアニメニモマケズ 苦情ニモマケズ 不人気ニモネタノ寒サニモマケズ 打チ切ラレナイ連載ヲモチ 毒ハナク 決シテ落トサズ 東ニヒキコモリノ子供アレバ行ッテ家カラ出スナトイイ 西ニ、ストウカアニ憑レタモノアレバ行ッテ背負ッテヤルトイイ 南ニ猟奇ノ人アレバ行ッテ怖ガラナクテモイイトイイ 北ニ著作権訴訟アレバ、ツマラナイカラヤメロトイイ ヒトリノトキハ涙ヲ流シ ホメラレモセズ ケナサレモセズ サフイフモノニワタシハナリタイ カハビミョウ 文・久米田康治 |
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タイトルと元ネタタイトル&作者名
#1『逝国』 | 『雪国』(作・川端康成) |
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#2『走れエロス……』 | 『走れメロス』(作・太宰治) |
#3『没ちゃん』 | 『坊っちゃん』(作・夏目漱石) |
#4『弔問の多い料理店』 | 『注文の多い料理店』(作・宮沢賢治) |
#5『伊豆のロドリコ』 | 『伊豆の踊子』(作・川端康成) |
#6『金策寺』 | 『金閣寺』(作・三島由紀夫) |
#7『吾輩はネロである。』 | 『吾輩は猫である』(作・夏目漱石) |
#8『24のhitomi』 | 『二十四の瞳』(作・壷井栄) |
#9『アニメ・ミゼラブル(あぁ苦情)』 | 『レ・ミゼラブル(ああ無情)』(作・ユゴー) |
#10『罪とボツ』 | 『罪と罰』(作・ドストエフスキー) |
#11『裸ショウ悶』 | 『羅生門』(作・芥川龍之介) |
#12『あしなまおじさん』 | 『あしながおじさん』(作・ウェブスター) |
#13『アニメニモマケズ』 | 『雨ニモマケズ』(作・宮沢賢治) |